ひさしぶりに人権擁護法案についての更新です。
と言っても、どっちかと言えば、永田町ウォッチの意味合いの方が強そうですが。
先日福田改造内閣が新たに組閣され、永田町では9月に開催されるであろう臨時国会と、来年の予算に向けてあわただしくなっています。
そしてこの時期、内閣改造されると、衆参の委員長や、自民党でも役員が改正されるというのがいつものパターンでして、目立つのは党4役とかが注目されるワケですけど、その他にも○○局長とか、部会長とか、それから調査会長など、人事が行われるコトになっています。
そんな中、自民党の調査会長人事がほぼ決定したようです。
自民党の調査会とは、自民党の政策部門である政務調査会の中に置かれている、法案等をかなり具体的に議員さん達が議論する場です。
これとほぼ同義の部門に「部会」というモノがあるのですが、こちらは衆議院や参議院の常任委員会とほぼ構成が同じで、例えば国土交通部会ですとか、厚生労働部会などが設置されています。
一方調査会というのは、特に専門的な議論が必要な議題に対しておかれる会議でして、例えば福田改造内閣の目玉である消費者庁の問題に対しては、自民党では「消費者問題調査会」というものが置かれ、ここで議論がされるコトになっています。
消費者行政問題を分類すれば、衆参の委員会や自民党の部会では、内閣委員会や内閣部会に類するコトになるのですが、このように特に専門性が必要な議題に対しては、自民党では調査会で議論されるコトになっているワケなのです。
で、人権擁護法案も、大きく分類すれば法務委員会や法務部会になるのですが、自民党では特に人権問題等調査会で議論がされていました。
その会長に、以前は太田誠一先生で、その前の前が古賀誠先生が就いていらしてました。
しかし古賀先生は福田内閣発足時に党の選挙対策委員長という4役に就任し、調査会長などの人事からは外れます。
その後任として太田誠一先生が調査会長に就いたのですが、今回の改造内閣発足にともない、今度は太田先生は農林水産大臣に就任され、調査会長からは外れるコトになっていました。
政府の役職に就くと党の役は外れる、という慣習になっているんですね。
ですから、後任の調査会長には誰がなるのか、ちょっと注目だったワケですが、なんとかなり予想外な展開になっていましました。
こちらをご覧下さい。
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自民党の調査会長の一覧なのですが、なんと、人権問題等調査会長だけ空欄になっています。
他の調査会長は全て埋まっているのに、人権問題等調査会だけ空欄です。
うーん、これは、会長のなり手がいなかったというコトなんでしょうか。
推測するなら、人権擁護法案に対して、法案の中身をじっくり見た結果問題ないと判断している議員さんはそれなりにいると思いますが、でも積極的に推進して、政治生命をかけてまで法律を作ろうと思うほどの議員さんはいなかったというコトなんじゃないでしょうか。
やえ自身のスタンスも、別に人権法成立に積極的に賛成しようとは思いませんけど、別に反対する理由もなく、しかしそれ以上に反対する人の反対理由がメチャクチャなので、それに苦言を呈しているという立場であるワケですが、議員さんの中にもそういう人はけっこういらっしゃるように見ています。
ですから、わざわざ波風を立ててまで強行に可決成立に向かおうとするほどの情熱をかける議員さんが見つからなかったというコトなのでしょう。
また、これはよく知られているところですが、この法案、もともとは野中広務元自民党幹事長が力を入れていた法案で、野中さんが議員を引退した時に個人的につながりが強かった古賀誠先生にバトンタッチ、さらに次の調査会長の太田誠一先生は古賀先生と同じ派閥というつながりでのバトンタッチという経緯でしたから、そもそもが政策的に繋がっているつながりではなく、よってこの個人的なバトンが今とぎれてしまい、次の会長が決まらないというコトなのではないかと見ています。
また、今までの調査会の議論の流れでは、太田先生が調査会長になってから、「太田私案」というモノを出していましたから、他の人に調査会長をバトンタッチしづらいというのもあるんだと思います。
太田私案はあくまで私の案ですから、他の人に引き継がせるというのは、ちょっと筋が立たないワケです。
しかし太田私案を捨てるとなると、また議論が振り出しに戻って、大変なコトになってしまう。
こういうコトからも、次の調査会長が決まらないままなんじゃないかと推測されるワケです。
まぁ経緯はともかく、今の段階で人権問題等調査会長が決まっていないのは確かですから、このままでは調査会を開くコトは出来ないでしょう。
となれば自動的に、人権擁護法案も審議されないコトになります。
一応法務部会で審議するコトは出来ますが、どうでしょうかね、さっきも言いましたように、太田私案の扱い方が難しいですし、さらに臨時国会は70日程度のようですから、とてもじゃないですけどまとまりそうにないでしょうから、人権法は今年の秋の臨時国会には扱われないのではないかとやえは予想しています。
いままで人権問題等調査会が扱っていた法案を、今回に限り法務部会だけで扱うというのも強引な話な気がしますし。
よって、今後調査会長が決まってくればまた分からないですが、とりあえず今の段階では、少なくとも秋の臨時国会での成立はまず無いと言っても差し支えないでしょう。
やえも、秋の臨時国会はこの点だけはちょっと安心して見ていられるかもしれません。
おっかけるのけっこう大変なんですよね(笑)
ま、気になる方は、さきほどの自民党のページをよくよくチェックするのがいいんじゃないでしょうか。