警察の悪態

ある飲み会で飲んだ帰りだった。
一緒に帰っていた友人は自転車を引いてオレと歩いていた。
帰っている途中に、ふいに警察官がオレらを止めた。
どうやら自転車盗難の検査らしい。
あいかわらず警察の態度は横柄だ。
せっかくいい気分で酔っていたのに、 やつらを見るだけで不愉快になっていた。
どうやら友人の自転車の車輪に鍵がついていなかったらしいのだが、 友人はチェーン式の鍵を自転車に巻き付けてあった。
散々名前とか住所とか聞いておいて、向こうのミス。
それなのに謝罪の一言もなく、 至極当然のような顔でまだ態度も横柄だった。
いい加減オレも腹が立ってきて、
「それだけか?」
と言ったら、
「何だお前は」
と言ってきやがった。
なんだは貴様らのほうじゃ。
疑いは晴れたのだから、警察は謝罪してさっさと立ち去るべきだ。
「お前は警官にそんな態度をとって何かやましいことでもあるんじゃないのか?」
とわけのわからないことを言ってくる。
警察は、自分が絶対正義、 自分たちの言うことには絶対従うべきものと思ってやがる。
「おれは、それだけか?って聞いただけだろうが、それだけなんか?」
「それだけとは何だ」
質問に答えやがれ。
警官は自分たちの方に非があるのだから、 まともに答えることが出来ないのだろう。
やつらは口では何ともできないものだから、 「お前何か見つかったらやばいものでも持ってるんじゃないのか」
と言ってさわってきやがった。
オレは男に、しかもおっさんにさわられるて喜ぶ趣味はない。
「調べるのはいいけど、何もなかったら何か保証してくれるんだろうな」
とオレが言うと、
「そんなものする必要はない」
とあくまで横柄に、権力をふるう。
やつらがさわってきたのだから、警察に暴力を振るわれたー、と 大声を上げてもよかったのだが、 一緒に帰っていた友人は、まだあまり親しくない友人で、 いろいろとオレを止めていたから その友人のためにオレがひいてやった。
いのままつっぱねてたら、らちがあかなくなるか、 警察署にでも連れて行かれるかもしれないからだ。
オレはそんな権力の暴力には屈しないし、 別にそれでもよかったのだが、 友人はそうもいかないだろう。
オレは、
「はいはい、わかったわかった」
と言うと、
「わかったとは何だ」
と言ってくる。
バカの一つ覚えだ。
めんどさいから無理矢理歩いて遠ざかった。
理論では対抗もできず、自分たちの立場を守るためには。
国家権力の力を借りるしかなかったのがよく分かる。
虎の威を借りるきつね・・・きつねに失礼か。
せいぜい虎の威を借りる蚊だな。
オレらが歩き出してもパトカーは動き出さない。
オレらが道を曲がってからようやく通り越していった。
さっきパトカーが止まった道には違法駐車された車がたくさんあった。
結局自分たちがいばりたくて、 強権をふるいたくてオレらを止めたんじゃないかと邪推してしまう。

権力を与えると、何の力も無い人間がかくも豹変してしまうのか。
権力は悪人に対してふるわれるものであって、 弱者、一般市民に対してふるわれるものではないはずなのだが。
警察が無くなれ、とは言わないし、必要なものだと思う。
しかし、現場のあのようなものを見ると、 警察が権力を持つのに反対する人たちの気持ちが分かる気がする。
ああいう腐った警察のせいで盗聴法反対の動きになっているのが あのクソ警官は分かっているのだろうか。
オレも現場で暴走する警官を見ると、 盗聴法がちょっとこわいものに感じられてきた。
1999/07/01

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