省庁官僚は様々な意見を出すのが仕事。決断するのは政治家の仕事。

 ちょっと国民の反応で先日気になるコトがありましたので、今日はそれを指摘しておきたいと思います。
 韓国がバカなコトをしてしまったので日本政府が在韓国日本大使を帰国させていた件で、大使をいつ韓国に戻すのかというニュースに対する反応についてです。
 これについて、日本の外務省が大使は早く韓国に戻すべきという意見があるとの記事が、安倍総理の外遊中に出たワケですが、これに対して特にネット上では激しく噛み付く人が多く見られました。
 やはり外務省は売国奴だと、そう怒り狂う人も少なくありませんでした。
 しかしこれは少し冷静に考えなければなりません。
 
 外務省に限らず中央省庁というのは、あらゆるケースを想定した上でどのような対応策があるのかの案を出すのが当たり前というか、それが仕事のハズなんですね。
 例えばこの場合、早めに大使を韓国に返した場合の韓国と諸外国の反応や実務的な不具合がないのかのシュミレーション、それなりの期間になった場合の韓国と諸外国の反応や実務的な不具合がないのかのシュミレーション、かなり長期間になった場合の韓国と諸外国の反応や実務的な不具合がないのかのシュミレーション、それぞれ行い、また例えば他の抗議の方法はないのか、それは大使を戻した上で行うべきなのか、それとも大使を戻さないままに行うべきなのか、やえのような素人考えでもこれだけ色々と場面が想定されるワケです。
 また最近よく言ってますが、日本は決して韓国だけに向かって外交をしているのではなく国際社会に向けて外交をしているのであって、大使不在の状態に対して仮に国際社会が「日本は大人げなさ過ぎる」というような反応をしてしまうのであれば、それは国益のために方針を変える必要があると言えるワケです。
 決して韓国をやっつけるために大使を戻しているのでも、外交をしているのでもないのですからね。
 さらにいまやえが思いつかないような、国際的な事情があるかもしれません。
 ですから、外交を担当するセクションである外務省としては、これらの様々な場面を想定して、それに対応する策を練るというのが本来の仕事なワケです。
 
 それに対して「早期に大使を戻すべきだ」という意見に、売国奴だなんだと国民が石を投げつけるかのような行為をするというのは、むしろ役所というセクションの存在意義を否定する行為になりかねません。
 1つの意見しか存在を認めないというのは、それは国益を損なう行為にしかならないでしょう。
 ある種の日比谷焼き討ち事件などと同レベルの愚かしい行為です。
 
 いまの行政のあり方というのは、官僚がこのような様々なパターンを想定した上で多様な意見を集約し、その上で国民に選ばれた政治家が決定を行うという手法が採られています。
 今回の件で言っても、それは結果を見れば明らかです。
 記事にも出ていますように、政治家である安倍総理も岸田外務大臣もしばらくは大使を韓国に戻さず様子を見るという方針を決定しました。
 おそらくこの決定の前までには、安倍総理にも岸田外務大臣にも役人から多くの情報が寄せられ、またシミュレーションが持ち込まれ、その中には早期帰任のパターンもあったでしょうけど、しかしそれらを最終的に決定するのは政治家の役目であって、そして政治家の決定は「まだ帰さない」だったのです。
 キチンと民主主義国家の行政として正しい手順が実行されたと言うべきでしょう。
 この中において、特に批判すべき点は見当たりません。
 
 この件で最も間違っていると思われるのが、外務省の中での内部の話でしかないハズの途中経過の意見が、マスコミという外部に漏れているという点です。
 朝日新聞なんかは韓国の味方をしたかったという思惑なのか、それとも安倍総理を攻撃する意図だったのかなんなのか分かりませんが、少なくともそれを外務省の一部でしかない意見を抽出して記事にするというのは、かなり問題ある行為だと断罪するしかありません。
 やえは外務省に全く問題はないとは思っていませんが、しかし今回の件は少なくとも岸田外務大臣も帰任させずに様子を見るという意見だったコトを鑑みれば、決して外務省の中で早期帰任が主流派だったとも思えません。
 それなのに、中央省庁や官僚にまで多様な意見を認めないと空気を強ばせるようなコトを国民の方からしてしまえば、それはいつか将来に重大な禍根を遺し、国益を失わせるコトになってしまうでしょう。
 ここは常に冷静に判断すべきところだと思います。