ここで小沢民主党代表の秘書が逮捕された事件について、その構図を解説しておきたいと思います。
今回の件については、小沢代表の秘書が逮捕されたので、小沢事務所は検察的には法律に違反しているという判断であり、一般の人も、秘書の逮捕、もしくは家宅捜索をもって小沢事務所は違法的行為があったモノと理解している人が多いかと思います。
しかし、では実際に何が問題だったのか、何の法律のどの辺が具体的に違法なのか、ここを理解している人は少ないと思います。
よって今日は、やえが出来るだけ分かりやすいこの辺を具体的に説明してみたいと思います。
右も左も逝ってよし!!
バーチャルネット思想アイドルのやえです。
おはろーございます。
さて。
今回の問題については、この点をまず覚えておいてください。
企業から政治団体へ献金は出来ない。
そしてその次に、
政治団体から個人(政治家)には寄附できないが、
個人(一般人含む)から政治団体は寄附できる。
の2点を念頭に置いてください。
今回の問題はこの3点をまず押さえておくと、だいぶ分かりやすくなります。
[政治団体とは]
政治団体という言葉はよく聞くと思いますが、実際どんなモノなのかというところで、あまりなじみのない存在だと思います。
もしかしたら政治団体とは政治家でないと作れないと思っている人もいるかもしれませんが、実は違います。
政治団体とは、誰でも一定の条件を満たせば設立するコトが出来ます。
その条件を書きますと長くなるので省略しますが、基本的には総務省か地方の選挙管理委員会かのどちらかで手続きをすれば、誰でも政治団体を作るコトが出来るのです。
よってイメージ的には、日本には様々な組織があって、例えば企業ですとか、公団ですとか、社団法人・財団法人、また宗教法人など、ありますが、政治団体はこのような組織の1つと考えるのが分かりやすいかと思います。
国会議員や地方議員など、またその立候補予定者などの政治家は、だいたい政治団体を持っていますが、他にも様々な立場の人が政治団体を持っています。
有名なところで言えば、全国医師連盟ですとか、日本歯科医師連盟とかですね。
また、労組系の政治団体や、いわゆる街宣車右翼もだいたい政治団体を正式に登録して設立していたりするようです。
手続きさえすれば、だれでも政治団体を設立するコトが出来ます。
また、政治団体と政党は微妙に違います。
基本的に政党は全て政治団体であるワケですが、政党の場合は政党になれる条件がありまして、公職選挙法により
「政治団体のうち、所属する国会議員(衆議院議員又は参議院議員)を5人以上有するものであるか、近い国政選挙で全国を通して2%以上の得票(選挙区・比例代表区いずれか)を得たもの」
と定められています。
ですから、自民党や民主党は政党ですが、新風なんかはただの政治団体に過ぎない、という表現になります。
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一方、政治団体から政治団体への寄附はOKです。
ですから、政治家が寄附をもらう場合は、「政治団体から政治団体」もしくは「個人から政治団体」となります。
ここまではもちろん合法です。
では小沢代表のケースを見てみましょう。
小沢代表のケースを見る場合、ポイントが2つあります。
1つは、「西松建設から直接小沢代表やその政治団体には寄附が出来ない」という点です。
もう1つは、「西松建設とその関連政治団体の間では、やはりお金を渡すコトはできない」という点です。
2点目が分かりにくいですが、しかし実はこの両者とも構造としては、これまで説明しました「企業からは政治団体に寄附出来ない」という同じ構造です。
建前的には、企業と政治団体は全く別組織ですから、企業が本業で儲けたお金をそのまま政治団体にプールするコトは出来ません。
ですから、おそらくだいたいの(政治家が主催以外の)政治団体は、会員からの会費で賄っています。
これは、「個人から政治団体への寄附がOK」というところからも来ていると言えます。
会員のメンバーはその企業に所属している社員や役員さんですが、お金の出所は企業体ではなく、会員の会費、ポケットマネーというコトになっているワケであり、一見メンバーを見れば企業と政治団体が一緒のように見えますが、お金の出所が違うので別団体であるワケです。
まぁかなり建前論ですけどね。
しかし西松建設の場合、西松建設という企業と、政治団体の間に、直接的なお金のやりとりがあったという事実が発覚しています。
形上では政治団体の活動費を会費から徴収するという形にしていましたが、しかし企業の方で、その会費分をお給料やボーナスの中に上乗せして個人に還元していたのです。
つまりこれは実質、企業が政治団体に寄附をしているという形なワケです。
これは違法であり、すでに摘発されているのです。
今回の小沢事件の場合、ここがポイントになります。
もし小沢サイドがこの事実を知っていた場合、政治資金規正法に規定されているように「企業→政治団体」という寄附は禁止されているのに事実上それを行ったというコトにひっかかるワケで、これはアウトなのです。
小沢サイドがそれを分かった上で、西松建設からのお金と知った上で献金を受け取っていたら、これは企業からの直接献金というコトになり、法に触れる行為となります。
よって、小沢サイドがこの西松建設の事実を知っていたかどうかが大きなポイントとなります。
例えるなら、盗品と知っていて買ったのか、知らずに買ったのか、というイメージでしょうか。
