今日は以下の記事について、あまりにもツッコミどころが多すぎるので、いちいち丁寧にツッコミしてみたいと思います。
麻生首相またブレた!民営化も一転「賛成」
麻生太郎首相(68)の問題発言が止まらない。9日の衆院予算委員会で、05年郵政解散に踏み切った小泉純一郎元首相(67)について「あまり常識ないのが売り」「奇人変人としては正しい判断」と、礼を失した評価を下した。民営化は「非常識」「奇策」と言わんばかりの“本心”が見える中、先週「反対」と述べた民営化を、この日は「賛成」と修正し、相変わらず二転三転の答弁。共同通信社発表の世論調査では、支持率18・1%。国民とのずれは広がる一方だ。
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まぁ所詮はスポーツ新聞ですから、真面目に取り上げるのもどうかとも思いますが、さすがにここまでして世論を煽動したいのかとあきれ果ててしまう内容なので、ツッコんでいきます。
まず次の一文です。
「解散権を持つ総理が解散を決断した。もともとあまり常識的でないのが売りの人。常識的なことを期待する方が間違っている」。さらに「奇人変人としては正しい行為と思ったが、いかがなものかと申し上げた。解散は常識的でないと思ったが(渡部)先生もたぶん日本中も思ったのでは」と、言いたい放題。「結果としてあの選挙は勝った。正しいか間違いなら、決して間違ってなかった」と、賛否は結果論で片付けた。
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9日の衆議院予算委員会で、民主党の渡部恒三議員からの質疑に対する応答のようです。
記事ではこの麻生さんの答弁に対して「言いたい放題」とか「結果論で片付けた」とか書いてマイナスイメージを植え付けようとしていますが、しかし今さら小泉さんのコトを変人と言って、それをとがめる人間が日本のどこにいると言うのでしょうか。
やえには全く思いつきません。
本人だって変人と言われて、「永田町の変人は世間の常識人」とウィットに切り返してはいましたが、「変人と言うな」などと否定する姿はやえは記憶にはありません。
そして麻生さんの発言の主語は解散ですから、これは政治論・永田町論であり、つまりこの場合は永田町の常識で考えた時に常識非常識で考える必要がありますから、それで言えば完全に小泉さんの感覚は変人と呼ぶに相応しいモノであって、よって「常識的なことを期待する方が間違っている」はその通りだと言えるでしょう。
また「奇人変人としては正しい行為と思ったが、いかがなものかと申し上げた。解散は常識的でないと思ったが(渡部)先生もたぶん日本中も思ったのでは」とありますが、やえも解散ギリギリまで、これで自民党は終わりましたねと思ったモノです。
当時の空気をもうよく覚えていない人の方が多いようですが、小泉さんが解散した後に、刺客とかいろいろやったから、小泉さんへのすごい追い風になったのであって、最初は本当に「非常識な判断だった」と評価するのが適切な解散表明だったと言うのが適切でしょう。
そして、自民党的には選挙に勝ったのですから、結果としては間違ってなかったと自民党所属議員としては言うのは当然です。
小泉さんが自分で解散して、仕掛けて、それで勝ったのですから、逆に結果論以外どう語れと言うしかありません。
この麻生さんの発言は、まったく全然その通りの正しい小泉評価・解散評価としか言いようがありません。
「変人」は小泉氏を語るキーワードとはいえ、300を超える議席をもたらした当事者への言葉として「不適切」との声が、党内から出ている。今の議席がなければ、麻生氏の政権運営がもたないのは明白だからだ。それでも郵政解散を「常識的ではない」と言い切る点に、麻生氏の本心が出た。渡部氏は「今日初めての明確な答弁をありがとう」と皮肉り、「あなたは人柄が非常にいい大好きな男だったが、総理にはならない方がよかった。国民の不幸だ」とも指摘した。
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やえが聞き及んでいる限りでは、自民党の中に、麻生さんの郵政民営化見直し論に対して反発している人はいても、小泉さんを変人と呼ぶコトに対して「不適切」だと言っている人はいません。
というか、どこがどう不適切なのか、それならそもそも小泉さんが総理大臣になる前から総理を退任するまで、自民党の中では世間に対して「不適切だ」の大合唱になってなければおかしいでしょう。
