論拠を無視して批判する行為はただの悪口

 朝のTBSのワイドショー「朝ズバ」で、与良さんっていうコメンテーターの人が「参議院で総理の所信表明演説をさせなかったのは憲政史上初の汚点だ。自民党は何をしてるんだ」的なコトを言ってました。
 これこそまさに「論拠に対して正面から反論せずに悪口を投げかける行為」の典型例です。
 テレビでこんなコトやってるから、いつまでたっても日本ではキチンとした議論というモノが根付かないんですよ。
 
 なぜ参議院が総理の所信を開かなかったのか。
 それにはキチンとした理由があります。
 「問責」が可決しているからです。
 参議院は院としての意志として「野田総理は総理として不適格」と決定したのです。
 であるなら、その不適格と烙印を押した人に対しては、少なくとも参議院の中では総理顔をさせないとするのは、こんなのは当然中の当然のお話でしょう。
 むしろ自ら「不適格」と言ったのにも関わらず、平然と総理然とさせる方が不自然極まりないお話です。
 
 間違ってはいけないのが、これは「参議院」という公的機関の決定だという点です。
 
 決して自民党が政党としての判断だけで「野田総理は不適格だ」と言っているのではありません。
 「参議院」という国会を構成する1つの院が正式に公式に「野田総理は不適格だ」と言っているのです。
 だから他の野党、公明党や国民生活党、また共産党などすらこの「所信をやらない」というコトに賛成して、昨日は行われなかったのです。
 他の政党は「自民党に同調」したのではありません。
 「参議院の決定」に従っただけなのです。
 ここを間違えてはいけません。
 
 参議院は参議院としての意志と決定によって、総理と認めない野田総理の所信を拒否したのです。
 ですから、もしこの「所信の拒否」について反論するのであれば、「参議院としての意志と決定」という論拠の部分に反論しなければなりません。
 逆に言えば、論拠の部分である「参議院としての意志と決定」が崩されれば、所信の拒否はしなかったコトになるのですからね。
 よってこの件に関して議論する場合最も大切なのは、「参議院としての意志と決定」に対してはどう考えるのかという点です。
 
 それなのに与良さんっていう、この人何者ですか?、コメンテーターの人は「問責」という言葉すら一切言わずして自民党批判に繋げました。
 論拠に対して反論しないばかりか、存在を無視しての物言いです。
 こんなひどい言論はありません。
 というか言論じゃないですよ、こんなの。
 頭ごなしに「お前はバカだ」と言っているようなモノで、「なぜそう思うのですか? 私のどの行為がどのようにバカだとおっしゃるのですか? 私の言い分は聞いてもらえないのですか?」と言っても、それを一切無視して「お前はバカなんだからバカだ」と言っているだけなんですね、これでは。
 これはただの暴力ですよ。
 言論でも議論でもなんでもない誹謗中傷の類です。
 
 こんな言葉の投げっぱなしだけをしてしても、政治はよくなりません。
 何をどういう根拠を持ってこうするのかっていう部分が分からずして、政治の何が分かるって言うのでしょうか。
 所信をやらなかったコトを悪と言うのもその論拠が必要ですし、それは歴史上初めてのコトだと与良さんは言ってましたが、初めてだから悪というのは論拠として成立しませんし、そもそも所信をやらなかったコトよりも、参議院の正式な意志と決定である問責を可決したまま所信をやる方がよっぽど暴挙でしょう。
 それはひいては日本の国会の一翼を否定するコトであり、すなわち国権の最高機関である日本国家そのものを否定するコトであり、それは国民を否定するコトでもあるのですから。
 
 与良さんとTBSは、意見する時はまず論拠を示し、反論する場合は論拠に対してすべきです。
 アナタ達の言葉は、それは言論でも批判でもなく、ただの誹謗中傷であり暴力でしかありません。
 公共の電波を使ってやっていいコトではないのです。