国を売る毎日新聞

 中国人民軍による射撃管制用レーダー照射の件ですが、両極端な記事を見かけましたので、ご紹介と批判をしておきたいと思います。
 こちらです。
 

 中国海軍:レーダー照射 安倍政権に大きな衝撃
 
 海上自衛隊の護衛艦などに対して、中国海軍の艦船が火器管制レーダーを照射したことが表面化し、日中関係の改善に乗り出したばかりの安倍政権に大きな衝撃を与えた。公明党の山口那津男代表の訪中などで関係改善の模索が始まった中、さらに日中関係が冷え込むのは避けられない。外務省は5日、中国側に厳重抗議したが、防衛省の分析に時間がかかり、外務省への連絡は発生から約1週間が経過していた。
 
 レーダー照射の一報が防衛省から官邸に入ったのは護衛艦が照射された1月30日。同省は電波の受信データを解析し、2月4日に火器管制レーダーと断定した。首相は5日午後、官邸で小野寺五典防衛相から報告を受けて公表を了承。首相周辺は「分析に時間がかかった」と述べ、情報の確定を慎重に待っていたことを示唆した。
 岸田文雄外相も5日夜、防衛省から中国へ抗議するよう要請を受けたのは同日になってからだったと明かした。
 外務省は前日の尖閣周辺の領海侵犯について5日午前、中国の程永華駐日大使に抗議したばかりで、中国側へ1日に2回抗議する異例の事態となった。

 

 首相が中国への抗議指示 現場では粛々と回避措置
 
 中国海軍艦艇による射撃管制用レーダーの照射を受け、安倍晋三首相は万全の対応と中国側への抗議を指示した。1月19、30両日という短期間に立て続けに照射されたことは、到底看過できないためだ。政府としては今後も同じような威嚇には粛々と回避措置をとり、外交面では自制を求めることで、中国側の不当さを国際社会に訴えていく考えだ。
 「自制を求めないと大変心配な状況になる」
 小野寺五典防衛相は5日夜の記者会見でレーダー照射の危険性を繰り返し訴えた。「攻撃意図ありとのメッセージ」(自衛隊幹部)ともいえるレーダー照射だけに当然の懸念といえる。
 防衛省は先月30日の時点でレーダー照射について首相官邸に報告。首相は「国民と国際社会に隠す話ではない」と判断し公表を指示した。公表にあたり詳細なデータ分析・検証で事実関係を固めたのは、「中国側が『ぬれぎぬ』と言いがかりをつけてくる」(政府高官)ことを念頭に反論の余地を残さないためだ。
 同じ威嚇が繰り返されても自衛隊の対処はこの範囲にとどめる見通しだ。対応を先鋭化させている中国とは対照的に抑制的な対処を続けることが、沖縄県・尖閣諸島をめぐる対立で国際世論を味方につけることにつながるためだ。

 
 上が毎日新聞で、下が産経新聞です。
 読むだけでかなり差が目立つワケですが、ひとことで言えば「安倍政権内部の不和を煽り立て政権へのダメージに繋げようとしている」のが毎日新聞で、「日本政府の冷静沈着でスキのない対応を伝える」のが産経新聞ですね。
 ほぼ同じ内容なのに、どうしてここまで差が出るのでしょうか。
 
 そもそも毎日新聞の「中国海軍:レーダー照射 安倍政権に大きな衝撃」っていうタイトルがおかしいんですよ。
 産経も含めた中国海軍っていう単語についてはまぁ置いておくにしても、毎日新聞は衝撃がなぜ「安倍政権」に限定されているのでしょうか。
 衝撃を受けたのは日本国そのものであり、日本国民全員の問題です。
 それなのになぜ安倍政権限定のタイトルになっているのか、疑問だと言うしかありません。
 実際には存在しない安倍政権のダメージというモノを、記事に書くコトによって事実化させようとしているのでしょうか。
 
 記事の中身もそうです。
 「外務省は5日、中国側に厳重抗議したが、防衛省の分析に時間がかかり、外務省への連絡は発生から約1週間が経過していた。」と、さも防衛省がモタモタしていたかのように書き立て、内閣内部での連携がとれていないかのように伝えていますが、事実は違います。
 産経新聞にありますように
 

