一律給付金騒動の真実を探る-中編-

 では続けて、やえの言葉に書き直しの「一律給付金騒動の真実を探る-中編-」です。
 もしまだ前回をお読みでない方は、まずは先に前回を読んでください。
 
 右も左もイッてよし!
 バーチャルネット思想アイドルのやえです。
 
 さて。
 今回は国民民主党の玉木代表に注目して、現金給付に関する騒動について見ていきたいと思います。
 未だネット上においては「玉木代表が一律現金を最初に断言した人」と思われているようですが、よくよく検証すると、それは違うというコトが見えてきます。
 前回でもその辺ちょっと触れましたね。

 またこの政策発表記者会見における質疑応答の場面では  

 やはり現金が一番早くて便利というところがあるのですが、おっしゃるとおり貯蓄に回ってしまう可能性も高いので、その点については、例えば期限つきの金券を新たに政府から発行するとか、あるいは期限つきの電子マネーやポイントとして給付するということも考えていきたいと思っています。

https://www.dpfp.or.jp/article/202722/%E7%8E%89%E6%9C%A8%E9%9B%84%E4%B8%80%E9%83%8E%E4%BB%A3%E8%A1%A8%E8%A8%98%E8%80%85%E4%BC%9A%E8%A6%8B%EF%BC%92%EF%BC%90%EF%BC%92%EF%BC%90%E5%B9%B4%EF%BC%93%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%98%E6%97%A5%EF%BC%88%E6%B0%B4%EF%BC%89

 と、商品券やポイントを示唆していますので、実は玉木代表と国民民主党はこの段階では、全て一律現金だとは考えていなかったコトが分かります。
 次回で詳しく考察しますが、3/18の時点でも玉木代表は「一律10万円」と断言できておらず、この時点での玉木代表の主張というのは「1人10万円程度の価値の何らかの手当を、ある程度配布対象を限定して給付を行うべき」と言っていたと表現するのが一番近いと思われます。

 3/9付けのツイートで「1人10万円程度の簡素な給付措置」と発言されておられるので、主要政治家の中で一番早く「なんらかの給付」を言及したというのは確かだと思います。
 しかし、これをもって「10万円の現金」を「国民に一律」に給付せよと玉木代表が言及したとするのは無理があります。
 このツイートだけでも「程度の」とか「措置」とか言ってますから、商品券やポイントを念頭に置いていたのであろうコトは十分に考えられます。
 
 その上、3/18の玉木代表の記者会見の場での発言も、それを補強する形になっています。

 まずこの画像ですが、「生活保障として国民1人あたり10万円給付」の予算規模を10兆と書いてるので、一見すると一律のように見えますが、しかしよく考えてみてください、日本国民の人口は約1億2600万人ですから、本当に一律10万円であれば予算規模は「12兆6千万円」です。
 2兆6千億円はどこいっちゃったんでしょうか?
 もしかしたら「分かりやすいよう他の項目と合わせて10兆円と書いたんだ」と言うかもしれませんが、いやさすがに2兆6千万円はサバを読みすぎですよ。
 2兆って、今度編成される予定の第二次補正予算内に組み込まれている、いわゆる家賃補助の予算規模に匹敵、というか、それよりも多いワケで、決して切り捨てていい予算額ではありません。
 なので、ここを自然に解読するなら、この段階では玉木代表もある程度の所得制限を考えていたと見るのが自然でしょう。
 おそらく、高所得者を足切りする想定だったのではないかと思われます。
 
 前回も言いましたが、この時期はまだ世論も含めて高所得者は含めないのが当たり前のような雰囲気でもありましたので、玉木代表の発言も当然と言えば当然とは言えます。
 そしてそれを認めるかのように、玉木代表がはじめてハッキリと「一律を断言」した際においての記者会見では、逆に高所得者配布への批判についての配慮を見せています。

 その意味では一人当たり10万円を、これはどんな形態でも私はこだわりません。要はスピードです。ただ、現金より早く配れるスピード感のある手段があまり思いつかないので、私はもう現金で一律、今からでも年度内に配ったほうがいいと思います。  高所得者にも10万円配るのはけしからんという声がありますが、それはスピード感を重視するという観点で、そういう人に行ってもいいではないですか。

同日3/25玉木代表記者会見より

 「高所得者にも10万円配るのはけしからんという声がありますが」と、これまではやはりこの手の批判に配慮していたコトを暗に認めているワケですね。
 また「もう現金で一律」の「もう」に本音が見えている気がします。
 「ここまできたら、もういっそのコト、現金で一律」の「もう」ですよね。
 
 というワケで、玉木代表が「一律現金」を明言したのはこの3/25が初めてだと思われます。
 逆に言えば、この正直なやりとりが、これまで現金確定でも一律確定でもなかったと証明していると言えるでしょう。
 「あまり思いつかないので」という発言も正直で人柄が出てますよね(笑)
 
 ちなみに「高所得者を足きりするのならいいじゃないか。限定30万は対象者が少ないのが問題だったんだ」と言う人もいるかもしれませんが、これは論拠としては成立しません。
 なぜなら、限定30万がひっくり返された理由は、対象者が少ないのが問題なのではなく、「一律の方がスピードが早い」という理由からなされたためです。
 であれば、「高所得者の上一部を足きりする」のと「低所得者だけ下一部だけに給付する」のとでは、作業としては「一部を限定する」という同じ作業ですから、なんら変わらないハズですからね。
 まぁやえは、この「一部にした方が時間がかかる」というお話は、ちょっと眉唾だと思っていますが、まぁそれは別の機会にというコトで。
 
 で、玉木代表の3/25を、早いと見るかどうかは人それぞれでしょう。
 ただ政治的な流れを見ると、またちょっと違う見方が出来ます。
 というのも、前回もよく引用しました3/22の日曜討論での発言が、やはり大きなターニングポイントになっているからです。
 この日の発言は、自民党岸田政調会長が「1人ひとりにしっかりと届く」と発言し、公明党石田政調会長も歩調を合わせるかのように「一律にお渡しするのが良い」と言ってますから、こと「一律」という面に関しては、決して玉木代表は最速とは言えないからです。
 むしろ、両政調会長の流れを見て、ある程度の確信を持って玉木代表は3日後に一律10万と言い切ったのではないのでしょうか。
 まして、石田政調会長は公明党という政党の性格上、テレビで私案を発表するとはあまり思えませんから、その辺も分かった上での発言だった可能性は十分に考えられます。
 
 さて、このように国民民主党の玉木代表に注目してこの問題を振り返ってみても、3月後半の考え方が色々と見えてきますし、またやはり同じ結論が得られると思います。
 3月後半の動きを箇条書きにしますと
 
・与党の自民党と公明党の政調会長の間では一律論がある程度決まっていた。
・野党内では国民の一律論、立憲維新の限定論、共産の現金否定論と、統一見解が出せていなかった。

 となり、また前回触れましたように、政府においては現金給付には反対論が多かったワケで、そして政府と直接折衝できるのは与党ですから、与党政調会長ラインで現金給付案を提案し、しかし現金給付反対論が多かった政府としては全てを飲み込むコトはできず、協議の結果、折衷案として限定30万円が出てきた、という流れなのでしょう。
 
 というワケで、玉木代表から見た現金給付の流れでした。
 では次は後編というコトで、与党側、特に自民党岸田文雄政調会長の側からこの問題を見てみたいと思います。
 どうぞよろしくお願い致します。