外国人犯罪と反外人

 ずいぶん前のことになるが、フィリピンかどっかで、ある日本人が息子を殺そうとして大きく報道されたことがある。
 その事件は犯人の父親が逮捕前にマスコミに会見を開いていたというちょっと特異なケースだったが、しかしたまに、本当に数年に一回ぐらいのケースで日本人が外国で犯罪を犯したというニュースが日本で報道されることがある。
 ニュースというモノは、犯人が有名人か何か以外である場合か、凶悪な犯罪である場合か、内容がかなり異質である場合以外はニュースとして報道されることはない。
 つまりどっかの名前も知らないような誰かが万引きしたとか、下着ドロをしたとか、こんなことはいちいち報道しない。
 何が言いたいのかと言えば、殺人や強盗等の凶悪犯罪を日本人が外国で犯すケースというのがかなり少ないのではないかと思われるのである。
 日本のニュースは、外国で日本人が凶悪犯罪等を犯した場合もしくは日本人が被害者になった場合は必ずと言っていいほど報道しているので、それらがあまり報道されていないということは、外国では日本人が犯罪を犯すことは数年に一回ぐらいでしかないと言える。

 よく「全ての外国人が犯罪者ではない。
こんなヤツらと一緒にしないでくれ」なんていうセリフを聞くが、どうしてもオレはそれを素直に受け止めることが出来ない。
 まぁ、国が違う人間とも外人という枠で括られてしまうのはあまりよろしくないだろうが、しかし同国民であるなら一緒にするななんて投げ出した言い方はして欲しくない。
 こんな事を言うと必ず「日本人の中にも悪いヤツはいっぱいいるじゃないか」「何でもかんでもそうやって一括りにするのは日本人の悪い癖だ」なんて言うヤツがいる。
 しかしこれも浅はかな物言いでしかない。
 冒頭にも書いたことに関係してくるが、日本人の公共心の中に「他人の家ではいつも以上に礼儀正しくする」というものがある。
 悪い人間にもそんな道徳心があるのかはちょっと疑問だが、しかし実際に外国で日本人が犯罪を犯すケースはかなり低いようだし、日本人はこのような道徳を持っているので、「他国まできて犯罪を犯すなんて外人はどうかしている」と思うのは寧ろ当然であろう。
 またその数も多すぎる。
 先日もどこかの医者の家に強盗が入り猟銃を奪って逃げた、なんて事件があったが、これも中国人だった。
 中国もしくは韓国朝鮮系の凶悪犯罪ニュースなんて、週に一回は流れると言っても過言ではないであろう。
 一般の日本人からすれば、人様の家で犯罪を犯すだけでも考えられないのに、そらにここまで数が多くなってしまうと、「外国人なんて〜〜」と思うのは当然である。

 同国人ならそれは身内の恥とするべきである。
 中国人が「良い中国人もいれば悪い中国人もいる」と言うのは、一種の開き直りのようにしかオレには聞こえない。
 もし日本人が外国で犯罪を犯したら、その周辺の日本人はやはり良い目で見られないだろう。
 しかしだからといって日本人はその時開き直って「良い日本人もいれば悪い日本人もいる」なんてセリフは言わない。
 ただじっと耐えるだけ、もしくは謝罪をもしてしまうこともあるだろう。
 それは身内の恥としてしっかりと受け止めているからである。
 「良い〜〜もいれば悪い〜〜もいる」なんていうセリフは、少なくとも日本では開き直りの態度しかないし、日本というものの中に同居しようとする人間の考え方でもないし、公共心の低い人間の言うセリフでしかないのである。

 フジモリ元ペルー大統領が日本に来てから、彼が大統領選に立候補しようとした時に在日本人がずいぶん反対をした、という話がけっこう有名になっているが、やはりこういうところが日本人気質であると言える。
 良く言えば奥ゆかしく、悪く言えば卑屈であろう。
 しかしやはり「他人の家にお邪魔させて貰っている」と考えるので「それ以上は望まない。
目立ったことはしたくない」と考えるのが日本人で、言ってみればこれを実践していればあまり他人の家でトラブルが起きることも少ないだろう。
 こういう公の高さが外国での日本人の犯罪率の低さにあらわれているのだと思われる。
 フジモリ氏が日本に滞在してからは、やはりペルー国内の在日本人に対する風当たりが強いらしい。
 なんだかんだ言って、やはりどこの国に行っても出身国で括られるのは当然であるという証明でもあろう。
 「何でもかんでもそうやって一括りにするのは日本人の悪い癖だ」なんて言う人間は、「地球市民」だなんて妄想甚だしい幻想を信じている愚か者か、もしくは外国は日本なんかよりももっとスバラシイ国なんだ、といったやはり妄想を持っている島国根性の持ち主でしかない。

 日本での外国人による凶悪犯罪が増えているのは確かな事実であるし、日本人による外国での犯罪がかなり少ないのも確かであると思われる。
 元々日本は犯罪が少ない国でもあるし、人様の家で犯罪を犯すなんて想像も出来ないという考え方もある。
 そして、どんな国の人間でも大小はあるものの排他的な性質は必ず存在する。
 だから、日本にいる外国人は、日本では風当たりが強いと言うことは当然覚悟していなければならないのである。
 そしてそれに対してなんだかんだというのも、日本という気質に合わないのでやめるべきだ。
 ここは日本であり、日本にいるのだから日本に合わせる必要がある。
 イスラムの国で豚が使われたとか何とかで味の素の社員が逮捕されたように、その国の事情を受け入れることはルールでありマナーである。
 ここは日本なのだから、自分の国のように行かないのは当然すぎること。
 もちろん何も言わないでひっそりと過ごしている外人もいるだろうが、我が物顔のように日本を批判する外人もいることも確か。
 そう言う同じ国の人間がいると言うことをしっかりと正面から受け止めてほしいものである。
2001/1/20

NEXTHOMEBACK