なぜ抗争を1
９月２日、全日の渕ｖｓ新日の蝶野、という歴史的試合が行われた。
確かに歴史的な試合である。
全日と新日が交わる事はもう無いと思われていたからだからだ。
歴史的には違いないが、オレにはこれは良いこととは思えない。
はっきり言って全日に意味があるとは思えないからである。
三沢離脱以前、全日と新日の交流戦があるのではないかという期待が起きていた時期があった。
その時オレもワクワクしたものだ。
三沢が武藤が川田が蝶野がどんな試合を見せてくれるのだろうかと。
色々なカードや試合内容や結果を予想したものだ。
あの時ならよかった。
「交流戦」として、お祭りとしてプロレスを楽しむことができたはずだ。
しかし今は違う。
今度、川田ｖｓ佐々木健介を行う雰囲気だが、これは「交流戦」ではない。
「抗争」「全面戦争」
そういう言葉で表されるモノである。
こんなもの真のプロレスファンが望んでいるモノではないはずだ。
特に全日ファンにとっては。
お互い日本のプロレス界を背負って立つ二大メジャー団体の、お祭りとしての交流戦でないとダメないのだ。
この状況、新日側としてはいいかもしれない。
新日本プロレスというのは、他の団体のレスラーを連れてきて大大会で叩きつぶしていく、という構図が出来上がった、それを「商品」にしている団体だからだ。
つまり新日側が主で全てが進んでいく。
新日にとってそれが出来ない団体が「旧全日本プロレス」であってのであり、だからこそ「抗争」ではなく「お祭り交流戦」が一番良い形だったのである。
しかし今の状況では、新日のお得意パターンに全日がはまってしまうおそれがある。
だから全日にとって今のこの全日ｖｓ新日は全く意味が無いと言える。
次の新日のドーム大会で川田ｖｓ健介が行われる雰囲気である。
オレは少し前までこのカードはあり得ないと思っていた。
渕ｖｓ蝶野ならばまだなんとかなる。
渕はジュニアヘビーの選手であり年齢的にも最盛期を通り越している。
対して蝶野は最盛期はそろそろ過ぎたかもしれないが円熟期と言え、最も充実している時期と言っていい。
そんな蝶野に渕がかなうわけがない。
結果はやる前から分かっていた。
２０分近くももった方が驚きである。
だからこの結果によって全日にドロが塗られたとか、そんなことはない。
しかし、川田ｖｓ健介戦は違う。
かたや一方は団体のベルト保持者で、もう片方は団体の全てを背負った人間である。
共に負けられない。
この両者が試合を行って何が生まれるというのであろうか。
確かにプロレスというものは結果だけのものではない。
試合によっては結果が見えている試合だってある。
しかし結果を全く見ないワケでもない。
この試合はまさに結果に対するウエイトがほとんどを占めていると言っていいだろう。
結果を予想するならば、どちらかといえば健介が負けるだろう。
可能性とすれば引き分けという結果もある。
もしかしたらこれが一番高い可能性かもしれないが、引き分けという結果をのぞけば、多分川田が勝つ。
背負うモノが大きすぎるからである。
多分健介はＩＷＧＰのベルトは賭けない。
ベルトを賭ければまた別の話だが、賭けない限り健介が負けても大丈夫である。
橋本の小川−引退問題や武藤の離脱などでトップ選手が足りなくなり、急にピックアップされてきた健介だが、また橋本が復帰してきたし、武藤もアメリカで好調のようだ。
新日のトップは現在形上は健介だが、やはり潜在意識の中には「三銃士」がトップなのである。
だからベルトを賭けない健介が負けてもそこまで新日としては痛くない。
しかし川田が負けると、イコール全日崩壊と言ってもいいぐらいの事になってしまう。
だから多分川田が勝つ。
全日（系）ファンのオレのひいき目で見ると川田の方が強いと思うし（笑）
ただし、問題も多くある。
上でも触れた新日のパターンである、
「他の団体のレスラーを連れてきて大大会で叩きつぶしていく」というのを全日に対しても今まで通りやろうとするならば、全日の将来など全く考えないのであれば、全力で川田を潰そうとするだろう。
この辺は新日の会社がどう思うかであるから、オレはどうなるか分からない。
しかし全日新日双方が「全面対決だ」とか言ってしまっているので、こうなっている可能性も高い。
こんなもの真のファンは望んでいないと思うのだが・・・。
さらに目に見える問題として、どちらかがどちらかに勝った場合、その抗争はどんどんエスカレートするのは目に見えている。
健介が負けた場合でも、形上トップなのだからそのメンツは取り戻さなければならない。もし川田が負けた場合、完膚無きまで新日を叩きつぶさないと将来の全日は消えてしまうだろう。
どう転んだとしても「ドロ試合」である。
その場合でもやっぱり笑うのは新日側なのではないだろうか。
体力も十分だし、ドロ試合は新日の「お得意商品」なのである。
川田一人で新日を完膚無きまで叩きつぶすことは不可能だろうし、新日だってたった一人に潰されてやる必要など無い。
これを考えるだけでも今の全日ｖｓ新日は全く意味がないものだと言える。
2000/09/06
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