テロルはCM

 フランスで起こったテロルについて一言言っておこうと思います。
 
 テロルの目的とは何かと言えば、それは「政治目的の達成」です。
 よく勘違いしている人がいるんですが、テロルとは決して暴力そのものを目的としているワケではありません。
 テロルとは「建物を破壊した、人を殺した、これで目的は達成した」というモノではないんですね。
 それはただの無差別殺人犯です。
 
 例えば日本国内最大のテロル事件のオウムのサリン事件にしても、世界で最も有名なテロル事件の9.11にしても、それは犯人達が望む世界があり、その主張があった上で、その達成のために人心に恐怖を与えてそれを実行しようとテロルを行ったワケです。
 決して破壊活動が成功したからそれで終わりってコトなのではなく、それはあくまでひとつのキッカケでしかなく、それをもって「政治目的を達成する」のが真の目的です。
 オウムもアルカイダも、それぞれの事件で多くの人間を殺しただけでは満足していなかったコトからも、それは明かですし、そして今回のフランステロルでもISISが犯行声明を出したのも、殺人そのものが目的なのではなく、ISISが主張する世界の実現こそが目的であるからこそです。
 殺人そのものが目的なら、わさわざ自分が犯人であるなんて公言する必要ないんですからね。
 
 つまりテロルとは「自らの政治手段を広く伝えるためのCM」なのです。
 
 だからやえは、テロルの犯人がどういう意図を持って破壊活動を行ったのかなんてコトは、極力書かないつもりでいます。
 他の主題でどうしても触れなければならない際には、できるだけぼやかして書かざるを得ないかもしれませんが、それ以外では触れません。
 なぜなら、テロリストにおけるテロ行為とは、その主張の流布も大きな目的だからです。
 
 テロリストの最終目的は自らの政治を達成するコトですが、やはり政治ですから、その思想の主張を広く伝えるというコトも大きな目的のひとつとなります。
 もっと言えば、その伝達によって同調者が増えれば、テロリストにとっても政治目的への大きな前進となりますからね。
 実際、ISISだって破壊活動によりその名が有名になり、そうするコトで同志やお金が集まっているワケで、破壊活動を行うコトで資金集めに繋がり、人材の獲得に繋がり、そして賛同者の獲得をするコトができているのです。
 だから「テロルはCM」なんですね。
 破壊活動は目的なのではなく、むしろそこから発生する様々なコトこそが目的なのです。
 テロリストの最終目的は政治の達成ですが、同時に破壊活動によって自らの存在自体について、またその主義主張について広く伝えられれば、それだけでテロリストにとっては大きな目的の達成になってしまうのです。
 
 ですから是非とも今後公の場でテロルを語る時には、「テロルはCM」という視点を持って欲しいと思うんですね。
 テロリストの主義主張を語れば、それだけでテロリストの利益になるのです。
 ここをよく考えて貰いたいんです。
 破壊行為そのものが目的かのように考えている人や、またテロリストの宣伝をしているだけになっているのではないかと思わざるを得ない言説を見かけたりするのですが、それこそまさにテロリストの思うツボになってしまいます。
 テロリズムとはなにか、よくよく考えて貰いたいのです。