今日は、宗匠さんのところで書き込まれたコメントに対して、宗匠さんから許可をいただきましたので、横やりコメントをしたいと思います。
と言うのも、「こういう考え方をする人もいるんだなぁ」と変に興味を覚えましたモノで、ちょっとコメントしたくなったのです。
国籍法の「なんでそんな細かいコトを法律に明記しようと主張する気になるのか」というやえの出発点からもそうだったのですが、やっぱりなかなか意識の差っていうモノは、人によって案外少なくないんだなぁと最近感じています。
ですからこういうコトを丁寧に説明出来る時にはしていくコトも大切なんじゃないかと思ったのです。
右も左も逝ってよし!!
バーチャルネット思想アイドルのやえです。
おはろーございます。
ではまず、その宗匠さんのブログに書き込まれたコメントを引用させて頂きます。
もう一つはwww.3rdmedia-jp.net/~Drandross/SS/r,kirby-SS1.htmlというサイトに書いてあるSSなんですが、こちらは人権擁護法案に反対しているところですがその反対理由としては白血病解析プロジェクト!@Team2chが潰されるというのが挙げられているのです。
こんな反対の理由は他の人権擁護法案に反対されているサイトには乗ってなく(とはいえ人権擁護法案を最低最悪最凶の言論弾圧法案と見なしている時点で他のと大差無いかもしれませんが)、ちょっと混乱しかけているのですが実際のところどうなんでしょうか?
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「もう一つ」と書いてありますので、これ以外の話題もあるのですが、そっちはやえはあまり興味ないのでパスさせていただきます。
どっちかと言えばあまおちさんの方がテリトリーでしょうし。
詳しくご覧になりたい方は、こちらの記事のコメント欄をご覧ください。
さて、というワケで、人権擁護法案についての話題です。
このコメントの主張とリンク先の主張をまとめますと、「人権擁護法が出来ると、2ちゃんねるや、その手のサイトが潰されて、結果的に日本では2ちゃんねる有志が大きく寄与している白血病解析プロジェクトまで潰されてしまうコトになる」というコトです。
そしてリンク先では、「こんな法律を発案した人たちは頭の悪い連中なんだろうな、絶対。」とまで言っています。
ちなみにそのサイトにはご丁寧にチャートまで書かれています。
チャート
人権擁護法案が可決される
↓
差別用語が多い2ちゃんねるが狙われる(逝ってよし、氏ね、虐殺房・厨房の行動など)
↓
2ちゃんねるが経営しているページは即刻消され、さらに多くの2ちゃんねらーが逮捕される。
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当然2ちゃんねる以外もアメリカに協力しているが後のはアドレスや検索方法が分かりづらいサイトだけなので日本人がこのプロジェクトに参加できるチャンスが減る。
↓
すると白血病の解析が遅れてしまう・・・・・・
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コメントを寄せられた方はこの主張に対して「他の人権擁護法案に反対されているサイトには乗ってなく、ちょっと混乱しかけているのですが」と言っていますが、やえもこんな理由ははじめて見ました(笑)
意識の差というモノを感じてしまいます。
まずいきなり結果を言いますと、これはとてつもなくあり得ない話です。
理由は大きく分けて2つあります。
1つは、2ちゃんねる本体はともかく、個人サイト・ブログが人権擁護法の存在だけで潰されるというコトはまず無いというコトです。
これは人権擁護法案の中身の話になりますので詳しくは専用ページを見て頂きたいのですが、簡単に説明しますと、人権擁護法案では、そもそもサイトを強制的に削除させる強制権は持ち合わせていませんし、仮に氏名公開などの処分をおそれて自主的に閉鎖というコトになったとしても、そこまでの処分になるためにはかなり多くのハードルを越えなければそこまでの処分には至りませんので、現実問題、個人サイト・ブログまで人権擁護法の対象には成り得ないと考えられるからです。