しかし実はこれはモノによっては立件が難しい問題です。
基本的に今回のこの事件の論点は、「西松建設と小沢代表側が直接金をやりとりしたかどうか」というところにありますが、それを立証するコトは難しいと言えます。
例えば、普通の企業にしても、お客さんからのお金の出所をいちいち探る人はいません。
お客さんが実は犯罪者でそのお金は盗んだお金ではないだろうかと、いちいち探りながら商売する人や企業はいません。
それと同じように、政治団体がいちいち寄附してくれる人のお金の出所を探るというのは、あまり常識的とは言えません。
むしろこれは社会通念上失礼な行為と言っていいでしょう。
ですから、多くの場合は「知らなかった」と証言してしまえば、嘘発見器でも無い限りそれ以上の証拠は難しく、つまり西松建設とその政治団体の不適切な関係が明るみになっただけでは、そこから寄附をもらっていた政治団体もアウトと言ってしまうのは、かなり難しい事件と言えるワケです。
もし企業側の違法性だけで政治家まで違法という風に出来たら、逆に政治家を罠にかけるコトだって出来てしまいますからね。
その上で、今回の小沢事件の場合というのは、小沢代表にだけ飛び抜けて献金額が多かったコトがまず疑惑の一端となっています。
西松建設の関連政治団体は、与野党問わずに国会議員の政治団体に献金をしていますが、それと比べて小沢代表だけが飛び抜けて額が大きいというコトが明るみになっています。
一部報道では、自民党の総理経験者には600万程度なのに、なんと小沢代表には3億以上あるのではないかというぐらいの差です。
となれば、西松建設(&関連政治団体)と小沢代表側の関係が、かなり濃厚な関係だったのではないかという疑惑が生じるワケです。
まず検察としては、ここから小沢代表側への捜査が始まったのでしょう。
そしてその裏付けとして、まず「西松建設とその政治団体の間には直接のお金のやりとりがある」=「西松建設とその政治団体は一体である」という事実が明るみになって、では西松建設とズブズブの小沢代表側は、お互いにその事実を知っているのではないか、暗黙の了解でやっていたのではないか、という疑惑の構図なであるワケなのです。
よってこれからの捜査の論点は、小沢代表側がどれだけ西松建設とその政治団体が一体であったかを知っていたかどうか、それについてのどのような証拠を用意するコトが出来るか、という部分になると思われます。
さっきも言いましたように「お金をくれた団体が企業と一体だったかを知っていたかどうか」をいちいちもらう側が詮索するのは社会通念上失礼とも言えますから、政治家側が民間側の事情を知っていたかどうかは、むしろ知らない場合の方が多いでしょう。
よって、専門家によっては今回の件で検察が立件するのは難しいだろう、と言う人もいます。
しかし、ここにきてひとつの事実が明らかになってきました。
小沢氏側が西松建設に献金請求書…「企業献金」認識か
小沢一郎・民主党代表の資金管理団体「陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、同会が準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)のOBを代表とする二つの政治団体から献金を受ける際、同社に請求書を出していたことが、同社関係者の話でわかった。
その後、献金は2団体名義で、請求書の金額通りに行われ、陸山会側からは2団体あてに領収書が発行されていたという。東京地検特捜部も同様の事実を把握しており、小沢代表側が政治団体からの献金は西松建設からのものと認識していた可能性が強いことを示す事実とみている。
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小沢代表側は、宛名は政治団体名にしながらも、送付先を西松建設にして請求書を送っているのです。
やえの感覚からしたら、献金に対して請求書を送るというだけでもさすが小沢代表だなぁと思うのですが、まぁそれとはともかく、請求書を西松建設という企業に送っているというのは、これはもうアウトとしか言いようがないと思います。
お金を出すワケではない西松建設に、お金を出せという意味の書類である請求書を送っているというのは、つまり「政治団体のお金の出所が西松建設だった」というコトを知っているからこその行為だったのではないかと、解釈できるワケです。
先ほどの盗品のイメージで言えば、怪盗ルパンに直接請求書を出したようなモノと言えばいいでしょうか。
さらに言えば、もしそれでも「西松建設と関連政治団体の間に直接お金のやりとりがあった」ことを知らなかったと言い張ったとしても、しかしそもそも「企業から政治団体の寄附は禁止」にひっかかると言えるでしょう。
企業に献金の請求書を送っているのですから、企業に金出せって言っているコトに他ならないワケですからね。
もし検察がこの“物的証拠”を掴んでいたら、これはもうアウトにしかならないのではないかと、やえは感じています。
ちょっと長くなってしまいましたが、今回の事件の構図はこのようなモノです。
今後の検察の捜査で、さらに情報がこれから出てくるだろうと思いますが、その中でまた難しい概念があったら解説していきたいと思います。
分かりやすかったかどうかちょっと自信がないんですが、もし疑問などあったら、御意見板にでも質問ください。
では次回は、今日の中身を踏まえた上で、別のパターンについて解説してみようと思います。