観戦記1 in 全日

 
上京してからは初めてプロレスをライブで見に行った。
しかも全日の天龍復帰戦である。
実は三沢が全日を脱退した時に、このシリーズで最後の三沢かな、と思って急いでチケットを買ったのだが、結局武道館大会には三沢派は出ないことになってしまった。
しかし払い戻しを考え始めた矢先、「天龍復帰」のニュースが飛び込んできたものだから、急に見に行く気が復活。
運がいいのか悪いのか、とりあえずはラッキーということにしておこう。
 
7月23日午後5時から開始。
4時半頃会場に行くと、武道館の外でグッツが売っていた。
覗いてみたら天龍グッツも売っていたので即Tシャツをゲット。
ポスターと会場内でパンフレットを買って席に向かう。
席は特別リングサイドだったのだが、席番号が1番で端っこ。
コーナーが正面にあり、ちょっと見にくい。
しかし入場する選手を写真に撮る時はいい場所だった。
 
さっそく観戦記といきましょう。
第一試合、渕正信vs奥村茂雄。
第一試合にも関わらず会場がヒートアップ。
全日のファンはあたたかいなぁ。
もちろん渕というのもあるだろうし、期待通りの試合をしていた。
渕のいやらしい攻撃に対しても奥村はひるむことがないし、逆に渕をコーナーに逆さ吊りにしてしまうという逆襲も見せた。
最後は渕のバックドロップを二発くらい3カウント。
第一試合にするにはもったいない試合だった。
試合後マイクで観客に感謝する渕

第二試合、SHINOBIvsSHIIBA。
オレはどちらとも見たことがない。
この試合はあまり面白くなかった。
内容がちょっと全日のレベルではなかった。
1つ驚いたのは、コーナー最上段に立っている選手に対して、雪崩式フランケンシュタイナーを出したこと。
あれはなかなか迫力があった。
しかしヤジがうるさかった。
「金かえせー」とか帰れコールをしようとする輩もいた。
気持ちは分からんこともないが、思うのは勝手だが声に出して言うな。
会場はコアなファンだけじゃないし、あれでも楽しもうとすれば楽しむこともできる。
変なヤジのせいでしらけてしまうじゃないか。
変なウケ狙いのヤジ野郎は会場に来んな。
 
 
第三試合、相島勇人vsジャイアント・キマラ。
試合前にキマラが、サービスのプレゼントと引き換えするためのカラーボールを客席に投げ込むのだが、何を思ったかキマラは向こう正面の方向にしか投げなかった。
こっちに飛んで来ないじゃないかコラー(笑)
相島勇人という選手も見たことが無かったのだか、なかなか上半身に筋肉がよく付いていて、試合もいいものを見せてくれた。
キマラがなにやら意味不明な雄叫びを発しながら試合をしていたのだが、相島はウルセーコノヤローとか言いながらいい試合を見せてくれた。
最後は200Kgのキマラに圧殺された。
こんな変なヤツだったのか(笑)

休憩を挟んで第四試合、
マイク・バートン、ウルフ・ホークフィールドvsジョージ・ハインズ、スコーピオ。
スコーピオ組は共にジュニア(だと思われる)なので、体格的につらいんじゃないかと思っていたのだが、それがなかなかスコーピオ組ががんばってくれて、いい試合を見ることが出来た。
当然体格で負けるスコーピオ組は空中戦を挑むのだが、なぜか場外戦はオレから見て向こう側ばかり。
見えないじゃないかコノヤロー。
叫ぶウルフ。コレもなかなかサマになってきた。
しかしやはりジュニアとはいえ100Kg近くある人間が飛ぶ姿は迫力がある。
またバートン組もかなりいいコンビネーションを見せてくれた。
今までジョニー・エースの影に隠れていた感があるバートンだが、エースがいなくなって前に出る気持ちが強くなったのだろうか、これからさらに期待できそうだ。
バートン組のWショルダー
一時はスコーピオ組がフォールを取るんじゃないかという場面もあったが、最後はバートンの一瞬の返し技で決まった。
驚いたのは、その返し技というのがなんとエースクラッシャーだった。
ロープを挟んでリングとエプロンサイドでの攻防で、エプロンにいたスコーピオ(ハインズだったかも(^^;)が跳び技をしようとしたところ、空中でバートンがスコーピオの首を掴み、そのままエースクラッシャー。
これで3カウントだった。
はじめからこの技をやろうと決めていたのか、たまたまだったのか、何かメッセージでもあるのだろうか。
 
