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平成23年10月31日

 地方分権を考える 2

 シリーズ「地方分権を考える」の2回目です。
 
 やえの出身地であります広島市も政令指定都市です。
 大阪ほどの規模ではありませんが、政令指定都市としての歴史もそれなりにあって、また地方の中核都市という性格もありますから、政令指定都市としてのモデルとしては申し分ないでしょう。
 さらに今回の問題を考える上で参考になる事例が広島市にはあるのです。
 それは、長年広島市長は特に政令指定都市になってからずーっと革新系の、いわゆるサヨク系の市長が当選し続けていたというコトです。
 前回の選挙でやっと保守系の市長になりましたが、その前の市長は秋葉市長と言いまして、元社会党の衆議院議員というバリバリの左翼系市長でした。
 そして、かたや広島県はわりと保守系に近い人が知事なんですね。
 前の知事もいまの知事も、どちらかと言えば保守系の知事です。
 つまり広島って、もはや首長の基本的性格からしてねじれ現象が起きていた地域なのです。
 大阪よりもねじれの歴史は長いと言えるワケなのです。
 
 結果的に言えば、やえの主観ですが、広島市は長年左翼系の市長であったために、変な平和運動ばっかり進んでしまって、経済などの問題はかなり他の地方中核都市より遅れてしまったと思っています。
 昔は「札仙広福」なんて言いまして、札幌・仙台・広島・福岡と地方中核都市を並べて言っていたモノですが、正直いまの広島は札幌や福岡からは随分離されてしまったように感じます。
 それも、全てとは言いませんが、やはり観念的な問題ばかりに熱心だった革新系の歴代広島市長の責任がかなり大きかったと思うのです。
 
 しかしそれは、結局そういう広島市長を選んできた広島市民の責任でもあります。
 広島市民は、広島県知事の選挙の投票権も同時に持ちながら、広島市長の選挙ではこういう人を選び続けたのです。
 すべては選挙の結果です。
 広島市民が自らの選択によって、知事とは毛色の違う市長を選び続けたのです。
 
 そんな中、やえの考えで言えばいままでの広島市長はあまり良くない市長だったワケですが、仮にですよ、そんな知事がやえと同じ考えだからといって、しかし県知事が市長を乗り越えて直接自分の考えを直接実行させようなんてコトはしてはなりませんよね。
 だって、法的にももちろんですが、さっき言いましたように、結局県知事の選挙権を持ちながらそれでもそのような市長を選んだのは広島市民なのですから、市長の政策は民主主義に乗っ取った民意だからです。
 知事も県民に選ばれた人ですが、同時に市長だって広島市民に選ばれた人なのです。
 広島市での政策は広島市長に委ねると、広島市民本人がそう望んで決めたのです。
 どっちが正しいとかの問題じゃないんですね。
 どちらも尊重すべき民意なのです。
 それを県知事がしゃしゃり出て何かしようとするのは、完全に越権行為と言わざるを得ません。
 
 前回も言いましたように、知事が上で市長が下なんてコトはありません。
 もしそんな理屈が成り立てば、知事は国会議員に平身低頭で命令を聞かなければならないでしょう。
 でもそうではありませんよね。
 だからですよ、結局これは構造的なシステム論ではない問題であって、日本のシステム上、その土地には総理を除いて首長が必ず2人いるコトになっているのですから、どうやったってこの2人の首長の間ですりあわせとか協力態勢が絶対に必要なワケなのです。
 でも橋下さんはそれをしなかったとしか言いようがないんですね。
 他の地域はそれでもそれなりに折り合いをつけていたのです。
 いまの平松大阪市長も言ってましたが、橋下さんの主張を実行しようと思えば、制度で言えばいまの制度でも出来るワケで、結局知事と市長との間のすりあわせや議論や意思疎通が全然出来ていなかっただけなんですね。
 本来どの首長もしなければならないコトを、橋下さんはしなかった、出来なかったのかもしれませんが、政治は結果責任ですから、出来なかったのはしなかったと言うしかありません。
 橋下さんはしなかったのです。
 つまり橋下さんが言っているコトは、こういう前提をあえて無視して、自分の言うコトだけを全ての首長や議員は聞けと、自分だけが命令権を持っていればいいと、そう独善的にも言っているコトにしかならないんですね。
 
