自分の一票と他人の一票

 民主主義だからこそ、よくよく考えてもらいたい問題があります。
 
 文字にすると当たり前すぎるお話なんですが、「自分の一票と他人の一票は等しく平等」です。
 当たり前ですよね。
 民主主義ってそういう制度です。
 (年齢などの一定の条件を満たせば)全ての国民が等しく権利と義務を負うというのが民主主義であり、よってどんな大金持ちでも高学歴でも一般庶民でも無職でもなんでも、とにかく他人と自分の一票は等しく平等というのが民主主義の制度なのです。
 自分は立派な意見を持っているから他人よりも多くの権利があるべきだ、とは決してなりません。
 
 文字にすると当たり前なんですが、これ結構、実際に行動する場面においてはキチンと理解していないと言わざるを得ない人が多い気がしてなりません。
 例えばこのよく聞くセリフも、実は「自分の一票と他人の一票は等しく平等」に反するんですね。
 
 「どうせ自分のが一票入れたところで何も変わらないから投票しない」
 
 これは、自分の意志で結果が変わるなら投票するっていう裏返しですよね、結果が変わらないから投票しないって言ってるんですから。
 つまり、自分だけの投票で結果が変わるほど自分にだけ大きな権力があるべきだと、暗に言ってしまっているワケです。。
 本当に色んなところで耳にする意見ですが、しかしこのように実は大変に傲慢な考え方だと断じざるを得ないのです。
 
 自分も他人と全く同じ1票だと心から理解していれば、本来はこんなコト言えるハズがないんですね。
 あくまで自分の1票とはザックリ言うと「1/1億」の重みなのですから、もしそれ以上を求めるのであれば、それは「自分の1票は、他人の1票よりも重い」と言っているコトと何ら変わりはないのです。
 「自分の投票だけで政治が変わる」のは、大変に「他人の一票」を蔑ろにしている考え方だと言わざるを得ません。
 
 やえはこれを1票だけでなく、「意見」にしても同じだと思っています。
 やえの意見は、あくまで「1/1億」の意見、つまり1億人の中の1つに意見にすぎないのです。
 やえは常にこう思っています。
 
 その上でやえはサイトに意見を公開しているんですね。
 つまりこれは誰に向けて意見を言っているのかと言えば、やえと同じ「1/1億」の重みの国民に向けてしゃべっているワケです。
 同じ立場だからこそ、自分の意見を主張し、そして何か感じて頂ければと、同意でも反論でも共感でも反発でも、同じ立場だからこそ感じてもらいたいと思って日々更新しているのです。
 そしてもし、やえと同じ「1/1億」の重みの国民の何人かでも、やえの意見に賛同してもらえれば、それは大変嬉しいコトですし、なによりこうしてこそ健全なる民主主義のあり方だと思うのです。
 主権者である国民が、主権者である国民に向かって意見を言い、主権者である国民がそれについて考えて結論を出していく。
 これぞ民主主義じゃないですか。
 
 ですから、やえは国会議員に向けて意見は書いていません。
 国会議員の批判をするコトもありますが、それも誰に向けての文章かと言えば、全て国民に向けてのやえの考え方を公開しているんですね。
 だって国会議員とは一般国民と違い、「1/1億」ではないですから。
 国会議員は多くの国民の負託を受けた国民の代表です。
 もし仮にやえの「1/1億」の主張だけで国会議員の意見が変われば、それは民主主義としては歪んでいる、間違っていると言わざるを得なくなってしまいます。
 国会議員ではないやえの言葉で国政が直接動いてしまっては、それは民主主義とは言えなくなってしまうのです。
 
 この辺はデモへの批判で何度も言ってきました。
 デモというたった数万人程度の意見で国政の方針を転換させるのであれば、それは民主主義に反する行為ですと、そもそもデモ自体が「少数で選挙の結果を返させる行為」ですと、そう批判してきたところです。
 やえはデモが国民に向かって主張するのであれば、ああいう批判はしません。
 というか本来は、デモは国民に向かってすべきモノだと思っています。
 日本は民主主義ですから。
 でも残念ながら、いま多くのデモというのは、国会議員に直接政策を変えさせようと圧力を掛けるやり方で行われているモノがほとんどだと言わざるを得ません。
 国民が国民に意見を主張し、それに共感し仲間を得て、その結果として選挙の結果が出れば、まさしくそれは健全な民主主義の姿だと言えるでしょう。
 しかしデモは、そういう手順をすっ飛ばし、無理やり為政者の意見を変えさせようとする手法です。
 民主主義以外の国ではデモは国民にとっての有効な政治参加の一つなのかもしれませんが、少なくとも民主主義国家においては邪道の手法なのです。
 
 自分と他人とでは権利は同じです。
 当たり前のコトです。
 でもそれをたまに忘れていませんか?