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2017-01

省庁官僚は様々な意見を出すのが仕事。決断するのは政治家の仕事。


 ちょっと国民の反応で先日気になるコトがありましたので、今日はそれを指摘しておきたいと思います。
 韓国がバカなコトをしてしまったので日本政府が在韓国日本大使を帰国させていた件で、大使をいつ韓国に戻すのかというニュースに対する反応についてです。
 これについて、日本の外務省が大使は早く韓国に戻すべきという意見があるとの記事が、安倍総理の外遊中に出たワケですが、これに対して特にネット上では激しく噛み付く人が多く見られました。
 やはり外務省は売国奴だと、そう怒り狂う人も少なくありませんでした。
 しかしこれは少し冷静に考えなければなりません。
 
 外務省に限らず中央省庁というのは、あらゆるケースを想定した上でどのような対応策があるのかの案を出すのが当たり前というか、それが仕事のハズなんですね。
 例えばこの場合、早めに大使を韓国に返した場合の韓国と諸外国の反応や実務的な不具合がないのかのシュミレーション、それなりの期間になった場合の韓国と諸外国の反応や実務的な不具合がないのかのシュミレーション、かなり長期間になった場合の韓国と諸外国の反応や実務的な不具合がないのかのシュミレーション、それぞれ行い、また例えば他の抗議の方法はないのか、それは大使を戻した上で行うべきなのか、それとも大使を戻さないままに行うべきなのか、やえのような素人考えでもこれだけ色々と場面が想定されるワケです。
 また最近よく言ってますが、日本は決して韓国だけに向かって外交をしているのではなく国際社会に向けて外交をしているのであって、大使不在の状態に対して仮に国際社会が「日本は大人げなさ過ぎる」というような反応をしてしまうのであれば、それは国益のために方針を変える必要があると言えるワケです。
 決して韓国をやっつけるために大使を戻しているのでも、外交をしているのでもないのですからね。
 さらにいまやえが思いつかないような、国際的な事情があるかもしれません。
 ですから、外交を担当するセクションである外務省としては、これらの様々な場面を想定して、それに対応する策を練るというのが本来の仕事なワケです。
 
 それに対して「早期に大使を戻すべきだ」という意見に、売国奴だなんだと国民が石を投げつけるかのような行為をするというのは、むしろ役所というセクションの存在意義を否定する行為になりかねません。
 1つの意見しか存在を認めないというのは、それは国益を損なう行為にしかならないでしょう。
 ある種の日比谷焼き討ち事件などと同レベルの愚かしい行為です。
 
 いまの行政のあり方というのは、官僚がこのような様々なパターンを想定した上で多様な意見を集約し、その上で国民に選ばれた政治家が決定を行うという手法が採られています。
 今回の件で言っても、それは結果を見れば明らかです。
 記事にも出ていますように、政治家である安倍総理も岸田外務大臣もしばらくは大使を韓国に戻さず様子を見るという方針を決定しました。
 おそらくこの決定の前までには、安倍総理にも岸田外務大臣にも役人から多くの情報が寄せられ、またシミュレーションが持ち込まれ、その中には早期帰任のパターンもあったでしょうけど、しかしそれらを最終的に決定するのは政治家の役目であって、そして政治家の決定は「まだ帰さない」だったのです。
 キチンと民主主義国家の行政として正しい手順が実行されたと言うべきでしょう。
 この中において、特に批判すべき点は見当たりません。
 
 この件で最も間違っていると思われるのが、外務省の中での内部の話でしかないハズの途中経過の意見が、マスコミという外部に漏れているという点です。
 朝日新聞なんかは韓国の味方をしたかったという思惑なのか、それとも安倍総理を攻撃する意図だったのかなんなのか分かりませんが、少なくともそれを外務省の一部でしかない意見を抽出して記事にするというのは、かなり問題ある行為だと断罪するしかありません。
 やえは外務省に全く問題はないとは思っていませんが、しかし今回の件は少なくとも岸田外務大臣も帰任させずに様子を見るという意見だったコトを鑑みれば、決して外務省の中で早期帰任が主流派だったとも思えません。
 それなのに、中央省庁や官僚にまで多様な意見を認めないと空気を強ばせるようなコトを国民の方からしてしまえば、それはいつか将来に重大な禍根を遺し、国益を失わせるコトになってしまうでしょう。
 ここは常に冷静に判断すべきところだと思います。
 