第五試合、「職人対決」藤原喜明vsジョニ・ースミス。
オレにとって初めて生で見る藤原組長。
期待通り、濃い試合を見せてくれた。
しかし組長は体力がきついのか、後半からへばりきっていたのが印象だった。
途中、場外に落ちたスミスに対してトペの格好を見せ、スミスが急いで逃げてリングに戻ってきた後、「チッ」という仕草を見せたのには面白かった。
アナタその体力でトブノデスカ?(笑)
後半はほとんどスミスが攻めて、たまにヘッドバッドで組長が返すが、やはり技が続かなくてスミス優勢。
最後はロープから走ってきたスミスの腕を取ってワキ固めで組長が切って取った。
コレシカナカッタネ(笑)
でもけっこう満足されてくれる試合内容だった。
しかし組長の「ワルキューレの喜行」はかっこいいなぁ。
馬場さんのTシャツで入場する組長
組長必殺ヘッドバッド


第六試合、スティーブ・ウイリアムスvs新崎人生。
オレは人生がすごく好きだ。
技もいいし、受け身もうまい。
あれで体が大きければ、または全日に入っていれば、今頃トップレスラーになっていただろうと思う。
あの修行僧スタイルもいい。
スタイルというか、彼はホンモノの修行僧だ。
初めてナマで見てさらにそう感じさせてくれた。
修行僧以外何者でもない人生
さて試合なのだが、いきなりエライことをしてくれた。
人生をリフトアップしたウイリアムスが、そのまま場外に落とそうとしたのだ。
一度は和田京平レフリーが止めたのだが、一瞬のスキをつき反対側の場外に投げ捨てた。しかもなんと場外にある本部席の机に人生が直撃。
机は折れ、人生は客席に転がって動かなくなってしまった。
オレは一緒に見に行ったツレに、「こいつ(ウイリアムス)は無茶するから」と言っておいたのだか、ホントに無茶苦茶してくれた。
この後そのまま場外に!!
なかなか立ち上がれない
動かない人生に対してさらに追撃しようとウイリアムスがリングを降りようとするが、必死で和田レフリーが制止する。
レフリーとウイリアムスがもみ合いになるが、結局レフリーが勝ってしまった。
一斉に起こる京平コール(笑)
おとなしくなるウイリアムス(笑)
体を張ってウイリアムスを止める京平レフリー
その後なんとかリングに戻った人生だが、ダメージが抜けるものでもなく、ほとんど防戦一方になってしまった。
ウイリアムスのオクラホマスタンピートや殺人バックドロップをなんとかかわし、コーナーからの拝みボディーアタックや拝みパワーボム、輪廻などで対抗するが、それもウイリアムスにはさほど効かず、最後は殺人バックドロップに沈んだ。
1度はバックドロップを食らってもカウント2で返したのだが、二度目は無理だった。
  
人生の反撃
 
しかしウイリアムスの圧倒的パワーにはかなわない。
右オクラホマスタンピート、左殺人バックドロップ
しかしいつも思うのだが、人生は受けにまわるとさらに光る。
三沢もそうなのだが、受けが絵になるレスラーというのはホントにいいレスラーなのだ。やはり人生はよかった。

試合後握手する二人。共に外の人間だが全日に対する思いは強い。
しかし1つ残念なのが、拝み渡りが見れなかったことだった。
あんなフラフラでやったら落ちそうだったもんなぁ(笑)
人生の修行はまだ続く
 

第七試合、待ちに待ったメインイベント。
川田利明、天龍源一郎vsスタン・ハンセン、マウナケア・モスマン。
試合前から会場は異様な興奮。
まずはモスマンから入場。
一人ずつの入場だった。
モスマンはちょうどオレが座っている席の対角線の花道から出てきたから、川田・天龍はオレ側から出てくる。
すでのこの時点で花道に群がる群衆。
その中の一人なオレ。
続いて入場はスタン・ハンセン。
ブルロープを振り回してのいつもの入場。
あのロープで殴られたい(笑)
そしておきまりのウィィィィィィィィィィィィィィ。
会場中一緒にウィィィィィィィィィィィィィィィィ。
オレも一緒にウィィィィィィィィィィィィィィィィ。

