当サイトは昨年の当時から、民主党が客寄せパンダのために仕掛けてきたいわゆる「事業仕分け」について批判してきました。
そしてそれを受けて今衆議院に提出されている予算案が作られたのでしょうけど、しかし果たして本当にあの事業仕分けとはいったい何だったのか、とても疑問なニュースがいくつが出てきました。
あの事業仕分けというのは、いま審議されている予算案の言わば叩き台であったハズですが、しかしよくよく見ると、別に事業仕分けがあったとしても無かったとしても全然変わらないんじゃないかと思わずにはいられないワケです。
こんな記事があります。
スパコン予算、復活へ 仕分け結果を転換、227億円
鳩山政権は16日、事業仕分けで「凍結」と判定された「次世代スーパーコンピューターの開発」の「復活」を認め、2010年度予算で227億円を計上することを決めた。科学者らの強い反発を踏まえ、初めて仕分け結果を転換した。文部科学省の概算要求(268億円)と比べても41億円の減額(約15%減)にとどまった。
スパコン予算を巡っては、事業仕分けで「世界一にこだわる必要があるのか」などの批判が相次いだ。「凍結」判定を踏まえ、菅直人副総理兼国家戦略相、藤井裕久財務相、仙谷由人行政刷新相の3閣僚が11日、来年度は「施設費など最低限の経費」として29億円の計上にとどめるよう求めた。
だが、ノーベル賞受賞者らが仕分け結果に強く反発し、科学技術予算の重要性を強調した。これを受けて3閣僚は川端達夫文科相と16日に協議し、「説明会などで説明責任を果たす」ことを条件に予算の「復活」を受け入れた。大串博志財務政務官は記者会見で「政治の意思で決めた。特例的な結果だ」と説明した。
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なかなか懐かしい出来事に思えますが、そうです、あの民主党の蓮舫参議院議員の問題発言「世界一位じゃないとダメなんですか。二位だとダメなんですか」で注目された、科学技術予算についての記事です。
まだまだ記憶に新しい人も多いと思いますが、民主党が仕掛けた事業仕分けによって科学技術予算の大部分が削られていたのに、あれあれいつの間にかこの記事が示すように、いつの間にかほとんど予算は復活していて、予算案に組み込まれていたのです。
しかもその復活額はなんと約200億円。
最初の要求額268億円から29億円に削ったハズなのに、それが急に227億円に戻っているワケで、もうこれだけで果たして事業仕分けとはいったい何だったのか、まるで意味が分からない状況になっていると言えるでしょう。
そもそもこの事業仕分けとかいうモノの存在自体が、非常にあやふやな分かりにくい存在です。
いったいどのような根拠でもって作られ、そしてどのような根拠で予算を削るだなんていう権限を持っているのでしょうか。
そして結局内閣が「復活だ」と一言言えば復活してしまうのですから、それならはじめから内閣が予算を作ればいいだけで、それは昔から自民党政権下でそうなっていたワケで、いちいち復活の余地があるような事業仕分けをやるコトは、それは無駄な存在だと言えるのではないでしょうか。
まるで事業仕分けの根拠や立ち位置が全然説明されていないからこそ、このような大きな無駄が生まれるのです。
事業仕分け自体が無駄になってしまっているのです。
システム的に考えても、この事業仕分けは大きな疑問があります。
例えば今回のこの科学技術予算、事業仕分けで大幅カットされたワケですが、もしこのまま政府予算案が作られていたとしたら、そのカットした理由を果たして誰に聞くべきなのでしょうか。
予算案を審議する場は衆議院もしくは参議院の予算委員会ですが、しかし蓮舫議員は政府には入っていませんので、参考人招致などをしない限り、カットした張本人にその理由を聞くコトができないのです。
もちろん予算案を最終決定した内閣にその理由を聞くというのも筋としては通っていると言えますが、しかし蓮舫議員は国会議員として予算に手をつけたワケですから、やはり国会議員の責務として国会の場という日本で最も公的な場でその理由を明らかにするのが半ば義務と言えるのではないでしょうか。