総理大臣評価論3-小泉純一郎-


 では昨年に続きまして、近年の総理大臣に対する評価のお話をしていきたいと思います。
 今回は小泉純一郎総理です。
 
 言うまでもない変人宰相です。
 いま安倍総理が在任期間という客観的な指標において平成の大総理になりつつありますが、やえとしたら、もし平成の日本政治史において一人だけ名前を挙げろと言われたら、安倍総理ではなく小泉総理を挙げると思います。
 小泉前と小泉後では、日本の政治の風景が全く変わってしまったからです。
 そしてそれは、最終的には「小泉純一郎という個人の考えを実現するためだけに、総理大臣という職を利用した唯一の存在である」と表現できるからです。
 
 小泉総理の有名なフレーズ「自民党をぶっ壊す」ですが、これは正確に言えば「自分の思い通りにならないシステムを持つ自民党をぶっ壊す」となります。
 例えば人事については、これまで影響が最も強かった派閥の推薦名簿を無視して(とは言いつつ一定の影響はあるとは思いますが)自分の思い通りの人事を行い、そしてそれは以降の政権で踏襲されるコトになりました。
 またそれは、小選挙区における公認権という政党にとって最も強い権限を握るコトで成し得るコトができると「発見」したためであり、その大いなる「発見」は、以降の政権に同じ手法が引き継がれたように、総理にとってかなり使い勝手の良い手法だったのだと証明されていると言えるでしょう。
 「解散権は総理の大きな武器」と証明したのも小泉総理でしょう。
 これまでの政権では多くの場合、選挙もしくは予算を含む重要法案の取扱いや結果に関連した公的な意味合いによって解散が行われていましたが、小泉総理はただ一点「郵政法案を通す」という完全に個人的執念だけで解散を行い、そしてそれが強力な武器だと証明してしまいました。
 これ以降「解散は総理の個人的思いで行うコトができる」という風潮に変わりましたし、今でも「解散権こそが総理大臣の最も強い武器」とすら言われています。
 これだけでも小泉総理は十分「自分の思い通りにならないシステム」をぶっ壊してきたのです。
 
 そしてなによりぶっ壊したのが、自民党の派閥である経世会です。
 日本の戦後政治史において最も影響力のある集団とは何かと問われれば、経世会と答えるのが最も現実に即した回答となるでしょう。
 特に田中角栄以降は「経世会によって日本の政治は行われていた」と言っても過言ではありません。
 この辺は森総理の時に説明しましたように、自民党は結党前の吉田茂自由党系の派閥が本流で、鳩山一郎日本民主党系は傍流という歴史があり、例えば歴史に残る大総理である、池田勇人・佐藤栄作・田中角栄はこの保守本の流れですし、それ以降の総理も多くは田中派である経世会出身者が多くを占め、また池田系の宏池会も大平正芳総理などを輩出してきましたが、その一方傍流系である清和会の総理は森総理の前は福田赳夫総理までさかのぼらなければならないという状況でした。
 また、経世会・宏池会系以外の総理も、例えば海部俊樹総理なんかは「現住所河本派・本籍竹下派」とも揶揄されたように、経世会(つまり当時の竹下派ですね)の意向を無視して総理にはなれなかった、政権運営するコトはできなかったワケです。
 このように、自民党の大部分の歴史の主役は吉田自由党系であり、その中でも最も力を持っていた経世会だったのです。
 
