中国との付き合い方

 日本人って基本的にお人好しですし、信頼する相手には全幅の信頼を寄せる気質ですから、それは美徳だとは思いますが、場合によっては欠点になってしまいます。
 その程度で疑いもしないのであれば、騙そうとする相手にとってはこれほど汲みやすい相手もいないでしょうからね。
 例えば10年かけて信頼を築いて情報を売りさばくスパイにとっては、日本人相手なら5年でその信頼が築けるのであれば、大変にやりやすい相手と言えるでしょう。
 大もうけですね。
 特にこれは外国を相手にする場合なら尚更です。
 別の歴史と文化と考え方を持つからこそ外国であるのですから、ここはちょっと1歩冷静になって考え直さなければなりません。
 
 日中友好。
 悪いコトではありません。
 やえも友好には賛成です。
 好き好んで対決姿勢を示す必要なんて1つもありませんし、誰だって戦争はしたくありません。
 だから友好自体は反対ではありません、賛成です。
 
 でも友好と一言で言っても、中身は様々です。
 ここが日本人の悪い癖だと思うのですが、「友好」と言うと、何十年来の親友の関係化のようにべたべたな友好関係をすべき、そうでなければならないというようなイメージを持つ人が実は多いのではないでしょうか。
 例えば外交関係で言えば小泉―ブッシュ関係が友好だと、そういうイメージの人、少なくない気がします。
 もちろんそれは1つの友好の形だと思います。
 それはそれでいいのです。
 でも間違ってはいけないのが、それだけではないというコトです。
 別の形の友好もあるってコトです。
 
 日本と中国がいま経済関係で切っても切れない関係になっているというのは、マスコミがことさらに大きく取り上げていますので聞いたコトある人は多いと思います。
 数字を見れば、それは間違いではないでしょう。
 日本にとっても中国にとっても貿易相手国としてはお互いに最上位の相手国です。
 それは間違いではありません。
 ただし、それだけの事実を持って相手に対して何十年来かの親友のように思うのは間違いです。
 経済相手として最上位だからといって親友かと言われれば、それは自分の身に置き換えてみればすぐ分かるハズです、そんなコトはないでしょう。
 取引先の相手がみな親友と呼べる関係の人ばかりですか?
 お金の額としては最大級の取引先かもしれませんが、そこの社員すべてが親友ですか?
 違いますよね。
 お金の関係と親友かどうかというのは、まったく別問題です。
 中には取引先の相手と何度か交流を持ったコトで親友的な関係になる人もいるでしょう。 
 それは否定しません。
 しかしそれはあくまで個人的なお話、たまたま個人的な感性が似通っていたからというだけであって、ビジネスの関係の大小、つまりお金の多い少ないで親友関係が築かれるというワケではないコトは、これは個人間でも会社間でも国家間でも同じコトなのです。
 お金の繋がりが強いから親友、と言ってしまうのは、これはもう常識的な問題としてあり得ないコトですね。
 
 中国はビジネスパートナーです。
 親友ではありません。
 ビジネスパートナーとしての日中友好なのです。
 ビジネスパートナーというのは、今回はたまたまお互いの利益になるから手を結ぶっていう意味であり、利益になる以上は友好関係を結び続けましょうという意味であり、その方がお互いの利益を拡大させられそうだから自分の利益の為に友好関係を継続・拡大していこうという意味であって、基本はお金があってこそ、利益があってこそです。
 ですから利益が出ないなら友好関係である必要は無いワケですね。
 パートナーであるのに利益が出ないのであればパートナーとしては意味がありませんし、逆にそれがマイナスになるのであれば真っ先にその関係を見直さなければなりません。
 そしてお互いに時にビジネス相手はパイを取り合うライバルになるのですから、その利益によって関係が変わるのは当然でしょう。
 友好が先にあるのではなく、ビジネスパートナーとは利益が先にあるのです。
 
 日中関係とはこうです。
 もしかすれば日本国内には「そこを越えて真の友好を」なんて言う人がいるかもしれませんが、残念ながらそれは出来ません。
 中国は別の国家だからです。
 民族性が違います。
 考え方が違います。
 中国人民は、気に入らないという理由だけで国内の商店等を破壊して、物品を強奪します。
 日本人には理解出来ないコトです。
 少なくとも同じ国家にはなれませんし、未来永劫肩を並べて同じ方向を見る親友にはなり得ないでしょう。
 もしそれができるなら同じ国家となり得るのでしょうけど、今現在違う国家だからこそそれは不可能なのです。
 国が違うというのはそういうコトなのです。
 人間同士でさえお互いのコトを100%わかり合えるコトはないのに、国同士でそれが出来るハズもありません。
 永遠の同盟関係なんてあり得ないのです。
 
 そしてその手前までの友人にも、少なくとも中国とはなり得ません。
 なぜなら、国家としての価値観も違うからです。
 中国は民主主義国家ではありません。
 法治国家ですらありません。
 もし外国人が日本に来る場合、日本の法律を知っていれば身を守るコトは可能です。
 日本国内においては、自分が何人であろうとも、そして時の為政者が誰であっても、2国間の関係がどんなコトになったとしても、法律に書いていないコトや法律を越えるようなコトは絶対にありません。
 でも中国は違います。
 中国は日中間が悪化したという理由だけで、軽罪でも死刑にされる可能性がありますし、そもそも法を犯していなくても逮捕されて死刑にされる可能性もあるのです。
 中国という国の中では、それが憲法によって定められている合法行為なのです。
 法を越えるコトが合法なのですからなかなか変な言い方になりますが、それが中国なのです。
 日本とは国家としての価値観もまるで違うのです。
 これでどうやって親友になれ友達になれと言うのでしょうか。
 
 最初に言いましたように、日中関係が友好的になるのは問題ありません。 
 できればそういう関係の方が望ましいでしょう。
 しかしそれは、親友関係でも友達関係でもありません。
 もしそうなれればそれでもいいのですが、現状それは不可能です。
 あり得ません。
 価値観という一番根っこの部分がまったく違うからです。
 ここを無視して無理矢理友達になろうとしても、待っているのはお互いの不幸だけです。
 ですから中国が中国である以上、日中関係はビジネスパートナーです。
 お互いに利益を求め合うライバルですが、お互いに利益があるから手を握っているだけっていう関係です。
 日本人としても、これ以上を求めるのは現状日本を不幸にするだけです。
 ここの「わきまえ」はシッカリとつけるべきなのです。