 矛盾しているんです。
 もし橋下さんが構造的な問題を解消させたいのであれば、二重行政をシステムの面で直したいと思っているのであれば、例えば首長をひとりにするとか、市長や区長を選挙で選ぶコトにするとしても知事の命令には服従しなければならないと法律にでも明記するかするしかないでしょう。
 そしてもしそういうコトをするのであれば、前回言いましたように、もう国と区だけでいいじゃないですかと、橋下さんの「上がグランドデザインを書いて、下が細かい住民サービスを行う」のであれば、その方がいいじゃないですかと言いたいのです。
 そしてそれを実現するためには、国会議員になって総理大臣になって、法律や憲法を変えるしかないでしょう。
 でも橋下さんは国会議員になるつもりは全くなさそうであり、やえには橋下さんが何がしたいのか分からないのです。
 
 いえ、わからないコトは無いです。
 結局橋下さんは大きな権力が欲しいんですよね。
 特に民主主義における権力とは、1つの場所に集中しないよう工夫がされていて、その最たるモノが三権分立だったりするのですが、橋下さんはそういうのを無視してでも、とにかく自分の権力を集中させたいのでしょう。
 それがどれだけ矛盾であったとしても、そこには目をつむって、それらしい理屈を付けて、国民の支持を得ながら権力を得たいんだと思います。
 まぁ橋下さんには、権力を得た後の先に実現したいなにかがあるのかもしれませんが、ただそうだとしても、橋下さんの言う「大阪都構想」は矛盾しているとやえは指摘しておきたいです。
 
 
 次回は、東京の区について参考にしながら考えてみたいと思います。
 



平成23年11月2日

 なぜTPPを国会で議論しないのでしょうか

 TPPのお話です。
 やえにはとても単純で純粋で素朴な疑問があるのです。
 それは、なぜこの問題を国会で議論しないのでしょうかというコトです。
 
 ここまで大きいお話ですし、国民の関心も高い課題です。
 というのも、現在どうも議論が空回りしているというか、賛成の人も反対の人も様子見の人も、どうも一方的に意見を言っているだけで、その意見が絡み合わない雰囲気ですよね。
 またどちらかと言えば、国民の意識の方が高くて、マスコミの方が追いついていないっていう感じもします。
 人権法などの時とは違い、なかなか難しい問題ですから、マスコミの中の人がよく理解していないというのもあるのでしょう。
 だから扱いづらいのかもしれません。
 でもそれって結局、国会で全然議論がされていないからなのではないでしょうか。
 
 やっぱりですよ、昼間とはいえNHKで中継される国会の委員会において議論がされれば、マスコミとしてもニュースの素材がそれだけで作られるのですから取り上げやすくなってニュースになりますし、また国民としてもその中継を見るコトが出来る、後からネットで見るコトだって出来るワケですから、国会での議論があると無いとでは全然違ってくるのではないでしょうか。
 また、国会議員の先生方って、やっぱりスペシャリストですよ。
 一部ちょっとどうなんだと首をかしげなければならない議員もいますが、基本的には議員さんは優秀な方達です。
 そういう人が議論するコトによって、それは国民としても、考えるキッカケになるワケですし、また論点も整理されるというか、問題があるならそれがまた浮き彫りになると思うんですね。
 少なくともやえはそうです。
 やっぱり議員さんの政治のプロの目からくる視点には、よくハッとさせられます。
 このように、政治のプロである議員さんが議論し、それを国民が見て、またマスコミがそれを流すコトによって、議論はさらに深まっていくのではないでしょうか。
 それこそ、国民にとっては大変に意義の深いコトであり、国益に繋がるコトだと思うのです。
 
