民主党の失策が続いたからこそ都知事の発表に繋がった

 昨日、東京都知事の石原慎太郎さんが尖閣諸島の土地を東京都として取得すると発表しました。
 

 石原都知事、尖閣諸島を年内に買う!
 
 訪米中の石原慎太郎東京都知事(79)は16日、ワシントンで講演し、東京都が沖縄県・尖閣諸島の購入へ向け最終調整を進めていることを明らかにした。石原氏は「東京が尖閣を守る」と宣言。同諸島を個人所有する地権者と詰めの交渉をしており、年内の取得を目指すとしている。ただ、都知事による独断専行で、都民の税金を投入することに疑問の声も上がっているほか、中国側の反発は必至。実現へのハードルは高そうだ。
 東京都によると、購入交渉の対象は尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島。石原氏は、中国が領有権を主張していることを念頭に「どこの国が嫌がろうと、日本人が日本の国土を守るため」と強調。購入予定金額は明らかにしなかった。

 
 結構ニュースになってますから説明するまでもないと思いますが、簡単に言えば、最近中国が様々な手段で日本の領土である尖閣諸島を狙っているので、公的機関である東京都が公的に土地を取得するコトによって、外国人に買われるコトを防ぎ、そして内外に日本の領土だと再確認を宣言するという2つの意味があるのだと思われます。
 大変にいいコトだと思います。
 こういうところが石原都知事の実行力というのは凄いと素直に思います。
 
 ただですね、ここで本当に考えなければならないのは、決して今回の石原都知事の決断を「点」として考えないというコトです。
 
 これはですね、簡単に言えば結局民主党の中国不審船事件の最低な対応があったからこその問題だと言っても差し支えありません。
 中国が尖閣諸島に領有権を主張し始めたのは1969年に周辺で石油が発見されて以降なのですが、正直それ以降も今まではあまり日本にとってこのバカバカしい中国の主張は耳にしなかったと思います。
 なぜなら、あまりにも荒唐無稽でバカバカしいからです。
 例えば自分が長年住んでいるのにも関わらず、いきなり他人がやってきて「ここはオレの家だ」と言い出しても、誰がまともに対応するでしょうか。
 正直、ちょっと頭が変になった人がやってきてうるさいなぁ煩わしいなぁぐらいに思うコトでしょう。
 事実、実は台湾も尖閣諸島に対しては領有権を69年以降に主張しているのですが、これを知っている人はそんなに多くないのではないでしょうか。
 ですから、この手の問題というのは、そもそも問題化するコト自体がやってはならないコトであって、一笑に付すというのが正しい対応なのです。
 
 でも、逆の視点、中国の視点からすれば、これは問題化させればさせるほど自分達に有利になります。
 もともとは何も無いところからのスタートなのですから、「問題化」させるコトが出来れば、双方の主張を聞こうというコトになってしまいますから、0から0.1でも可能性が増えるのであればそれはもうどう見ても「前進」していると言えてしまいますよね。
 ですから中国としては騒げば騒ぐほどいいワケですし、それに日本がまんまと載ってくれればますます中国の利益になるワケです。
 
 この問題というのはまずこういう構図があります。
 その上で、2008年にも中国船が領海侵犯してきましたが、その時の日本政府は適切に対処し、日本国民にとってもすぐに忘れ去られる程度の問題で終わりました。
 これが正しい対応です。
 「中国が馬鹿なコトを言っているが、まぁいつもの妄言だ」ぐらいの認識にするのが正しい対処なワケです。
 
 しかしあの仙谷官房長官が指揮した2010年の船長を逮捕したのにおめおめと逃げ返した件では、完全に中国のペースに乗り、「問題化させてしまった」と言えるでしょう。
 普通に領海侵犯として、また公務執行妨害等として逮捕して、法令に則り裁判をすればよかったのに、いちいち「外交的配慮」をして逃がしてしまったのです。
 ここで「外交」という側面が生まれてしまったワケですね。
 こうして国の内外に「領土問題がある」というコトを騒ぎを通じて知らしめてしまったのです。
 当時まだ民主党の支持率が高かったコトもあって擁護している人も少なくありませんでしたが、それはもう最低最悪の、文字通り中国に国を売り渡しす行為だと言わざるを得ない、最低の対応だったのです。
 
 そして、だからこそ、いま「ここまでしなければならなくなった」のです。
 政治は点ではありません。
 線であり面です。
 政治は囲碁と同じだと言ったのは与謝野元大臣だった気がしますが、確かに全く遠い一手であっても、実は近くの問題に直結する一手だったりして、大局観を持って見なければならないというのは同じと言えるでしょう。
 仙谷官房長官の件だけではありませんが、この件が大きなキッカケとなり、そして民主党のさらなる偏中外交を繰り返すコトによって、ここまでしなければ防衛できなくなってしまったのです。
 本来なら一笑に付す対応をし、それを続けていれば良かった問題であったのにも関わらず、ここまでしなければならなくなったのです。
 今までの様々なコトが積み重なって、今という結果になっていくのです。
 
 仙谷官房長官の件だでなく、民主党政権になってから中国に不必要におもねるようなコトが多くなりました。
 そして中国という国は、付け入るスキがあればどこまでも無遠慮に踏み込んでくる国です。
 これは国民性と言ってもいいでしょう。
 一歩譲れば自分も譲るという考えは無く、一歩譲れば二歩も三歩も前に進むというのが中国です。
 このように民主党政権になってからというモノ、どんどん日本は結果的に譲歩してしまう結果になっているのです。
 だから日本としても普段とは違うもっと強い対応をせざるを得なくなっているのです。
 
 ここを意識してください。
 石原都知事は流石だ凄いとか、都税を勝手に使うなとか、そういうレベルの問題では、実は無いのです。
 あの時の行為が今の結果になった、あの時の積み重ねが今の最悪の結果になった、と意識して、なによりだからこそ(今は)小さな問題だからとおざなりに対応するのでは無く、それが積み重なって大変なコトにならないように、大局観を持ってしっかりと対応しなければならないのです。
 石原都知事の決断は確かに素晴らしいモノですが、その前に主権者たる国民としては、こんなコトになってしまった原因はどこにあるのかというコトを考えてみる必要があるのではないでしょうか。
 
 これは言ってみれば、民主党を与党にしたからこその問題とも言えるワケですしね。