霊を信じますか?2

 さらに心霊現象の方が説明しやすい。
 「火の玉」というものは大槻教授が立証した、と看板のように使っているが、確かに科学でメカニズムを解明したのは確か(全ての火の玉現象はそうであるかどうかはおいといて)だが心霊現象を全否定できるものではない。
 さっきも言ったが、自然現象で起こり得ることは当然で、だからこそ火の玉が出来るのである。
 ただ、なぜ無意味にも見える火の玉現象が起きるのか、かなり確立が低いような自然現象なのによく起こってしまうのか、この辺の説明が全くされない。
 まぁ、この大槻式火の玉理論を詳しく知っているわけではないので確立はよく分からないし、自然現象での火の玉も実はそんなによくあることではなく、ただ人間への印象が強いだけなのかもしれない。
 また「無意味にも〜」という部分を突き詰めていくと、かなり壮大な「宇宙の意志(グレードスピリット)」的なスゴイ世界になってしまうのであまり細かくは触れないが、「全ての事象はその存在意味があり、事象や物質はそれで廻り繋がっている」と言ってもぶっ飛んだ言い方ではないはずだから、火の玉に関してもそれを当てはめても良いはずである。
 何がいいたいかと言えば、幽霊が何らかの力で火の玉を作っている、と言っても大槻式火の玉理論と矛盾することなく同時に理論が存在できる、ということが言いたいのである。
 つまり、人間ならマッチをこすることによって火をおこすが、これはマッチの先に付いているリンが摩擦熱によって起こる現象である。
 火の玉は幽霊が何らかの人間には見えない力(例えば自然界に存在しているリンを集め熱を起こす)によって科学的に火がついている、のかもしれない。
 この場合でも、火がついたという事象のみを見れば、リンが熱によって発火しているという同じ現象なのである。
 リンの集め方と熱の出し方が違うだけで、何等ごくまっとうな自然現象であり、よって大槻教授などが「解明」した部分だけでは、それが自然現象なのか心霊現象なのかを断定することは出来ない、ということが言える。

 こう考えると想像の幅がどんどん膨らむ。
 幽霊が存在していると仮定して、ラップ現象を見れば、例えばそれは幽霊が自分の存在を知ってもらい為に恣意的にやっていることかもしれないし、または幽霊が走っていて転んでしまった音かもしれないし、はたまた幽霊のおならかゲップかなんかかもしれない。
 そう考えるととても面白い。
 まぁおならやゲップは冗談としても、このような心霊現象は自然現象に見せかけて霊や神が起こしているという可能性を否定することは出来ないだろう。
 ポルターガイストを「解明」したとき、磁力のような何らかのパワーのせいだと分かったとしても、いくら霊とはいえ自然現象を越えた事象を起こすことは不可能なのだから、例えば人間でも微量の静電気なら自らの意志で起こせるのと同じように、いたずら好きな霊が何らかの方法で磁力みたいな何らかのパワーを発してポルターガイスト現象を起こしているのかもしれない。
 そしてそれに慌てふためく人間を見てほくそ笑んでいるのかもしれない。
 よく心霊現象の原因とされるような遠くからの電波や磁力や地殻変動も、それは結局それらを霊や神が媒体としているだけなのかもしれない。

 中世ヨーロッパに存在していた錬金術師は金を作り出そうとしていた人間だけではなく、薬や様々な化学物質を取り扱うような科学者であった。
 もちろんその時代には現代のような学問としての科学は存在しておらず、錬金術師本人達だってどのような仕組みで酸素と水素が結合して水が出来るかなんて事は知らなかっただろうが、しかし実験の結果として酸素と水素で水が出来るということは知っていたかもしれない。
 当時、錬金術師はあまり良いイメージを持った職業ではなくむしろ疎まれるような存在で、魔女とかのモチーフにもされたりしたが、その研究の一部は後世の科学者によって電子やら分子やらが「解明」されてその正しさが証明されたのである。
 これは科学の勝利でも何でもなく、人間の目がまだそこまで届かなかっただけの話で、水の仕組みも科学が発達し解明され、それを科学現象だと言うのは後付けされたモノに過ぎないということが言えるだろう。
 火の玉だって科学が解明したのではなく、科学というものが火の玉を理解できるようになったに過ぎない。
 もし遠いか近いか分からないが、幽霊との連絡方法が科学によって確立した時、それは科学の勝利と言えるのだろうか。