具体的に言えば、「個人が特定できるぐらい名指しをして」「人種等を理由とする」「差別的言動」をしなければ、氏名公開等の特別救済手続きは始まりません。
「あまおちりんは、生まれつき奴隷種族で、外を歩いているだけでも害悪だ」ぐらい言ってしまうと特別救済手続きが開始される可能性が高いですが、こんなの人権擁護法があろうがなかろうが普通にダメですよね。
もしこんなコトを書いてサイトやブログが閉鎖されたら、それはもう仕方ありません。
管理人が悪いとしか言いようがないワケです。
しかしですね、本来あまり好ましくありませんが「A国の人間は犯罪を犯すのが当然で生きている価値はない」なんてサイトやブログで書いたとしても、これは人権擁護法案での特別救済手続きは開始されないのです。
なぜなら、「個人が特定できるぐらい名指し」ではないからです。
「A国の人間」では、特定個人ではないので、特別救済手続きの発動条件に当てはまらないんですね。
ですからよほどのコトが無い限り、人権擁護法案が施行されていない今現在の世の中でも十分糾弾されるべき言動をしない限りは、サイトやブログが潰されるコトはまずないと言っても差し支えないワケなのです。
ちなみに2ちゃんねるは分かりません。
やえは2ちゃんねるの全てを見ているワケでありませんし、というか実際のところ滅多に見ないですから、あの巨大掲示板群の中に全く1つもとてつもなく差別的な書き込みがされていないとは断言できませんモノで、人権擁護法案が施行されても特別救済手続きの対象になるかどうかを予想するコトはできないのです。
けっこうひどい書き込みがたまにあるなんて噂も聞かなくもないですし。
もちろんそのような書き込みが無いのなら、それにこしたことはありません。
しかしさっきも言いましたように、もし2ちゃんねるや、また個人サイトやブログが、今の常識でも十分差別的だと言えるぐらいの言動を行い、また容認しているようでしたら、これは結果的に潰されるというコトになっても、それは仕方ないと言えるでしょう。
今回の話をあり得ないと言った2つめの理由が、ここにあります。
たまに感覚がちょっと麻痺している人がいるようですが、よくよく冷静に考えてもらいたいコトがあります。
それは、「差別的言動は罪である」というコトです。
さっきのサイトのチャートには、「差別用語が多い2ちゃんねるが狙われる」なんてサラっと書いてありますが、さっきも言いましたように、もし本当に差別がまかり通っているようなサイトやブログがあるのでしたら、それは今の法律でも十分に罰せられなければならない、大変な問題であり、それは犯罪行為だと言えます。
人権擁護法案は、刑法ではなく、行政がどのように動くのかというコトを示した法律(案)ですので、どのような行為が悪い行為で罰せられるのかという概念自体は、人権擁護法案が施行されようがされまいが変わりません。
何が変わるのかと言えば、人権侵害者に行政が今までより迅速に身軽に動けるようになるというところです。
ですから、本当に差別的な言動を堂々と載せているサイトやブログがあるなら、それは潰されて当然だと言うのが社会常識人としての義務とも言えるでしょう。
そういう意味で「差別用語が多い2ちゃんねる」なんて言っているその書き方は、それはかなり眉を細めなければならない主張だと言わざるを得ないのです。
差別用語(その言葉が実際差別なのかどうかはまた別議論です)が存在するコトが、まずもって許してはならないコトなのです。
その上で、このチャートの前提条件通りに、「2ちゃんねるが経営しているページは即刻消され、さらに多くの2ちゃんねらーが逮捕される」という事態になったとしましょう。
確かにこうなると、2ちゃんねるユーザーが中心となって動いている「白血病解析プロジェクト!@Team2ch」は、その活動が難しくなるかもしれません。
結果的に、このプロジェクトも消えてしまうコトになってしまう可能性もあるでしょう。
