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被爆者のために核廃絶をするワケではない


 今日はこちらの記事です。
 

核兵器禁止条約 政府、米と被爆者に配慮 国連で不参加表明
 
 米ニューヨークの国連本部で27日に始まった「核兵器禁止条約」の交渉会議で、日本政府が「建設的かつ誠実に参加することは困難だ」と交渉への不参加を表明したのは、「核の傘」を提供する米国と核廃絶を求める被爆者の双方に配慮した結果だ。ただ、会議に出席しつつ不参加を表明する異例の対応に、国際NGO(非政府組織)などから批判の声も出ている。
 
 高見沢将林(のぶしげ)軍縮大使は会議の演説で北朝鮮の核・ミサイル開発に触れ「現実の安全保障を踏まえず核軍縮を進めることができないのは明らかだ」と強調。会議に核保有国が参加しておらず「国際社会の分断を一層深め、核兵器のない世界を遠ざける」と説明した。
 
 政府は一時、会議への参加を検討したが、最終的に日米関係を重視して不参加はやむを得ないと判断。それでも岸田文雄外相は高見沢氏を会議に派遣した。唯一の戦争被爆国として「日本として主張すべきは主張することが重要」(岸田氏)との考えからだった。しかし、会議で不参加を明言したことで、かえって被爆者団体などの感情を逆なでした面は否定できない。

 
 やえは時々、条約っていうモノを勘違いしてしまっている人がけっこういるんじゃないかなと危惧しているのですが、条約って成立したとしても全世界がそれを遵守しなければならないというような、国際憲法みたいな感じのモノではありません。
 結局はその条約を締結すると承認した国だけに効力を及ぼす、どっちかと言えば自分で自分を縛るような類いのモノであり、当然その条約に参加するかどうかはその国ごとの判断に委ねられるワケであって、参加しなくても何ら罰せられるとかあるハズもないんですね。
 ですから、いくら核禁止条約がどこかの国とどこかの国で成立したとしても、その国々以外にはなんら関係のないお話であって、元々核兵器を持っていない国同士が核禁止条約を結んでも、未来に渡ってその国が核兵器を持たないと宣言する意味はあっても、世界で核兵器が無くなるという意味においては全く無関係な条約にしかならないのです。
 もしこの条約が成立したら、それだけで全世界に対して核保有が禁止になると思っている人がいれば、それは間違っていますよと言うしかありません。
 
 もしかしたら日本国内においては多少「国連信仰」みたいなのがあって、国連が決めたコト(正確には「国連“で”決めたコト」なのですが)には全ての国が守らなればならない、ややもすれば「国連=世界政府」かのように思っている人がいるように感じらてしまうのですが、残念ながら国連にそこまでの力も権限もありません。
 極端なコトを言えば、国際裁判所が判決を下したとしても、国連や国際裁判所にはそれを施行させる実力部隊を持ちませんので、その国が無視してしまえば、それがまかり通ってしまうのが現実です。
 これが国内の話であれば、警察などの実力部隊が物理的な力によって実行させるのですが、国連にはそのような行為を行う部隊もなければ、権限もないワケです。
 北朝鮮なんかの無法ぶりを見れば明らかですよね。
 もちろん「国際信用」とか「最後は戦争」みたいなモノも働きますから、国連や条約が一概に全く意味を持たないと言うつもりはありませんが、ただ、万能ではないし絶対のモノでもないというコトは認識しておく必要はあるでしょう。
 国連にしても条約にしても、最後は「自国の信用の上に自ら実行する」という、実はあやふやなモノの上に成り立っているモノでしかないのです。
 
 この核禁止条約の問題は、そうした上で考えなければなりません。
 果たして核保有国が全く参加しない国だけで条約を結んで、果たして何の意味があるのでしょうか。
 いえ全く意味が無いとは言いませんが、「核保有国と核非保有国との分断を一層深めて、核兵器のない世界を遠ざける」という見方は間違ってはいないでしょう。
 これはやえの戦略的核廃絶論でも述べているコトですが、現在核を持っている国にとっては、他の国が核を持たないのであれば、その方が自国にとってメリットにしかならないんですね。
 こんなの考えるまでもありません。
 ですから、核非保有国が非保有国だけで禁止条約を締結したところで、核保有国にとっては「ああそう、勝手にすれば?その方が自分にとっても都合が良いし」と思ってしまいかねませんし、それで全ての動きがストップしてしまいます。
 果たしてそれは「現実的対応」なのかどうか、真に冷静になって考える必要があるのではないのでしょうか。
 
 そして、国際社会の中において発言力の高い日本が、その「分断」に参加していいのかどうかという問題も、日本国民は国際社会の中における日本の立場を正しく評価した上で考えなければなりません。
 見下すつもりはありませんが、例えばアフリカのどこかの一国がアメリカなどの核保有国に物申すのと、日本が物申すのとでは、現実問題として重さが全く違うワケです。
 まして日本はG7加入国であり、国連安保理の非常任理事国としては最多を数える国であり、これ以外にも経済を背景にして国際社会の中における発言力はトップレベルにあるワケです。
 さらに言えば日本は唯一の戦争被爆国です。
 日本こそが理想論を振りかざすだけなのではなく、現実に起きたコトを一番理解しているのですから、現実問題として現実的にはどうすべきかを考えなければならないのではないのでしょうか。
 こうした現実を踏まえれば、日本が本当にこの条約に参加すべきなのかどうか、もっともっと冷静に考える必要があると思います。
 
 まして、核廃絶政策は被爆者の気持ちを慰撫するための政策ではありません。
 記事に「かえって被爆者団体などの感情を逆なでした面は否定できない」なんて書いてありますが、核廃絶政策にとって被爆者団体の感情や主張が必ずしも正義なワケではありません。
 こういう誘導って卑怯だと思います。
 核廃絶政策は、あくまで政治的な政策の1つです。
 感情論だけの問題ではありません。
 被爆者団体が感情論を吐露する気持ちは分かりますし、やえだって広島の生まれである以上、感情的な部分はありますが、それでも政治問題であるという現実的な部分を見据えれば、出発は感情であったとしても、必ず冷静な政治問題として考える必要があります。
 そしてそれは当事者ではない第三者のマスコミこそが一番考えなければならない問題なのではないのでしょうか。
 それなのに、被爆者団体の感情論をさらに煽るようなコトをするというのは、火に油を注ぐだけで、より一層問題を難しくする行為でしかありません。
 被爆者団体のコメントを載せるだけに留まらず、「感情を逆なでした面は否定できない」なんて、愉快犯的だと言わざるを得ません。
 
 やえは核問題を常に自分の問題として考えています。
 果たしてマスコミや被爆者団体はどうでしょうか。
 この問題にとって、相手は日本政府ではないハズです。
 冷静に現実的にこの問題は考えるべきだと、やえは強く思うところです。
 



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