これが当たり前だが日韓合意は正しく機能してる
この問題、長い目で、そして継続して考え続ける必要がありますので、定期的に取り上げていこうと思っています。
昨年末に日本と韓国の政府間で取り交わされたいわゆる「日韓合意」についてです。
日韓合意、これが交わされた直後、色々と感情的に言っていた人はそれなりにいましたが、しかしいまのところ日本にとって良い方向に作用しているのは否定できない事実でしょう。
日本にとっての日韓合意は何が得られるのかと言えば、「最終的かつ不可逆的に解決された」という部分、すなわち「韓国政府に内外でギャーギャー言わせない」という点です。
こちらの記事をご覧ください。
韓国外相、慰安婦合意の再交渉を改めて否定「必要性は感じない」
2016年2月8日、韓国・マネートゥデイによると、慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意について、韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が「再交渉の必要性は感じていない」との立場を改めて示した。
尹外相は同日、国会で開かれた外交統一委員会の緊急懸案報告で、「共に民主党」の沈載権(シム・ジェグォン)議員が、「日本は昨年末の日韓合意について、韓国とは全く異なる解釈をしている。慰安婦連行の強制性を否定しており、その立場を国連機関にも伝えた。それでも韓国政府は日韓合意の再交渉はしないという立場を貫くのか?」と述べたのに対し、「繰り返し述べてきたように、我々は過去最大の努力をして最善の結果を引き出した。再交渉の必要性は感じない」と答えたという。
ネットの反応はどうでもよくて、重要なのが、この韓国外相の発言です。
この記事についてはもうちょっと前段階の情報が必要なんですが、簡単に説明しますと、確か国連のなんかの委員会で日本のいわゆる強制連行の問題が取り上げられたので、国連から日本政府に対して見解を出せと言われたから、日本政府は「直接的な強制の関与」については否定した、という動きがあったんですね。
探したらありました、この記事ですね。
そしてこの日本政府の国連に対する動きについてを韓国の野党議員が韓国国会で取り上げて政府に質問し、それを受けた韓国外務大臣が「韓国政府は日韓合意の再交渉はしない」と答弁した、という一連の流れなワケです。
この記事だけで多くのコトが見て取れます。
例えば日韓合意発表直後には「軍の関与」という単語だけで脊髄反射している人がいっぱいいましたが、もちろんこれは河野談話の範囲内のお話でしかなく、強制連行を認めたワケじゃないのは発表記事を見れば一目瞭然でしたのですが、この記事からも、それは「韓国政府も認めている」というコトが読み取れるワケですね。
日本の国内で「軍の関与は強制性を認めたんじゃないのか」と言っていた人がいたのにも関わらず、当の韓国政府の方がもはや追求しないと言ってしまっているのです。
変な逆転現象ですね。
ここで間違えてはいけないのが、「強制性が無かったというコトを韓国政府が認めている」というワケではないという点です。
日韓合意は外務省のサイトで公開されていますのでよくよく読んで貰いたいのですが、「強制性」については日韓合意で解決したのではなく、むしろここは逆で、「強制性については日韓合意の範囲外」というのが正しい解釈です。
日本の公的な立場は「軍の関与の元」という河野談話の範囲内の「軍の関」与であり、そして河野談話をよく読めば、「軍の関与」に直接的な強制性は含まれていないのが読み取れます。
日韓合意に含まれるお話はあくまでここの部分だけですから、それを超えたお話となれば、それは「日韓合意の範囲外」というコトになるんですね。
つまりですね、日本としては「なんらかの軍の関与はあったけど、直接的な強制性はなかった」と思っている、一方韓国としては「なんらかの軍の関与はあった上に、直接的な強制もあった」と思っている、両者思惑は食い違っていますが、しかしこれは「日韓合意という範囲」だけで考えれば矛盾せずに成り立ってしまうのです。
もし日本が「一切の軍の関与はなかった」と言えばそれは合意違反となりますが、「軍の関与はあったけど、強制性はなかった」と言うのは、「強制性」という部分が合意の範囲外なので、合意違反にはならないワケなんですね。
あくまで日韓合意は「なんらかの軍の関与」までしか含まれていないのですから。
それはおそらく韓国政府も分かっているから、この韓国外相の答弁になっているのでしょう。
まして今回の日本の動きというのは、日本がいきなり外国に対して告げ口外交のように発信したのではなく、あくまで国連の委員会の中で求められたから答えただけっていう形ですから、その上で日韓合意範囲外のコトをもってケチをつけるワケにはいかなんですね。
そして当然、日本政府もここは承知の上での合意と、国連への報告内容なのでしょう。
こう考えると、見事に日本の目的を達成していると言えるワケです。
韓国政府は、日韓合意をもって、仮に合意の範囲外の話題が出てきたとしても、「慰安婦問題に関するコトは最終的かつ不可逆的に解決した」のですから、日本政府に対して何も求めるコトができないのです。
「実際に強制があったのかどうかという問題」と、「韓国政府が日本政府に何かを求める問題」とは、これは全く別の問題として、韓国政府が日本政府に何かを求めるコトはもう何ら出来なくなったのです。
日本にとってはかなり大きな確実な成果と言えるでしょう。
そしてこれは、政府間協議を経た上で出された共同記者会見と、その後の外務省のサイトを見れば、当然として導き出される答えでした。
通常の外交をする国同士で、この内容であれば、日本の利益に十分適う合意だったと、キチンと見れば理解できるモノでした。
今後としては、この「当たり前の結果」を当たり前で今後も続くかどうか、すなわち韓国が法治国家として当たり前の行動を取り続けられるかどうかをシッカリと確認していかなければなりません。
ここが一番危惧されるところで、韓国は「政権が変わったから今までの約束は無効」なんて法治国家としてはあり得ない態度をとってきたところに不信感があるんですよね。
それはこれから、特に韓国では選挙も近いですから、注視しておく必要があります。
ただし間違えてはならないのが、もし「普通の外交」「普通の法治国家としての行為」を破れば、それは破った方が悪いというのが当然の理論だというコトです。
韓国の問題に対しては頭に血が上りまくる人が多いのか、この普通の当然の理論すら忘れてしまう人がいますけど、もし今後韓国で政権交代が起きて「前の政府ガー」と言い出しても、それは100%韓国政府の問題であって日本政府には非も責任も一切ありません。
それなのに日本国内から日本政府を責めるような言説が飛び交えば、それは「普通の行動」の定義すら覆してしまいかねない最悪の行為になります。
それは国益を損なう行為そのものです。
外交ですから終わりというモノはありませんので、これからも色々と考えていかなければなりませんが、少なくとも日韓合意は内容をキチンと理解すれば、日本にとって利益になるモノであるというのは確かだと言うコトができます。
そしてそれは現在証明されていると言えるでしょう。
当たり前のコトが当たり前に機能させていく、その視点でこの問題は見てて行く必要があると思います。
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