 小泉総理は、この「経世会支配の自民党」をぶっ壊したのです。
 
 はたしてこの効果はテキメンで、実はいまでもその影響が残り続けています。
 それまでは「鉄の結束」と言われ、常に所属人数が最も多い第一派閥であった経世会、いまは平成研究会という派閥名ですが、小泉総理によって人事で冷遇されたあげくに、「抵抗勢力」という言葉によって世間から「古い自民党の象徴」と悪役を着させられるコトになった結果、平成研究会は第二派閥に転落させられた上に、「鉄の結束」なんて死語かのように今ではすわ分裂か的な記事が出てしまうような残念な有様になってしまっています。
 こんなのは小泉前の平成研究会では予想だにできなかった事態です。
 また、次々に総理を輩出していた派閥とは思えない後継者不足も続いています。
 現在の会長は額賀元財務大臣ですが、いまこの人を総裁候補なんて言う人はいませんね。
 さらにその次の世代も後継者不足で、次の次の世代であるプリンセス小渕優子さんも、いまはスキャンダルの影響で表舞台からは遠ざかっています。
 平成研究会の最後の総理が小渕恵三総理なのですから、まだまだ平成研究会の冬の時代は長く続きそうだと言わざるを得ません。
 この辺も、小泉時代に徹底的に干された影響で人材が育っていないせいであり、未だに根強く小泉総理の影響が残ってしまっているワケです。
 
 よく小泉総理を表して「派閥政治をぶっ壊した」と言う人がいますが、これは間違いです。
 正確には「経世会支配体制をぶっ壊した」のです。
 小泉さんそのものは派閥は好きな方です。
 なにより小泉さん自身が派閥の会長でしたからね。
 小泉派なんてなかったじゃないかと言われるかもしれませんが、小泉さんは「森派会長小泉純一郎」という時代があったんですね。
 森さんが総理になった時に、総理は形上は派閥離脱というコトになるので、その後任で小泉さんが会長になっているワケです。
 この時、森さんの実質的な影響力による代理的な会長だったのか、それとも小泉さんが謙遜して森派のままを名乗っていたのか、ちょっとこの辺はよく分かりませんが、少なくとも「会長代理」とかではなく明確に会長に就任し、森総理時代の総裁派閥として派閥を率いたのはまぎれもない事実なのですから、小泉さん自身が派閥そのものを否定していたというコトはないんだと考えられます。
 また同時によく小泉さんのコトを一匹狼だと言う人もいますが、これも同時に派閥の会長である以上その形容詞は当てはまらないと思っています。
 一匹狼が派閥の会長を務められるとは思えません。
 実際は森さんとの二人三脚だったのかもしれませんが、どういう形にせよ、議員のグループをまとめるだけの力を持っていたというのが、小泉純一郎という人物なのでしょう。
 
 そしての派閥のボスとしての性格も、小泉さん自身が総理になった後も消えるコトはありません。
 小泉総理時代、こうして経世会・平成研究会を徹底的に潰す一方、自派の清和政策研究会(当時は再び森さんが会長)は数が一気に増えるコトになります。
 自民党総裁としての力をフルに使ったんですね。
 最も分かりやすいのが公認権で、つまり直接的には「小泉さんが公認を与えるから議員になれるぞ」と言われて派閥に入った人もいるでしょうし、間接的には「小泉さんが公認をくれたから議員になれたんだ」と小泉さんを自ら慕って派閥に入った人もいるでしょう。
 そしてついに、「鉄の結束」平成研究会は第二派閥に転落し、清和政策研究会が第一派閥に躍り出るコトになりました。
 加藤の乱前は宏池会よりも数が少なかった清和会が、小泉時代に一気にトップに立ったのです。
 そしてこの構図は現在でも変わっていません。
 第一派閥が清和会、第二が平成研究会で、第三が宏池会です。
 ここからも、小泉さんは決して派閥そのものを否定していたのではなく、「経世会支配体制」を否定していた一方、自派閥の拡大には大きな野望を持っていたというコトも窺えるワケです。
 