しかしよく考えてもらいたいのは、「2ちゃんねるが経営しているページは即刻消され、さらに多くの2ちゃんねらーが逮捕される」という事実があった場合というのは、これはその運営者が犯罪者であるというコトを同時に指し示しているコトになるワケです。
犯罪を犯したから削除されたのですからね。
もちろん最終的にその人が犯罪者かどうかは裁判所が判断するコトではありますが、ここで冤罪の可能性を言ってたらキリがないので、とりあえず考えないコトにしましょう。
ですから、いくら白血病の解析のために協力していると言っても、犯罪行為をしてしまえば、その人は犯罪者としか言いようが無く、それは当然罰せられるべきです。
そのページは犯罪者が犯罪を犯したから削除されたのであって、悪いのは犯罪を犯した犯罪者自身です。
いくらその人が、別の面では善行を積んでいたとしても、それをもって犯罪行為までを帳消しに出来るとは決してなりません。
言い換えるならこれは、「良い面があるのだから犯罪行為も見逃せ」と言っているようなモノです。
そしてこんなコトは現代社会では許されない考え方です。
例えばオウム真理教に対して、「オウム真理教の教えは多くの人間の悩みを解決し、実際に救われたと言っている人がいるんだから、テロル行為は黙認すべきだ」と言ったとしたら、どう思うでしょうか。
こんなのとんでもない話ですね。
まぁ実際当時はこういうコトを言っていた人が存在するのがちょっと頭の痛いところですが、それはともかく、良い面があれば犯罪行為は見逃せという主張は、本来はトンデモであるとしか言いようがない主張なのです。
もし人権擁護法案が施行されて、やえが思っているよりも全然多くのサイトやブログが差別的言動をしていてそれらが閉鎖されて、結果的に白血病の解析が送れたとしても、それは仕方のないコトとしか言いようがありません。
結局、白血病解析プロジェクト!@Team2chは犯罪者の巣窟だったというオチでしかないワケです。
これに対して「よいコトをしているのだから犯罪を犯していても罰するべきではない」と言いますか?
そんな主張は、逆に言えば、白血病の解析を盾にして差別的言動を容認しろと言っているようなモノでもあるとさえ言えてしまうでしょう。
差別的言動は差別的言動、それと白血病の解析は全く別問題であって、犯罪行為を犯したのであれば、それは粛々と罰せられるというのが、現代社会のルールです。
ただそれだけのコトなのです。
実際やえは、白血病解析プロジェクト!@Team2chのコトをよく知らないのでなんとも言えないのですが、しかし白血病解析プロジェクト!@Team2chの人たちが犯罪者だらけの魔の巣窟とはさすがに思えませんので、というか思いたくもありませんので、よってつまり結論としては、こんなシミュレーション通りに現実が動くワケがない、という結論になります。
この問題を考える場合、「○○が無くなる結果になるから××は良くない存在だ」と考えてしまうコトがまず思考的失敗です。
この考え方では、××という存在がなぜ良くない存在なのかという理由を、実はキチンと説明できていません。
この思考方法だと、××という存在が悪い存在であっても○○は無くなりますし、また××が良い存在であってもやっぱり○○は無くなるからです。
○○が絶対化されている存在になっていますので、この思考方法だと、○○を邪魔するモノ全てが悪、例えば電気料金やプロバイダ料の存在すら悪だと言えてしまうコトになってしまいます。
これらが無料なら、もっと協力者が増えるでしょうからね。
でも本来の正しい考え方というのは、○○という白血病解析プロジェクトの存在は一切関係なく、××という人権擁護法案や電気料金・プロバイダ料の存在は果たして必要な存在なのかどうかというコトを考えるのが正しいあり方です。
○○の有無で××の評価を決めてしまうのは、責任転嫁も甚だしいワケです。
ですから、人権擁護法案の是非を主張したいのでしたら、人権擁護法案そのものに対して真摯に研究をし主張をして議論すべきなのです。
思ったより長くなってしまって、これはやえの悪いクセだなぁと思いつつ、分かりやすくなったかどうかも不安なのですが、いちおうこれで横やりコメントとさせていただきます。
もし分かりづらかったらまた改めて言って頂ければ幸いです。