 もちろんこれまで語ってきたことは、何等根拠や証拠があって言っているモノではない。
 しかし可能性まで潰してしまうのは愚かしいことだと思うし、そこまで発展して考えることは可能だと言うことだ。
 全ての霊や妖怪やその類を全否定し頭を堅くしても、それは人間というモノをつまらなくしているように思える。
 または、どれだけ科学が進んでも、神の領域には到底達することは出来ず、所詮は神の掌の中で泳がされているだけなのかもしれない。
 全て科学で証明できると人間が勝手に思っているだけで、人間に理解できる範囲の中のみで神が「正解を用意している」だけかもしれない。
 また、あるかどうか分からないのであれば、あると仮定していた方が何かと面白いのではないかとオレは思う。
 科学のみを万能と信じて、片寄った理論によって屁理屈のみでモノをしゃべる人間は全く面白味がないし、腹すら立ってくる。
 サンタクロースはいないと「解明」されているが、それでもいると信じている方が人間として豊かなのではないだろうか。
 ほら、今日もアナタのそばで幽霊のゲップが聞こえる・・・。
(笑)


  なをさんに倣って用語説明

・科学的金縛
金縛りとは自分の意志に反して体が動かなくなることだが、これは医学的に解明されるらしく、「脳は起きているが体は寝ているので、脳が命令を下しても体が反応されない現象」らしい。それをオレが科学的金縛りと命名し呼んでいる。

・霊感
(1)霊的なものを感ずる不思議な気持ち。インスピレーション。
(2)神仏の不思議な感応。霊応。
『大辞林第二版』より
一般的に、霊をよく見る人は「霊感が強い」と言う。

・終末思想
辞書では
《しゅうまつ-ろん 【終末論】
〔eschatology〕現世の最後についての教説。個人あるいは民族・人類の死を論じて、救済・審判や他界(天国・浄土・地獄)・復活・転生などを問題にする。特にキリスト教では、世界の終末におけるキリストの再臨・人類の復活・最後の審判を説き、重要な教説となっている。終末観。 》
『大辞林第二版』より
と載っている。西暦1000年辺りの西洋では2000年の時よりかなり激しい終末思想が流行り、多くの人間がキリストにすがったという。

・『電波少年』の地球防衛軍
日本テレビの人気番組『進ぬ!電波少年』の一コーナーで、様々な超能力を持った5人の若者が、その能力で地球を侵す外敵から地球を守るために結成されたグループである。その中の特に二人が透視能力に優れ、裏返しにされた5枚のカードの中から辺りの一枚を引く、という実験を9割以上の確立で成功させるなど、超能力学的にかなり高い能力を持った5人である。

・大槻式火の玉理論
残念ながら大槻教授の公式HPは無いようなので、具体的な理論はよく分からない。とにかくプラズマによる実験によって火の玉を作り出すことが出来るらしい。

・グレードスピリット
Yahoo!で検索にかけても全くヒットされなかったのがちょっと悲しいが、宇宙の存在と同時(またはそれ以前から)意識というモノが存在している、という考え方。一神教の神に近い考え方かもしれない。
と思ったら「グレートスピリット」だった。なをさんの指摘感謝。いくつか検索にも引っかかってるので、くわしくはそちらをどうぞ。

・ラップ現象
家などでピシッとかという音が聞こえる現象。
けっこう身近な心霊現象。

・ポルターガイスト
[(ドイツ) Poltergeist]
家の中で大きな音を立てたり、家具を動かしたりする霊。騒霊(そうれい)。
『大辞林第二版』より
またはその現象を言う。
皿やコップが飛び回ったりするらしい。これを取り扱った同名の映画もある。

・錬金術
黄金をつくり出す技術の追究を中心とし、不老長寿の霊薬の調合と重なり合う中で、広く物質の化学的変化を対象とするに至った古代・中世における一種の自然学。中国・インド・アラビア・西欧など、それぞれに宗教・哲学と結びつき固有の内容をもつ。中世ヨーロッパでは、アラビアで体系化されたものが精緻化され、種々の金属の精製や蒸留・昇華法など化学的な知識の蓄積を見、近代化学の前史的段階をなした。
『大辞林第二版』より
もちろん金を作り出すことに成功した者はいない。
錬金術師の中にはスポンサーである王様や大貴族を、実験費用と称して金をせびり、そのままトンズラする者もいた。一般人には何をしているのか理解不能だったためにあまり良い印象を持たれなかったようだ。
→酸素と水素で水が出来る
このことを当時の錬金術師が知っていたかどうかは、全くの推測であるために、ここではたとえ話と言うことで細かいツッコミはカンベン。
→魔女のモチーフにされた
グリム童話なんかに出てくる、文字通り絵に描いたような魔女は「老婆が長い杖で鍋をかき回している」というイメージだが、この「鍋をかき回している」というイメージは色々や薬品などを混ぜて実験をしていた錬金術師からきている。
2001/2/12

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