ミスタープロレスとなって帰ってきた天龍
ハンセンが入場し終わった時、こちらの花道から多数の男どもがやってきた。
その手には天龍ののぼり。
会場がさらに興奮する。
そして何年ぶりかの天龍のテーマが流れる。
天龍が入場してくる。
いつもの不敵な表情。
眉一つ動かさない。
リングインしてハンセンと目線があったのか、ここからは天龍が背中で見えない。
大興奮のまま川田入場。
川田もいつものままだった。
 
いつも通り無表情の川田
ゴングが鳴り、はじめは天龍とモスマンのやり合いから始まった。
実際オレも興奮していて細かく覚えていない(^^;
とにかくミスタープロレスとなって帰ってきた天龍のプロレスは素晴らしかった。
天龍の代名詞ともいえる逆水平チョップは全然違う。
乾いたパチィィンという音でもない、ドスッという音でもない、
ドゴォォォンという骨にまで伝わりそうな、会場全体に響きわたらんかというほどのすざましいモノだった。
後一歩で全日のマットへ
全日のエースと肩を並べる天龍
   
これが男の後ろ姿だ
全日を離脱する前にも激しい戦いを繰り広げてきた天龍とハンセン。
どんなことを感じながらこの二人はリングに上がり、闘ったのだろうか。
数発のチョップでハンセンの白い肌が真っ赤になる。
ハンセンもキック、エルボーなどやりかえす。
共に50を過ぎる年齢なのに、すごい攻防を見せてくれた。
プロレス界一の逆水平チョップ
だが、この試合でのMVPはモスマンだった。
川田・天龍・ハンセンというビックネームに囲まれたモスマンがどこまでやれるかが一つの焦点だったが、モスマンは予想や期待以上のファイトを見せてくれた。
天龍に対しても全く臆することなく攻める。
キックの音が響く。
天龍とのチョップキック合戦にも負けなかった。
グーパンチも受けきった。
WARスペシャルも耐えきった。
ここまでモスマンがやれるとは誰が想像しただろうか。
天龍はモスマンにノーザンライトボムまで出した。
全日で出すノーザンライトボム。
その後乱戦になるが、不意にハンセンが天龍にラリアット。
予告無しのラリアットだった。
現在のプロレス界で唯一と言っていい「一撃必殺」のハンセンのウエスタンラリアット。さすがにいかに天龍でもこの一撃でのびてしまった。
タッグ戦なのでカウント3まではいかなかったが、天龍のあの姿はそう見られるものでもない。
グーパンチ
WARスペシャル
ノーザンライトボム
 
その全てを受けきったモスマン
場外で天龍とハンセンがやり合い、リングでは川田とモスマンがやりあう。
川田のパワーボムが決まりこれで終わりかと思ったが、なんとモスマンは2カウントで返す。
最後まですごかったモスマンだが、結局川田の超高角度パワーボムによって沈まされてしまった。
場外でも激しい天龍とハンセン
勝負を決めた川田の超高角度パワーボム
しかしよくやったモスマン。
試合後モスマンは外人選手たちに肩車されていた。
その場にいる全ての者に認められた、いや認めさせたのだ。
この試合のMVPはモスマンだということを。
もっともっと成長して欲しい

試合後、しばらく外人選手一同がマットに上がり、もしかしたら川田や渕が来るのを待っていたのかもしれないが、一向に現れる様子もなく、そのまま今シリーズの最終戦が閉会した。
やっぱりプロレスはいい。
ライブはいい。
全日も、また来たい、と思わせるような試合をしてくれた。
とても満足して家に帰ることが出来た。
 
 
しかし観戦記は難しいなぁ。
試合中にメモしながらでないと、ちょっと覚えていられない。
これを読んで少しでも雰囲気が伝わればいいのだが。
これからは遠い席でもいいから、チョクチョクいろんなプロレスを見に行こうと思う。
おきまりの言葉だけど、テレビで見るより迫力が全然違うから、興味がある人は絶対に見に行くことをお勧めする。
本当にプロレスは素晴らしいスポーツだ。


2000/06/20