外国人参政権付与法案にからみまして、一行メッセージボードで
名無しサン<01/21 03:11>やはり、憲法違反で廃案にはできないの?
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というコメントをいただきましたので、ちょっと解説をしようと思います。
結論から言いますと、出来ません。
これはシステム上の問題と言えるのかもしれませんが、そもそもその法律が憲法に違反しているかどうか、つまり違憲かどうかを判断するのは、裁判所に与えられた権利ですから、立法府ではなんともならないんですよね。
これは憲法に規定されています。
第81条
最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
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そしてこれは法治国家の大原則ですが、いくら国民の大部分が「それは違法だ」とか「違憲だ」とか「有罪だ」と思っていたとしても、それは決して国家としての決定とはならず、必ず裁判所が判決を下して初めて決定されたと言えるコトになります。
よって、確かにやえも外国人参政権付与法案は違憲の可能性が非常に高いとは思っていますし、多くの有識者や学者さんもそう言っていますが、しかしそれをもって「違憲だ」と公的に決定されるモノではないというコトは、法治国家のルールとして知っておかなければなりません。
「外国人参政権付与法案が違憲かどうかは裁判をしてみなければ分からない」というのが厳密で正確な言い方となります。
これは当然行政府や立法府にも言えるワケで、いくら国会議員や仮に大臣が「違憲だ」と言ったとしても、それが国家としての決定とは成り得ません。
一応行政府の方には内閣の中に「内閣法制局」という部署が、立法府の中には「衆議院法制局」「参議院法制局」という部署があって、それぞれ提出前の法案が他の法律との間に齟齬がないかとか、憲法に違反していないかとかいうコトを調べるようにはなっていますが、しかしこれらもあくまで専門家ができるだけ違憲などの可能性を低くするためのモノでしか無く、仮にここで「違憲だ」と判断されたからと言ってそれが国家としての最終判断になるというワケではありません。
また各「法制局」は法律などで規定されているモノではありませんから、法制局の判断を無視して強引に法案を提出するというコトも不可能ではありません。
よって、鳩山内閣がこの法案を提出するコトそれ自体を止めるコトは誰にもできません。
おそらくこの法案は閣法(内閣提出法案)で出されるでしょうから、その前段階としては「内閣法制局」が審査するんだろうと思います。
ここがどういう判断を下すかはわかりませんが、ただ内閣法制局が違憲だと判断したのに内閣が強引に提出したとなればかなり外聞が悪いですから、鳩山内閣としてはこれを避けようとするでしょう。
ではどうのように避けようとするのかと言えば、もちろん法案提出を断念するのではなく、そもそも内閣法制局が違憲判断をさせないようにさせるだろうと思われます。
内閣法制局も、結局ここはあくまで内閣に所属する役所に過ぎませんから、総理が強く言えば、その判断も変えざるを得ないと思われます。
まして小沢独裁王国の民主党政権ですから、小沢民主党幹事長の言うところの「役人ごとき」の判断など、権力でいくらでもどうとでもなるのでしょう。
ですから、鳩山総理と小沢幹事長が「出す」と言えば確実に提出されるコトだと思われます。
そして法案が提出されれば、他の法案と同じように、委員会を経て本会議にかけられて、それが衆参両方可決されれば成立となります。
いくら自民党などが「違憲だ」と言っても、それに法的根拠がない以上はあくまで「その人の意見」「その政党の個人的見解」に過ぎず、それを根拠に止めるコトはできません。
そしていまの国会内の勢力を見れば、多数決に持ち込まれてしまうともう成立を止めるコトができないのです。
外国人に参政権を付与する行為が違憲であるかどうか、それは裁判をしてみなければ分かりませんが、やえは十分に違憲であるという判決が下される可能性は高いと思っています。
しかしその判決が下されるためには、裁判を起こさなければなりませんし、そもそもまずは法律が成立してからでないと、裁判時代が起こせませんから裁判所はそれを審査するコトができません。
違憲立法審査権は憲法に規定されている通り、「一切の法律、命令、規則又は処分」に対して「憲法に適合するかしないか」を審査するモノであり、まだ法律ではない法案の段階では審査する権限を与えられていないのです。
そもそも法案の段階で裁判所が国会に口を出すのは、三権分立の原則を超す越権行為ですから、あり得ない行為と言えるでしょう。
よって、「憲法違反で廃案にはできないの?」という質問に対しては、「廃案」というコトはつまり国会内における「法案の段階で却下するコトはできないのか」という意味になりますから、少なくとも「憲法違反で」という理由では不可能という答えになります。
ただし、各法制局が「憲法違反だから提出できない」と判断して、それを受けて自主的に提出者が廃案にするコトはあり得るでしょうけど、しかしこの場合の「憲法違反」は国家としての最終判断ではないというコトは注意するところでしょう。
とても残念なコトですが、国家としての最終判断である最高裁判所による違憲立法審査権発動による「憲法違反」という理由によって法案を廃案にするコトは、どのような法案であってもムリなのです。
法案を廃案にするためには、国民の手による方法しかありません。
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