どうも国内ではあまりニュースや話題になっていませんが、先日アメリカ議会がチベットのダライ・ラマさんに対して勲章を授けると発表して、それに対し中国政府が反発しているというニュースがありました。
ダライ・ラマに米議会勲章 米大統領と初めて公の場に
米議会は17日、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世に、市民を対象とする最高勲章「ゴールド・メダル」を授与した。連邦議会議事堂で行われた記念式典では、ブッシュ米大統領が現職大統領として初めてダライ・ラマとともに公の場に姿を見せ、勲章を手渡した。
中国当局は、米国がダライ・ラマへの勲章授与を通じて、チベット自治を容認する政治姿勢を表明したとの見解にある。中国外務省の劉建超報道官は、チベットを「中国の不可分な一部」だとしたうえで、チベットと中国の関係が中国の内政問題であると言明し、「米指導者らがダライ・ラマと会うのは、国際関係の原則を著しく侵害している」と不快感を示した。
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チベットの問題は色々と複雑で説明しているととても長くなってしまいますから、ものすごく簡単に言いますと、チベットにはチベット族の方々がいらっしゃっるのですが、中国政府はそこも中華人民共和国の一部だと主張し実行支配をしていて、それにチベット族とそのリーダーであるダライ・ラマさんが反対しているという、言わば民族独立運動のような問題があるのです。
台湾の問題にけっこう近いと言えば分かりやすいでしょうか。
台湾は中華人民共和国の前の国家である中華民国の存在があるので、ちょっと背景は違いますが、まぁ中国国内に目を向けると、この手の“独立運動”もしくは“不当支配”問題はそう珍しいモノではないのです。
これを日本の視点で見ると、やはり自由と民主主義を掲げる日本としては中国の共産主義的な不当武力支配を現在も行っているのは違和感しか覚えませんし、そもそも共産主義以前にシナの国(※)の独特の考え方である中華思想を基とした覇権主義・拡大主義は日本にとっても決して他人事ではありませんので、容認できるモノではないと考えるべきだとやえは思っています。
現に、中国の一部では沖縄も中国の領土であると公然と言っている人もいるワケで、中国は民族や歴史的背景など関係なく、とにかく自分の国のまわりは全部自分の国の一部だと考えるクセがあるというコトは知っておいた方がいいでしょう。
そして今も現在進行形で中国政府はチベットに対して武力支配を続け、一部では虐殺もしているという報告もなされているワケで、日本としても一定の関心は持っておくべきでしょう。
しかしこれに対し日本国内では、最初にも言いましたように、ものすごく反応が薄いと言わざるを得ません。
反応が薄いどころか、チベット問題を知らない人も多いのではないでしょうか。
それはなぜかと言えば、マスコミがほとんど取り上げないというコトが大きいと思います。
おそらく日本のマスコミは中国の顔色をうかがって、中国に不利になるような報道はしないようにと、そう配慮がなされているのだと思われます。
本来チベットの問題は思想の左右には関係ない話だと思うのですが、残念ながら日本国内においてはこれが現状です。
保守系ではこの中国の残虐の行為に対していろいろと批判を上げていますが、その声はとても小さいモノにしかなっていません。
やえなんかは、ついで日本政府も勲章か何かをダライ・ラマさんにあげちゃえばいいのにと思うのですが、それも無理な話でしょう。
マスコミや世論がこの調子なんですから、政府からすれば、中国からの抗議を受けるコトが確実で、さらに国内からの批判を受けてまで、わざわざそんなコトをする必要があるのかと、そう判断せざるを得ないところでしょう。
そして結局世論レベルでも、そのままスルーで終わってしまうワケです。
チベット問題ならこの程度で終わってしまうのですが、でも実はここがとても大切なのです。
チベット問題だと何が一番問題なのかが分かりやすすぎるので日本政府批判に繋がらないのですが、実は構造的には他の問題もそう変わりはないのです。
例えば靖国問題で言えば、靖国神社に参拝しないという理由で安倍総理を個人批判したり、バカが銃弾を送ったりする事件がありましたが、靖国に行かない理由は実際は総理個人の主義主張とは一切関係のないところにあるワケで、参拝をしていた小泉さんに対してでも保守の中から強く「8.15に参拝しなければ意味がない」と、「むしろこんな中途半端なら参拝しない方がいい」などと無責任に言っている人が少なくありませんでしたが、小泉さんや安倍さんがとった行動とは、そういう問題ではないのです。
福田さんも今のところ参拝しないとおっしゃっているようですが、なぜ参拝しなかったのかと言えば、チベットの問題と同じように「敢えて波風立てる必要がない」からです。
国内に数多くいる中国シンパの人をわざわざ刺激する必要は無いと判断したからです。
国内に反対派が多数存在したからこそ、行かないという判断を下したのです。
もし、国民が100%、いえ90%ぐらいでも熱烈に参拝に賛成していたら、いくら中国がどう言おうが、少なくとも安倍さんは確実に参拝していたコトでしょう。
つまり、理由は「日本国民」なのです。
靖国参拝強硬論者達はこの事実を忘れてしまっています。
靖国参拝強硬論者達は、さも自分たちの主張が世論での主流になっているかのように錯覚し、参拝しないのなら総理など辞めてしまえと平然と言いますが、では例えば現在の段階で「チベット虐殺を黙認している福田総理は退陣しろ」と言ったところで、それが現実的に政治への力になるかと言えば、全くなりません。
その論に汲みする人も少ないでしょう。
なぜなら、チベット問題というモノは、今の政府が云々よりも、むしろ国民世論とマスコミがあまりにも無知すぎる(マスコミは恣意的の可能性もありますが)からこそだというコトが、多くの人にとっても分かり切っているからです。
もしこの問題を真に解決したいと思うのであれば、日本国民にこの事実を知らしめる方が先でしょう。
それも、チベットの問題であれば、多くの人が分かり切った問題であるワケです。
仮に福田さんの首を取っただけでは、チベット問題に対する日本政府の対応は絶対変わらないというコトは言うまでもないコトで、そして靖国問題も構造的には全く同じなのです。
こういう問題は日本にはいっぱいあります。
北朝鮮の拉致問題だってそうだったのです。
小泉さんが訪朝する前までは、拉致問題のコトを言うだけで「右翼だ」とかなんとか言われていて、北朝鮮のコトを「朝鮮民主主義人民共和国」と言わないだけでも「右翼だ」と言われていた時代が日本にあったのです。
そんな雰囲気の中では、ただただ政府にだけその責任を押しつけるようなコトを言っても、何もなりません。
政府批判をするコトによる快感が、自己満足的に得られるぐらいでしょう。
政府批判は、相手が反論してこないのですから簡単ですが、しかしそれはただの自己満足にしかならない愚行でしかないのです。
(※) 中国大陸には古代が様々な国家が成立し滅びていきましたが、これらの国々には連続性がありません。
あるとしたら似たような土地に王朝が成立したというぐらいで、その大きさや国家としての根拠、また支配民族すら国家によってバラバラです。
いまは中華人民共和国という国があの辺にはありますが、過去に存在したの清や漢といった国々は、中華人民共和国もしくは中華民国の略称である「中国」とは何ら関係のない国であるワケです。
今のフランスと、ルイ16世などが支配した王朝とは国家的な繋がりは無い、というのと一緒です。
よって「昔の中国」という表現は間違いです。
一方「シナ」という表現は、あの辺の地域や国家群を表す言葉であり、殷・周・秦・漢・晋…という国々を一言で表すために「シナの国」と呼んでいます。
(つづく)
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