 公表にあたり詳細なデータ分析・検証で事実関係を固めたのは、「中国側が『ぬれぎぬ』と言いがかりをつけてくる」(政府高官)ことを念頭に反論の余地を残さないためだ。

 
 という理由からの一週間後だったワケです。
 そもそもですよ、毎日新聞の記事だけだと「外務省への連絡は発生から約1週間が経過していた」と、さも外務省と岸田文雄外相がレーダー照射の事実自体すら一週間も知らなかったかのように印象を受けてしまいますが、実際は「抗議要請」が一週間後だったというだけです。
 産経新聞にありますように、防衛省は事実報告自体は「防衛省は先月30日の時点でレーダー照射について首相官邸に報告」しているのです。
 官邸に報告している時点で、当然として外務省を始めとする関係省庁には連絡はいっています。
 その上で安倍総理の判断により、事実は公開する、ただし中国に反論の余地を残さないようデータをしっかりと分析した上で公開し、そして正式に抗議すると決められて、その方針の下の昨日の情報公開だったワケです。
 この事実を踏まえれば、もはや「外務省は5日、中国側に厳重抗議したが、防衛省の分析に時間がかかり、外務省への連絡は発生から約1週間が経過していた」という書き方をするのは、ウソデタラメのレベルだと言うしかないでしょう。
 
 毎日新聞だって事実自体は捏造出来ずに「レーダー照射の一報が防衛省から官邸に入ったのは護衛艦が照射された1月30日」とキチンと書いています。
 ただ、この事実を書く中での文脈が酷いのです。
 

 レーダー照射の一報が防衛省から官邸に入ったのは護衛艦が照射された1月30日。同省は電波の受信データを解析し、2月4日に火器管制レーダーと断定した。首相は5日午後、官邸で小野寺五典防衛相から報告を受けて公表を了承。首相周辺は「分析に時間がかかった」と述べ、情報の確定を慎重に待っていたことを示唆した。

 
 なにやら時間がかかっていたコトだけを強調している文章ですよね、これ。
 官邸周辺の声としては「分析に時間がかかった」だけを記事に書き、いかにも言い訳をしているかのように印象づけているワケです。
 そして極めつけが
 

 岸田文雄外相も5日夜、防衛省から中国へ抗議するよう要請を受けたのは同日になってからだったと明かした。

 
 の一文です。
 抗議が遅すぎると言わんばかりですよね。
 でも繰り返しになりますが事実としては「「中国側が『ぬれぎぬ』と言いがかりをつけてくる」(政府高官)ことを念頭に反論の余地を残さないため」なのです。
 無駄に時間がかかってしまったワケでも、政府内部での連携がとれていなかったワケでもありません。
 事件発生の事実事態はすぐに防衛省から官邸に報告があがっており、その上で「データを固めてから公開と抗議をする」との既定路線での昨日の発表だったのですから、これはむしろ情報がマスコミをはじめとする外部に一切漏れずに粛々とそれぞれの部署が仕事を的確にこなした結果だと言えるでしょう。
 
 さらに言うのであれば、産経新聞の「「中国側が『ぬれぎぬ』と言いがかりをつけてくる」(政府高官)ことを念頭に反論の余地を残さないため」の部分は、記事にもありますように「政府高官」のお話なのですが、この政府高官とは官房副長官のコトを指します
 つまりオフレコとは言え一部のマスコミのスクープ的なセリフなのではなく、少なくとも主要新聞の記者は全て聞いている事実なんですね。
 当然、一応主要新聞である毎日新聞も、この官房副長官の発言は聞いているハズです。
 つまり毎日新聞は「中国側の言い訳を封じるために時間をかけた」という理由を知っていたのです。
 知っていた上で、それを敢えて隠して「分析に時間がかかった」とだけ書いたのです。
 少なくとも時間がかかったのなら、それが「なぜかかったのか」という理由を書く必要があるでしょう。
 これでは事実を伝えるという意味では0点ですし、さらに事実を敢えて隠すなんていうコトをしているワケで、これでは悪意を持って「事実をねじ曲げている」としか言いようがありません。
 もはや報道ですらないと言えるでしょう。
 
 毎日新聞のこのような書き方は、いたずらに国民の不安を煽り立て、冷静に仕事をこなしている安倍政権を無駄に攻撃して、結果的に国民の利益を損なわせる上に、それは中国の利益に誘導しているとしかいいようのない行為だと断じざるを得ません。
 つまり毎日新聞は意図的に日本を売ろうとしていると言うしかないのです。
 もしそれが違うというのであれば、なぜこのような悪意丸出しの意図的な記事が出てくるのか教えて貰いたいぐらいです。
 まったく一般的な常識では理解出来ません。
 本当に悪質です。