少年法と罪の意識

先日2日、TBSの夕方のニュースで少年法のことについて特集をしていたので見ることにしてみた。
しかしというか、やはりマスコミは少年法の改正については表立っては中立っぽく見せているが、快く思っていないようだ。
番組中で、昔少年院に入って現在は母親になっているという女性を取り上げていた。
どうしても番組は扇動的で、女性が幼い頃両親が離婚したとか愛情を持って育ててくれなかったとか、不幸のせいで犯罪を犯したと言わんばかりの紹介の仕方であった。
女性も、もし少年院ではなく刑務所に入っていたら
「出所しても恨んで復讐してやる、と思っていた。少年院でなければ今のような生活はし ていなかっただろう」
と言っていた。
なにやら少年犯罪の専門家らしい人も、
「この女性はよい例で本人と話し合うことこそが少年犯罪を解決する方法だ」
と言っていた。
同じ番組で今日も少年犯罪についての特集をしていたのだが内容は、内容は少年院を脱獄した少年のことだったが、やはり両親とうまくいってなかったこと、母親の無責任ぶり、少年院の教育があまり効果がないと言わんばかりの作り方、ある同じ少年院に入っていた男性は、
「狭い窓の外から見えるのは金網だけ。気が狂うのも分かる」
ということを言っていた。

全て間違っている。
特に犯罪を犯した者に対する責任など全く考えていない。
先日の特集の女性も話の内容やしゃべり方からしても、自分が過去何をどういうことをしたのかさっぱり自覚がない。
ただ、
「自分は昔不幸でかわいそうな存在だった。しかし今は自分の話を聞いてくれる人がいてくれることが分かり、子供も出来、普通に生活ができるようになった。」
と、全く罪の意識がない。自覚がない。
犯罪を犯したのは自分が不幸だったせいであり責任などない、と言わんばかりである。
番組も、もし少年法が改正され刑罰対象年齢が下がっていたら、彼女はこのようになることはなかっただろう、と言わんばかりである。
今日も同じ。
脱獄した少年はテレビに出てこなかったが、母親に対しては
「親として子供が犯した犯罪の責任があるのではないか」
とレポーターが母親に言っていたが、少年自身に対しては責任を追及する内容のことは一切無かった。
また、同じ少年院に入っていた男性というのも、発言からも口振りからも、自分が過去に犯した犯罪についての自覚も責任も全く感じていないようであった。
全て過去の不幸な身の回りと少年院が悪い、といったことを遠回しに報道しているのである。

番組中に少年院のカリキュラムが紹介されていたが、更正といっても学校で習う勉強をしたり、出所後すぐに働けるように職の技術を教えたりと、一番大切な「精神面の教育」が無かった。
それが一番の問題だと思う。
精神面を改善させなければいくら職を手に付けたからといってすぐに真面目になれればよいが、そうなれないような者が犯罪に手を染めるのだから効果が薄いと言われても仕方ないだろう。
しかしこの番組はその一番の問題を指摘するのではなくて、ただ少年法改正に反対するだけで、若年者に刑罰を与えるということに対して否定的だということを言っているのである。
犯罪者に対して一番やらせなければならないことは、自分が何をしてどんな罪を犯したのか自覚させ、罪の深さを身に染みさせることではないか。
そうしてこそ本当の反省が生まれるし、更正もするだろう。
マスコミの力が強くなり、倫理が壊れ、日本がおかしくなってから、ずっとこの少年犯罪から「罪の自覚」を遠ざけた結果が、最近の若年者の凶悪犯罪に繋がっているのではないか。
結局マスコミは何も分かってない。
自分達が産み落とした社会の病魔を見つめようとせず、認めようとせず、なお悪化させる方向に持っていこうとする。
世論は、「罪と罰」から遠ざける甘ヌルイ少年法によって犯罪を犯した少年を保護させられるよりも、厳罰を持って自分が犯した罪を自覚させることを望んでいるのではないか。
少年法というものが存在している以上、厳罰しか罪の意識を意識させる方法が無いのだと判断しているのではないのだろうか。
マスコミはそれに気づかないのか気づいていないフリをしているのか、言葉上だけの厳罰と抑止力というものだけを判断材料としてそれに反対しても全く意味を成さないが分からないのだろうか。
未成年、成年に関わらず、まず犯罪者本人に自分が犯した罪の深さを気づかせることが今最もやらなければならない課題である。
2000/10/03

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