急に解散風が吹いてきましたが

 急に解散風が吹いてきました。
 ちょっと前まではもはや任期満了で、集散同時選挙だろうみたいに思われていましたが、自民党がここにきて法案を通させる作戦に出て特例公債法案もやると言いだし、これに抗える理屈を持たない民主党も結局今日明日と予算委員会を2日間開催するコトに同意して、いよいよ野田総理が解散の条件として出していた一番の案件が通るのが目前と迫ってきました。
 野田総理と安倍総裁の思惑は本音のところではどうなのかというのは本人にしか分からないのでしょうけど、今後両者はどういうシナリオをその頭の中に描いているのでしょうか。
 
 ただやえは、どうもこの流れには違和感を強く覚えます。
 
 野田総理を言えば、そもそも野田総理は解散するために条件を出せるような立場なのですかと言いたいです。
 「○○をすれば解散してやる」とは、なにか日本史上最低最悪の菅直人総理を思い出されますが、そもそも民主党の一番の悪というのは「自分が言ったコトを自分は実行しない」「他人に投げつけた言葉は自分には適用しない」というところにあります。
 やると言ったマニフェストをやらない、野党時代に自民党に投げつけた言葉を自分はやらない、こういう「口だけ達者だけど実行を伴わない無責任な体質」こそが民主党の癌なワケです。
 例えば「選挙を経ていない総理は認められない」と、議院内閣制を否定するかのような言い方を自民党政権下では言っていたくせに、いざ自分達が政権を取ったら、今度はもう3人目の総理大臣ですよ。
 「選挙を経ていない総理」を堂々と2人も擁しておいて、過去の発言に対する総括を一切しない、むしろそんな発言なんて無かったかのような態度を民主党はとっているワケです。
 こんなデタラメなお話はありませんよ。
 ですから、民主党は「自らの発言を履行するため」と「過去の発言を破った」という2つの点で解散は義務であるのです。
 本来なら、鳩山総理退陣時に解散しなければならなかったのです。
 解散のための条件を出せるような立場にはありません。
 そんな民主党政権がいまさら解散の条件を提示するとは、一体自分達の立場をどう勘違いしているのですかと言うしかないワケなんですね。
 
 政権は4年間キッチリやらせるべきだっていう意見もあります。
 それはやえもそう思います。
 しかしそれはあくまで、「選挙の際に国民と約束したコトを履行し続けている場合」に限ります。
 本来こんなのは当たり前すぎて議論の俎上にすら上がらなかった案件ですが、しかし民主党のせいで見事に問題化してしまいました。
 質が下がっているんですね。
 民主党は4年間かけて出来なかった、という状態ではありません。
 4年かける前段階でストップをする方向転換をする真逆のコトをする、こういうデタラメをやってるワケです。
 いまはこの行為をどう判断するのですかって段階なのです。
 もし選挙の際に言ったコトと真逆のコトをしだしたら、果たして民主主義というモノはどうなってしまうのでしょうか。
 有権者は何を信じて投票すればいいのでしょうか。
 本来「書いてないコトをやる」のはいいんです。
 政治も現実も常に動き続けているのですから、その時に実行しなければならない案件が出てくれば、それを議論して実行するのはむしろ政治の責任、そうするために人間が政治を担っているのですから、それはいいんです。
 でも「書いてないコトはやらないと言ったのにやる」とか「言っていたコトと真逆のコトをする」は論外です。
 言ってみればそれは「投票した先と違う人間が政治をやっている」という状況なワケで、これでは民主主義の崩壊ですよね。
 だからこその解散なワケです。
 民主党がダメだから解散しろというよりも、民主主義の崩壊に繋がるから解散しろっていうのが、いまの解散理由では一番大きいのです。
 
 解散というと常に党利党略と結びつけてしか考えられない党利党略脳の人が少なくありませんが、なんのために解散するのか、どういう理由で解散するのかっていう部分は常に考えておかなければならないでしょう。
 なにごとにも理由があって論拠があるのです。
 なんとなく解散するっていうモノではないのです。
 
 こう考えていくと、やえは自民党にも一言言っておきたいコトがあります。
 自民党というよりは、安倍総裁に対してと言った方がいいかもしれません。
 ひとことで言えば「解散させるための太陽政策には、自民党としての筋の理屈がどこにあるのですか」という点です。
 
 
 (つづく)