四季の素晴らしさ

オレは冬が好きだ。
夏が嫌いというわけではないが、どっちかと言えば冬の方が好きだ。
電車に乗って、中は暑く汗ばむが、駅に着き電車を降りた直後に体を襲うあの刺激的とも言える寒さが好きだ。
寒い方が身が引き締まる。
吐く息が白いのも面白い。
雨よりは雪の方が濡れないし幻想的だ。
服も多く着ることが出来る。
オシャレの幅が広がる。
やはり冬の方が好きだ。

文化というものは厳しい条件の方がより発達すると思う。
日本では暑いのはまだなんとか我慢も出来るが、寒いところは何か手を打たなければ死んでしまう。
もちろん沖縄の文化もたいしたものだが、東北の文化も素晴らしい。
よく暑いときに涼しい地方に行ったり、寒いときに暖かい地方に行ったりする人がいるが、オレに言わせてみればそんなのもったいない。
暑い地方は暑いときに、寒い地方は寒いときにこそ最も文化が発達しているのだから、暑いときには暑い地方、寒いときには寒い地方に行った方が楽しいに決まっている。
どうせ旅行に行くのなら、よりその土地の文化に触れた方が良い。
今時エアコンというものがあるのだから、わざわざ暑さ寒さから地理的に逃げる必要はないではないか。

沖縄という土地は歴史的に日本と少々異なる部分が多いので、行けばそれも合わせて楽しめる。
だからここではあまり触れないことにして、
沖縄を除いて一番暑い地方である九州はこれといって目立つ文化が見あたらない。
なんか地味だ。
こう書いたら九州の人に怒られてしまいそうだが、オレが九州というものを想像すると、スペースワールド、火山、ラーメン、めんたいこ、武田鉄也、こんなものだろうか。
うーん、あまり暑い文化と関係するものがないなぁ。
沖縄を除いてしまうと、日本ぐらいの暑さでは暑い地方の文化というものがあまり発達しないのである。
反対に寒い地方東北を見てみると、寒い文化・雪の文化というものが素晴らしく発達している。
オレが雪の文化というものをイメージすると、まず初めに急な角度に作られた藁葺き屋根の家を思い浮かべる。
またかまくらやスキーなど、時には雪と戦い時には雪と遊び、雪と共存していく文化がある。
暑い方は雪のようなアドバンテージが得られないので不利だがそれは仕方ないし、それだから寒い方が文化は発達するのだと思う。
文化ではないが自然現象でも、川や池が凍ったりつららができたり、凍った池で釣りも出来るし、御神渡りという、氷が裂けて盛り上がる様が神が渡ってできたものとされている神秘的な現象も起きる。
ダイヤモンドダストも美しい。
また、東北だけ異様に大規模な祭りが栄えている。
他に有名なのは大阪のケンカ祭りと江戸下町の祭りぐらいで、どちらとも土地の人間の気性によるところが大きい。 しかし東北は、妙に大きい提灯をたくさん棒につけて腰に乗せてバランスをとってみたり、妙に大きい変なハリボテを作ってみんなで引っ張ってみたり、何だかよく分からない、なんでそーなるの?と言いたくなるような変な祭りが存在している。
考えるに多分冬が長く厳しいので、せめて短い夏の間だけはなんでもいいから盛り上がろう、という考えのもとあのような祭りが考案されたのだと思う。
だからとにかく楽しく派手であればいいのだからあんな感じになるんだろう。
うーん、東北の人に怒られそうだ。
とにかく日本では暑いところより寒いところの方が文化が栄えるのだ。

短絡的かもしれないが、やはり寒い文化の方が奥が深いと思う。
落ち着いていて細やかで繊細で情緒がある。
暑いところで海を見ていたら、オッシャーと叫びたくなるが
寒いところで雪を見ていたら、色々と物思いに耽ることが出来る。
どちらも悪くはないのだが、オレはやはり情緒がある方が好きだ。
寒い日に遠くを眺めていると、なんとなく無常観を感じる。
それもまたよい。
日本という場所は、どちらかというと寒さの方がきびしいので、冬の文化の方が奥が深いのである。

日本ほど四季がはっきりしている所もめずらしい。
だから、夏は嫌い冬は嫌いと言わずにどちらとも十分楽しみ、またどちらかをさらに好きになれば四季を十二分に満喫できることが出来る。
これほど恵まれた環境を逃す手はないだろう。
2000/10/11

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