 小泉さんの派閥に対する姿勢というのは、この他にも、加藤の乱にも垣間見るコトができます。
 あの時の小泉さんは、YKKと言われた「山崎拓・加藤紘一・小泉純一郎」の自民党次世代ユニットの一人だったワケですが、しかし加藤の乱の時は、加藤さん山崎さんは行動を共にしましたが、小泉さんはあっさりと手を引いて、逆に乱を止める側、つまり政権側にまわりました。
 もし小泉さんが一匹狼で派閥なんて壊してしまえと思っていたのであれば、加藤の乱に同調していたコトでしょう。
 しかし「自分の派閥は大好き」な小泉さんは、自分の派閥から出ている総理(森総理)を引きずり下ろすなんて選択肢は持ち合わせていなかったのでしょう。
 かくして加藤の乱はあっさりと加藤さんの負けで決着が付いてしまったのでした。
 
 ちょっと横道にそれますが、経世会と源流を同じくする保守本流宏池会も、本来の意味では小泉さんにとっては敵だったハズなのですが、小泉総理時代にはあまり攻撃は受けませんでした。
 結果から言えば、現在の派閥の中でおそらく一番まとまりがあるだろう派閥は、ちょっとイレギュラーな二階派を除けば宏池会(岸田派)であり、存在感乏しい平成研究会とはかなりの差が付いてしまっています。
 なぜこうなってしまったかと言えば、これは歴史の妙というか、数奇な運命というべきか、この前お話ししましたように、森・小泉時代には宏池会は、平成研究会と一線を画するようになっていたからです。
 小渕総理誕生の時に加藤紘一さんが総裁選挙に出て、保守本流同士の派閥の関係が壊れてしまった、あの時からです。
 そして森総理誕生の時の会談にも宏池会は呼ばれていないコトからも分かるように、宏池会である加藤派は小渕時代から徐々に党内非主流派においやられてしまい、そして加藤の乱後はついに分裂してしまった宏池会は、だからこそ小泉総理の主なターゲットにはならなかったと言えるのです。
 もしかしたら、すでに分裂しているんだから力を入れる必要はなく、その余力があれば経世会叩きに費やそうという小泉さんの判断もあったのかもしれません。
 また生き残るのに必死だった古賀誠さんが、小泉さんには最後には軍門に従ったというのもあったでしょう。
 もし加藤さんの総裁選出馬がなく、小渕総理の後も経世会・宏池会政権ができていたら、小泉総理は誕生していなかったかもしれませんし、逆にあの小泉さんのバイタリティですから総理になっていたかもしれませんし、もしそうであったとしたら宏池会も平成研究会のように攻撃目標になっていたかもしれません。
 歴史の紙一重ですね。
 
 そんな「自分がやりたいコトをやるために権力を持って壁を壊していった」小泉さんですから、その評価というのは人それぞれになってしまいます。
 だって一番象徴的な郵政民営化だって、小泉さんの個人の執念で成し遂げたモノであって、国民的または公的な要請のもとに行われたワケではないのですから、個人として「郵政民営化が正しい」と思う人なら評価をし、「間違っている」と思う人なら批判をし、「どっちでもいい」と思う人ならどっちでもいいでしょう。
 ちなみにやえは当時もずっと言ってましたが「どっちでもいい」という感じです。
 よって小泉さんの評価っていうのは、他の総理に輪を掛けて「人による」んだと思います。
 政治手法ですら、結局は「小泉さんが小泉さんのために」行ったコトでしかなく、結果的に公的に利益になったかどうか、国益に適ったかどうかというのは、もっと後にならないと評価が下せないでしょう。
 しかもそれは「結果的に良かった」もしくは「結果的にダメだった」という、小泉さんという個人の思惑を離れた結果論にしかならないんだと思います。
 
 小泉総理の誕生は、このように日本政治史にとって大きなターニングポイントになりました。
 自民党の内規や小選挙区制度を使い、総理大臣という役職にさらに大きな力を行使できるコトに気づかせて、その後の総理にも力の使い方において大きな影響を与え、一方自民党の経世会支配に終止符を打ち、小泉総理後の自民党からの総理は未だ麻生さん以外は全て清和政策研究会出身という、ある種の異常事態が続いています。
 小泉総理の登場によって、永田町の、日本の政治史が一変しました。
 そういう意味で、最初に言いましたように、もしやえに平成で最も影響を与えた総理を一人だけ挙げろと言われたら小泉純一郎を挙げるのです。
 