しかも「世界一にならなくていい」と明言したのですから、その真意を聞き姿勢を正すというのは、絶対に必要な行為だと思います。
どうせ鳩山総理に理由を聞いても、日本語になっていない言語で意味不明な答弁しかしないでしょうし。
しかし民主党の事業仕分けは、その存在理由が全く定義されていないので、それすら出来ないのです。
このように、民主党の事業仕分けは、国家のシステムの問題から見ても破綻しているのです。
復活した予算は科学技術の分野だけではありません。
さっきの記事には次のように続いています。
農林水産省予算では、自然災害に備える「農業共済」関連の2事業998億円の要求に対し923億円を認める。仕分けでは「3分の1程度の削減」と判定されていた。赤松広隆農水相が「共済組合の安定的な運営ができない。法改正も必要で、来年度の削減は困難だ」と主張していた。
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科学技術の場合、目立つような人が大反対したから、民主党が世論の反発をおそれて復活させたのでしょうけど、実はそれだけでなく大臣の判断だけで復活させた予算もあるワケです。
どちらが適切かはともかく、それにしても事業仕分けがいかに杜撰で適当で無駄な行為か分かるというモノでしょう。
またこのような復活予算もあるようで、
“仕分け”されても何故か蘇った「鳩山・仙谷」案件
「“仕分け”された『在サハリン韓国人支援共同事業』が、予算案では、何故か蘇ってしまっていた」
とは、外務省関係者。
日本領時代、サハリンに渡った韓国人は、戦後、ソ連政府によって、帰還を認められなかった。そうした「サハリン残留韓国人」に対し、一時帰国や永住帰国、または残留を支援する事業が、日韓の赤十字社によって平成元年にスタート。資金は全額、日本政府の拠出金で賄うことになった。
一見、人道的なこの事業。だが、問題点も山積である。
「対象者がはっきりしない。認定は韓国側が一手に行っているため、いつまで経っても“我も我も”と湧くように名乗り出てくるのです。『一時帰国』も好い加減。“孫に韓国へ買い物に行きたいとねだられた”と言われてカネを出した例もあったくらいです」(事情通)
それだから「事業仕分け」でも、28の無駄な「国際機関等への任意拠出金」の一つとして俎上に載せられて、敢え無く「見直し」と判定。
しかし、先のクリスマスに閣議決定された来年度予算案で、同事業は手付かず。概算要求と同じ、1億8600万円が確保されたのだ。故にこんな指摘も出る始末。
「この事業には、鳩山首相と、仙谷国家戦略・行政刷新担当相が関わっています。仙谷さんは、旗振り役の弁護士と友人で、事業推進議連のメンバーとして国会質問まで行い、拠出金執行に一役買いました。鳩山さんは北海道選出とあって、輪をかけて熱心。訪韓の際、永住帰国者の施設に立ち寄ったりするだけでなく、国会の代表質問で、この件をわざわざ述べたことすらありました。今や2人とも政権の最中枢。幾らなんでも潰せないというのが当局の本音でしょう」(先の関係者)
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鳩山首相や仙谷大臣が個人的に親しい人が関わったからという理由で、あっさりと復活です。
しかもまぁなんて言いましょうか、その中身を見ても、実に民主党らしい予算の復活と言えるのではないでしょうか。
やえが今回パッと探しただけでも、これだけ事業仕分けで削られたハズなのにいつの間にか復活していたという予算が出てきたのです。
まだまだこの手の予算が埋もれている可能性はあるでしょう。
国民の多くはあの事業仕分けを見て「透明性が高まった」と言っていましたが、本当に透明性が高まったと言えるでしょうか。
ただ単に民主党がサーカスを開いたから見えるような気がしているだけであって、その陰には、このようにむしろ隠されている予算がたくさんある、つまり隠れ蓑を事業仕分けで作っているだけなのではないかと言えるのではないでしょうか。
国民はよくよく考えて貰いたいです。
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