他の家の継承ルールをとやかく言うべきものではない

 さて、皇統問題についてのお話を続けていきましょう。
 今日は、男系継承という神武天皇家の継承のルールについて、大きな誤解を持っている人がいるようですので、そこを解説していきます。
 
 言うまでもなく神武天皇家の継承のルールとは「男系継承」です。
 これがどういうルールなのかというのは今さら説明しませんが、しかし間違ってはいけないのが、この男系継承というルールは決して「日本の家や組織全般に当てはまるルールではない」というコトです。
 つまりですね、家とか組織とかって次の代次の代へと継承されていくモノですし、ほとんどの場合そのための努力をするワケですが、その継承のルールとはそれぞれの家や組織が自ら独自に決めるコトであって、外の人がとやく言うモノではないんですね。
 
 例えば徳川宗家は、宗家にもし継ぐべき男子がいなくなったら、いわゆる御三家のどこかから養子を迎えて宗家を継ぐというルールを定めました。
 最後の将軍徳川慶喜は、御三家の一つ水戸藩出身で宗家を継いだというのは、幕末ファンにはおなじみだと思います。
 また例えばいわゆる「一子相伝」なんて言われる家では、実子の一人にだけ秘伝の技を伝えていくっていう方法で継承していますよね。
 一方、同じ技を伝えるという継承でも、弟子の中から最も優秀な人を宗家に迎えるっていう家もあるでしょうし、新選組の局長近藤勇が宗家を継承していた天然理心流は、勇で3代目ですが、初代から勇まで全て養子で継承されています。
 勇は子供の頃に2代目に剣術のセンスを認められて養子に迎えられたっていうのは、幕末ファンにはおなじみのお話です。
 さらに例えば神社なんかでは、元皇族の方が継承するところもあれば、世襲のところもあります(ラーメン・つけ麺・僕イケメンの人は実家が神社で継がなきゃいけないと言ってますよね)。
 そしてそのどれもが、他人がとやかく言うべきモノではありませんし、そして世間には普通に受け入れられている継承のルールなワケです。
 
 神武天皇家が男系で継承してきたのは、それは神武天皇家が自ら定めたルールだからです。
 勘違いしてはいけないのが、この男系というルールをもって、性別の論争にもっていってしまうコトです。
 違うんですね。
 この際、男性が女性がってお話なのではなく、それは単に「そういうルール(男系)だからそのルール(男系)で繋がなければならない」と言っているだけなんですね。
 例えば神武天皇家が仮に女系で繋がれていたのであれば「絶対に女系を崩してはならない」と言っていたでしょうし、宮家からであればだけでもいいというのであれば「宮家を増やす努力をすべき」と言っていたコトでしょう。
 やえは、男性が優位であるべきだと考えているから男系で継承すべきだと言っているのではなく、神武天皇家が男系で継承してきた、逆に言えば男系だけがルールとして絶対的に守られて継承されてきたからこそ、男系でなければならないと言っているのです。
 ただそれだけのコトで、つまりこれは事実の確認なのです。
 男女論は個人の思想であり主張でしかありませんが、「神武天皇家が男系で継承してきた」は事実の確認でしかなく、やえの個人的な思想でも主張でもないのであり、よって誰も否定するコトはできないのです。
 
 これまで悠久の歴史の中で神武天皇家が男系で繋いできたのですから、もし男系が途絶えるような事態になったら、それはやっぱり神武天皇家ではなくなる(天皇ではなくなるという意味ではありません)と言うしかありません。
 これも考え方なのではなく、事実の確認です。
 ここに個人の思想を挟む余地はなく、「男系で継承された時だけ神武天皇家の継承」は、誰であったとしても否定はできない事実なのです。
 これが基本です。
 よくよく踏まえておく必要があります。
 
 ですから、天皇であればどんなルールでもいいと主張するのであれば男系にこだわらないのかもしれませんし、やえも存在自体を完全否定するつもりはありません(当たり前ですがルールによりますので)が、ただその際一つだけ確実に言えるコトは、男系でなければ「神武天皇家の継承ではない」という揺るがしようのない事実です。
 「神武天皇家ではなくなる」というというのは動かしようのない事実なんですね。
 すなわちこの問題、男系か否かを考えるというコトは、イコールで「神武天皇家を続けるかどうか」の問題なのです。