狂気の沙汰の筒井康隆

筒井康隆の『狂気の沙汰も金次第』という本を読んだ。
筒井氏の本は前から読んでみたかったのだが、オレはあまり本を読まないのできっかけがなく読む機会がなかった。
そこで最近お知り合いになった「J.O.D.E.E. Home Page」のなみへいさんが筒井氏の本をHPで紹介なさっていたので、どれが読みやすいかを何冊か紹介していただいた。
残念ながら近くの古本屋にはその紹介していただいた本が無かったのだが、その時にたまたま手に取ったのが『狂気の沙汰も金次第』だったのである。
少し中身を見てみたら、その本はエッセイだったので、
エッセイなら読みやすいだろうし、作者の人柄も分かるだろう
と思って買って読んでみた。

最初の章を読んでの感想は、
「この人性格悪いなぁ」
だった(笑)
そして今もそう思ってる。
しかし本当に面白かった。
オレは本を一気に読むタイプじゃないのだが、この本はほぼ一日で読んでしまった。
何回も声に出してゲラゲラ笑ってしまった。
確かにこの人は時々正気の沙汰とは思えない行為や発想をしている。
性格悪いわ、キチガイじみてるわ、そしてそれが本気なのだから面白くないわけがない。
もちろん断っておくが、本当に筒井さんが本気にキチガイなわけがない。
本文にもそのようなことが書かれてあったが、キチガイがキチガイな文を書いても面白い文が書けるとは思えない。
まともな性格を持ちつつ、一部が変なものだから、それを際だたせて面白い文章を書くのだろう。
この人はイイ意味で子供なのだなぁ、と思った。

この本を読んでよかったと思える点が2つある。
1つは筒井氏の本というとても面白い本を読めたことである。
また次読むのが楽しみである。
もう1つは、文章を書くということに刺激を与えてくれたということだ。
最近どうも自分の文はカタイなぁ、と思っていたところだった。
カタイというか真っ直ぐすぎるんじゃないかと感じていたのだ。
元々オレというものは、周りの人間に対してあまり遠慮しないタイプで、言いたいことをガンガン言う人間なのだが、HPには色々なモノや事にいつの間にか遠慮していたような気がする。
それをこの本で気づかせてくれたのだ。
この本で筒井氏は、嫌いなモノや人に対してはこれでもかと言わんばかりにコキ下ろす。汚いモノはさらに汚く描写し、下ネタはさらに下世話に書き綴る。
それが面白い。
読んで面白い文というものを追求しているオレにとって、一つの道を与えてくれたといってもいいぐらいである。
まぁだからといっていきなり面白い文が書けるわけでもないし、マネしてもマネできるものでもないだろう。
しかしこれからはもうちょっと遠慮せずにランボウに書いてみようと思っている。
オレにとって無意識に自らを縛っていた鎖を解き放ってくれた一冊だった。
2000/07/22

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