一票の格差を解消するためには議員を増やすしかない

 高等裁判所での判決ですが、先日このような判決が出ました
 

 1票の格差、12年衆院選は「違憲」 東京高裁判決 無効請求は棄却
 
 衆院選を巡り、最高裁大法廷は11年3月、最大格差2.30倍だった09年選挙は投票価値が不平等で違憲状態だと判断。都道府県に最初に1議席ずつ割り振る定数配分が、人口比例配分をゆがめているとして是正を求めた。しかし昨年12月16日の選挙で定数配分は変更されず、格差は拡大していた。
 判決理由で難波裁判長は、最高裁判決が警鐘を鳴らしてから約1年9カ月が経過していたことを重視。「昨年選挙まで見直しが困難だったとは認められず、是正するための合理的期間を過ぎていた」として違憲とした。
 一方で、国会が昨年11月、小選挙区定数を「0増5減」する法改正を行い、格差を2倍未満に収める区割りの見直しを進めているなどの事情を総合的に考慮。公益に重大な障害を生じる場合は違法の宣言だけにとどめられる「事情判決の法理」を適用し、選挙のやり直しは認めなかった。
 また、「選挙無効の効力が一定期間経過後に発生するように限定する判決もできる」と指摘。国会の対応次第では、今後は無効判決もあり得ると示唆した形だ。

 
 いわゆる「一票の格差問題」というモノです。
 この問題当サイトではかなり繰り返して取り上げているモノですが、改めて言いましょう。
 もし本当に「一票の格差問題」を解消したければ、議員定数を増やすべきです。
 そうすれば、いとも簡単にこの問題は解決するのです。
 それなのになぜ誰もこれを言わないのでしょうか。
 
 今日の朝のテレビでもこの問題を大きく取り上げていましたが、やっぱりテレビは政治や国会議員を批判するばかりで、ではどうすればいいのかというコトを言いません。
 また自称専門家も、それっぽいコトは言うのですが、でもこの最もシンプルで、かつ確実な方法を言う人がいません。
 やえは断じます。
 「議員定数を増やす」という方法を、少なくとも選択肢の一つとして挙げない人は、すべて「自称」専門家です。
 とにかく「一票の格差問題」を解決しようとするのであれば、有力な選択肢として「議員定数を増やす」を挙げなければウソですよ。
 テレビには自称専門家ばかりがあふれています。
 
 そのうちの一人はしたり顔でこう言ってました。
 曰く、最高裁も指摘しているが「1人別枠方式」制度が一票の格差問題を助長しているのだ、と。
 つまりですね、現行制度では47都道府県に定数1ずつを割り振る「1人別枠方式」というモノがとられていて、文字通り都道府県には最低1人は必ず議員がいなければならないという制度ですが、これを廃止すれば一票の格差問題は解決の方向に向かうだろうという意見です。
 しかしこれは、結果的に「国会議員がいない都道府県」が生まれる可能性を示唆しています。
 というか、現状で2倍以上の差があり、その「1人別枠方式」があるからこそ差が生まれるというのであれば、一番人口の少ない県がそうなってしまうコトはまず確実だと言えてしまうハズです。
 果たしてそれは許されるコトなのでしょうか。
 
 その自称専門家は、さすがにこれには気づいていたようで、「国会議員のいない区が生まれてしまうかもしれない」とは言ってましたが、その後がひどいのです。
 「だから議員がいない地方の声を国政に反映させるシステムを作るべきだ」と言うのです。
 はぁ、そうですか、ではそれを具体的にどのような仕組みで担保するのでしょうかとお話を聞いていたらですね、なんと、そこで終わりなのです。
 「作るべきだ」とドヤ顔で言って、それで終わりなのです。
 具体的にどんなシステムなのか一切言わず、それで終わりなのです。
 さすが自称専門家は違います。
 こんなの絵に描いた餅ですらありません。
 自分で「議員のいない区が生まれても構わない」と言いながら、その担保の方法は一切論じないのです。
 まぁどうせ何も考えていないのでしょう。
 テレビも自称専門家も、言うだけ言って、国政を混乱させたいだけなのかもしれませんが。
 
 だいたいですよ、議員のいない区が生まれるというコトは、つまりそこの選挙区に暮らす人々の票はすべて残らず「死票」になるというコトです。
 そんなコトが許されるのでしょうか。
 やもすれば「国政は都会の人間だけですべてを決すればいい」というコトにすらなります。
 日本とは、地方色豊かであるからこそのお国柄なんですから、このような「地方切り捨て」の制度はやえは絶対に賛成できません。
 最高裁も含めて、この自称専門家達はこの問題をどう考えているのでしょうか。
 
 「一票の格差問題」を解決するためには、議員定数を増やすコトこそが真の解決です。
 簡単なお話です。
 例えば人口の多い区が10万人、少ない区が5万人となっている場合、つまりこれは2倍の格差があるというコトですが、これを解決するにはどうすればいいのでしょうか。
 簡単ですよね。
 議員定数を1人増やして10万人の区を2つに割れば、5万人ずつになって格差が解消されますよね。
 たったこれだけなんですよ。
 
 対して減らすコトで格差を解消する方法もあるコトはあります。
 さっきの例で言えば、5万人の区を、隣の5万人の区とを合併させれば10万人の区になるっていう方法です。
 でも残念ながらこの手法はもはや根本的解決をする場合には出来ません。
 なぜなら、島根県とかは衆議院の区が2区しかないからです。
 もしこれを1つに合併してしまえば、それは参議院と全く同じ選挙区になってしまい、衆議院と参議院の違いが無くなってしまうからです。
 参議院という存在がなければそれもいいのでしょうけど、現状は参議院がありますし、参議院の存在は憲法規定ですから、選挙区の事情だけで参議院をなくすという論法は無理筋です。
 ですから、「一票の格差問題」を解決するためには、最も人口の少ない区を基準として、その人口から大きく離れない人口ごとに区分けをしていく、というのが一番理想的な選挙区分けなのです。
 
 ちなみにですが、現在衆議院区分けで最も有権者が少ない区は高知県第3区だそうです。
 そして高知県は3選挙区ありますから、これを2選挙区にすれば多少はマシになるのでしょう。
 おそらく「0増5減」は、この辺の調整から出てきている案だと思われます。
 ただしこの辺のギリギリの調整は、あくまで「2倍以下」にするためだけのモノです。
 根本的解決にはならないでしょう。
 あくまで東京や千葉などの人口が多い選挙区を割って議員を増やすしか、根本的解決はあり得ないのです。
 
 これは議員定数の問題にもかかってくる問題ですが、日本は議員数は人口比で見れば世界でも有数の国会議員が少ない国です。
 そうした中、一票の格差問題で削減するしか手段を主張しない人たちにはうんざりです。
 固定概念にとらわれずに、根本的解決を目指すならどうすべきか、キチンと考えて主張してほしいと思います。