 変人らしく小泉さんのエピソードはまだまだたくさんあるのですが、とりあえず今回はこれぐらいにしたいと思います。
 良い総理か悪い総理かを聞かれると、かなり答えには困るのですが、でも今の日本の政治の流れを考えれば、ある意味「出るべくして出てきた人」だったのかもしれません。
 特に衆議院選挙が小選挙区制度になった時から、いつかはこういう流れになるのは決まっていたとは言えますので、その転換点にたまたま永田町の中で極めて変人な人が総理になってしまったがために、もっとも効果的に変革の力を使われてしまっただけという言い方はできると思います。
 これはもう善し悪しじゃない気がするんですよね。
 直接巻き込まれた人はたまったもんじゃないんだとは思いますが。
 
 もう1つ言えば、永田町ウォッチする身としては、こんな面白い人はいなかったというのは確かです。
 そういう意味ではやえは小泉さんは好きですね。
 文章の書き甲斐のある人でした。
 
 では次回は第一次の安倍総理の評に移りたいと思います。
 

日韓合意という“国際的な”強力なカード


 あけおめでございます。
 今年はどんな年になるのか分かりませんが、ぜひよい年になればいいと願っています。
 皆様どうぞ今年もよろしくお願いします。
 
 さて、総理大臣の評価論の続きを書こうと思っていたのですが、ちょっといま話題になっている日韓合意の件で、ホットなウチに今一度言っておきたいコトがありますので、今日はそちらを書かせて頂きます。
 
 一昨年末当時はだいぶ悪く言われていた日韓合意ですが、実際はこのように、日本にとって強力なカードになっています。
 ここで勘違いしてはいけないのが、日韓合意とは「日本が10億円払うから、韓国は慰安婦像を撤去しろ」というお金がトリガーになって発動するような構図の合意ではない、というコトです。
 正確には、日韓合意とは双方がそれぞれが履行すべき行為を並行的に規定されたモノです。
 
 日本は財団設立のために10億円を拠出する。
 韓国は大使館前の慰安婦像の撤去に努力する。
 両国はこの合意で慰安婦問題が解決されたので、以後国際的な場でこの問題を蒸し返さない。
 
 これらはそれぞれ別モノの履行項目であり、例えば仮に韓国が一方的に10億円を日本に送金したとしても、だからといって日本が合意内容を履行した事実は変わりませんし、韓国が合意内容を履行していない事実も全く変わりません。
 「日本が10億円払ったから韓国は履行しなければならない」のではないのです。
 韓国としては、日本がどんな行為を行ったとしても、仮に日本がまだ10億円を拠出していなかったとしても、それでもやっぱり韓国は慰安婦像などの合意内容に対する履行の義務は存在します。
 10億円は条件でもトリガーでもありません。
 ただの日本側の履行内容なだけなのです。
 
 そしてだからこそ日韓合意は強力なカードになっているのです。
 しかもこれは「国際的に強力なカード」です。
 間違えてはいけないのが、日本は決して韓国だけを相手に外交をしているワケではありません。
 韓国はどう思っているのか知りませんが、日本は常に国際社会に対して外交を行っているのであり、韓国に対する態度も、全ては国際社会に日本がどう映るのか、国際社会に対して日本のプラスになるかどうかを基準にして外交を行っているのです。
 ですからもちろん、日韓合意も国際社会の中における外交の1つとして結んだワケであり、国際社会に向けた効果を狙ってのモノであるワケです。
 
 その上で日韓合意は日本にとって大変プラスになっていると言えます。
 なぜか。
 一番大きい理由は、先ほど説明しましたように、日韓合意は条件が合致したら成立するという構図のモノなのではなく、合意自体がまず成立という形になっており、その先にそれぞれ両国が内容を履行する形になっているという構図になっているからです。
 すなわち「相手がどうあれ、自分が履行すれば、自分側はそれで終わり」なんですね。
 そして日本はすでに履行しているワケです。
 ちょっとアレな韓国人はともかく、理性ある法治国家の国民であれば日韓合意の内容をキチンと読めばそれぐらい簡単に分かるコトですから、「日本は合意を守った。一方韓国はどうか」という単純な問いに対してどう答えを出すかなんて、まさに言うまでもないコトなのです。
 「お互いに自国内のコトを履行する」という、並行的な内容だからこそ、どちらかの行動の是非と賛否が一目瞭然になるのです。
 