 それなのになぜ国会でTPPの議論がされないのでしょうか。
 
 そもそも条約締結となれば国会での承認が必要になるんじゃないかと思うのですが、それなのになぜ国会で議論がされないのでしょうか。
 それとも、政府が海外諸国と約束した後に、なし崩し的に国会承認を貰おうと、半ば事後承諾に持ち込もうとしているのでしょうか。
 そんなのあまりにも傲慢で卑怯で、なにより国民軽視ですよね。
 これはもう、むしろTPP専用の特別委員会を設置する(特別委員会は新規で設置出来ます。例えば現在は復興特別委員会等があります)ぐらいの覚悟で国会で熟考しなければならいなのではないでしょうか。
 
 つまり、政府が結論を出す前に、国会で議論すべき問題なのです、このTPPの問題は。
 それなのになんでしょうか、この体たらくは。
 やっぱり野田内閣って、議論からさっぱり逃げようとしているとしか思えません。
 国会もすぐ閉じたりしていましたし、菅内閣と何が違うというのでしょうか。
 むしろ野田総理本人が貝の口のように閉ざしているので、さらに何を考えているかすら分からなくなってしまいました。
 
 それとも、復興が先だからとでも思っているのでしょうか。
 もしそうであれば、ではTPPをどうするのかという交渉するかしないかの段階で、いったん諸外国との交渉を打ち切るべきでしょう。
 諸外国に「日本は大震災からの復興を先にしなければならないから、全ての交渉は待ってくれ」と説明しなければなりません。
 でも野田内閣は、それすら出来ていないんですね。
 もうアメリカや諸外国に言われるがままです。
 本当に外交が下手くそです。
 自民党政権の時の外交は、国内では評価が低くても、よくよく見れば巧いなぁと思わず唸るような手法もありましたが、民主党政権になってからは、本当にアメリカからも中国からも韓国からも言われるがままです。
 こんなのは外交とは言いませんよ。
 「日本は復興対策が先だ。
それが終わるまでは、せめて三次補正が終わるまでは一切の交渉はしない」と、断固たる態度を示すコトが、いまの日本にとっては必要なのです。
 これすら出来なくて、野田内閣に他のどんな外交が出来ると言うのでしょうか。
 こんなコトすら出来なければ、他の案件だってどうせ言われるがままでしょう。
 復興が先という理屈は分かります。
 もし本当にそう思っているのであれば、諸外国との交渉は一切断ち切るべきですが、それなのになんでしょうか、なぜ野田総理はTPP参加を口にしているのでしょうか。
 むちゃくちゃです。
 
 それとももしかしすれば、国内的には「復興が先だから」と国会での議論を避けつつ、しかし外国に対しては言いなり交渉を進めているという、二枚舌でも使っているのでしょうか。
 最悪ですよ。
 こんなの、売国と言わずしてどう表現するというのでしょうか。
 間違えないでくださいね、TPPの参加について「売国」と言っているのではありません。
 国民を裏切る二枚舌を使うコトを売国と言っているのです。
 本来なら逆です。
 外国には「復興が先だから」と言いつつ時間を延ばして、その間に国内ではTPP議論をしっかりする、というのが本来の日本政府のあり方です。
 これこそが外交です。
 でもやっぱり、野田内閣は日本を売りたいんですかね。
 国内の議論は一目散に逃げだし、外国に対しては平身低頭言われるがままにする。
 これが野田内閣であり、民主党政権の姿なのです。
 
 TPPは、なにより国会での議論がまずあってしかるべきです。
 TPPに参加すべきという意見も、拒否すべきという意見も、それはどちらが正しいというコトより以前に、やはり国権の最高機関たる国会において、しっかりと議論されるべきでしょう。
 いえ、されなければならないハズなのです。
 
 いったいいまの体たらくはなんなのでしょうか。
 



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