 そしてもう一つ大きなコトが、この日韓合意の一次ソースがフルオープンにされた記者会見で日韓両国の外相の生の言葉によって発表されたという点にあります。
 当時は「なぜ文章じゃないんだ」という批判もありましたが、文章ではどうしても解釈に差が出てきかねません。
 特に違う言語間でのやりとりなんですから、微妙なニュアンスも含めて完璧に同じ文章を作るコトは不可能です。
 よって日韓合意は、それぞれの国民に向かって自国の外務大臣が直接言葉に出して合意内容を発表するコトによって、そういう後々の齟齬を消し去っています。
 そして同時に、これを全世界にテレビという逃げ場のない方法で発表するコトで、二国間だけではない全世界の人間を証人とするコトに成功しました。
 先日岸田外務大臣がヨーロッパ訪問中にこの問題について「国際的に高く評価されている」と言ってましたが、テレビによって全世界に広く告知された合意なのですから、どこに行っても日韓に関係ない地であったとしても、堂々と「日本は合意を履行している」と主張するコトができるのです。
 
 ハッキリ言って、このロジックの前に、さすがの韓国人も真っ向から否定できていません。
 ですから「日韓合意の範囲外だ」ではなく「日韓合意を破棄しよう」としか言えないんですね。
 まぁお金を返せば破棄できると思っている姿は正直滑稽だと言わざるを得ないのですが、とにかく、日韓合意がこの問題の強力なカードになっているコトは、これでもう完璧に証明されていると言えるでしょう。
 
 慰安婦問題については、過去何度も言ってますように、一番の原因は日本のマスコミにあり、そしてそれを享受した日本国民にあります。
 河野談話も、当時は「なぜ明確に日本の責任を認めないのか」という声が大きく、むしろ保守系からは「日本軍の直接的な関与はなかったと政府が認めて良かった」という声があがったぐらいでした。
 これは当時の日本の雰囲気がなせるワザであり、先日の更新に対する反応でもどうしても昔の日本の雰囲気が理解できない人がいて、それはまぁ仕方ないのかもしれませんが、しかしそれを今の時代になってから政治家や政府に責任を転嫁させるというのは許されるモノではありません。
 こうした歴史に終止符を打ったのが日韓合意なんですね。
 
 これは合意直後にも言いましたように、日本国民としては、これをシッカリと冷静に受け止めて、何より「日本は誠実に履行している」という事実を確認する必要があります。
 そして「履行していないのは誰か」というコトも確認するコトです。
 一番愚かしいコトは「日韓合意なんて結んだ日本政府はけしからん」と、相手を利する言動をとるコトです。
 日韓合意の一番のキモは、10億円でも慰安婦像でもなく、「国際的にこの問題は終わりだ」と宣言した点です。
 同時に、日本も韓国も国際社会の中でこの問題を蒸し返さないというところにあります。
 これが日本にとっては一番のメリットなのであり、ここさえ守れば韓国国内でどんなモノ建てようが、特にどうでもいいのです。
 だって外国から仮にそれについて聞かれても「日韓合意で終わったコトだから」と説明できるのですからね。
 それなのに韓国がわざわざ日韓合意を履行しようとしないのですから、日本とすればそれなら「誠実に履行しなさい」と言うしかないワケで、それで全てなんですよね。
 「日本は履行した。では韓国はどうか?」と言えばいいだけのお話を、なぜ自国政府批判に繋げなければならないのか、そんなのは全く無意味ですよね。
 このように日韓合意は、日本にとって国際的な強力なカードになっているのです。
 
 そしてもし、万が一にでも合意が破棄されるようなコトになれば、それは破棄した方が悪いのです。
 当たり前です。
 この時こそ日本人は冷静に当たり前のコトを当たり前に言う冷静な判断が必要となるでしょう。
 

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