田中マキコ議員なんて、噴飯モノですよね。
もう、麻生批判の…というか中傷のイメージ植え付けでしかない一文です。
渡部氏が「今日初めての明確な答弁」と言ったのは、これに先立ち、郵政民営化に対する麻生氏の発言がまたぶれたためだ。5日の「賛成ではなかった」を、「(総務相就任時の03年は)賛成でなかったが(民営化まで)2年間勉強し、民営化した方がいいと思った」と釈明。ただ5日は、「内閣の一員」だったことを賛成理由としていた。立場が変わるたびに、民営化に対する主張を微妙に変えてきたツケが出ている。
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今も昔もそうですが、全ての議員がある一つの議題に対して1から10まで精通しているというのは、不可能な話です。
これは国籍法改正問題の時にも書きましたが、一回の国会で100本近い法案がある中で、その全てに精通するなんていうのは、人間の能力を超えているとしか言いようがありません。
その中で麻生さんが、総務大臣に就任する前まで郵政民営化にあまり興味なかったというのは別段おかしい話ではありませんし、郵政の所管である総務大臣に就任してから勉強してそのような考えに至ったというのも、自然な流れなのではないでしょうか。
そもそも国会議員というのは、みな自分の力で選挙を戦う一言家・思想家であって、内閣の一員である大臣になっても、全ての考え方が総理大臣と一致するなんていうのは、人間というモノを考えても、あり得ない話です。
その中で、立場によっては必ずしも自分の思想や心情と一致しないけど仕事は遂行するという場合も多々あるワケで、こんなのは大臣に限らず社会人なら大なり小なりあるコトでしょう、だから実は麻生さんが個人的には反対だったというのも、あり得ない話ではありません。
では民主党の全ての議員は小沢さんの主張に1から10まで完全に一致しているのか、もしロボットのように全ての議員さんが小沢さんのコピーであったら、やえは気持ち悪すぎるとしか表現できなくなってしまうと思います。
度重なる答弁修正に、女房役の河村建夫官房長官も「当初の説明不足が『05年の総選挙は一体何だったのか』との印象を国民に与えた。最初からそう言ってくれれば追及を受けなくて済んだ」と、苦言を呈した。小泉氏はこの日、麻生氏の発言に沈黙を貫いた。
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多くの人は誤解しているか知らないようですが、そもそも郵政民営化法には、3年ごとに見直すという条項が入っています。
第十九条 民営化委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。
一 三年ごとに、承継会社の経営状況及び国際金融市場の動向その他内外の社会経済情勢の変化を勘案しつつ、郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しを行い、その結果に基づき、本部長に意見を述べること。
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麻生さんの見直し論に対して、これを小泉さんの否定論と受け止めている人が多いようですが、しかし小泉さんが作った民営化法に3年ごとに見直せる条項が入っている時点で、それを時の総理が見直しに言及しているコトになんの矛盾もありませんし、小泉さんの否定にもなりません。
もしこういう条項が無いなら否定と言われても仕方ないかもしれませんが、しかし小泉さんはこの条項が入っている法律を自分で作り、そして自身は任期延長待望論があったのにも関わらずあっさりと総理を辞任して、さらに今期で国会議員まで引退するコトを表明しているのですから、郵政民営化は、後の政権に委ねている形であるワケです。
いまの民営化の姿をいじられたくなければ、小泉さんはもっと実権を握ってリーダーシップを持って、仕事に当たればよいでしょう。
でも小泉さんはそうはしませんでした。
結局、こういう条項がある時点で、もしかしたら民主党に政権が移るかもしれない、可能性としては共産党にだって移る可能性だって否定は出来ない中で、民営化法は後の時代の政権に見直しを委ねている形になっているのですから、いまの総理である麻生さんが見直しに言及しても、それは民営化法の精神に則っているだけで、全く小泉さんを否定しているコトにはならないのです。
見直しの中身についてどうするかというのは、見直す必要があるのかどうかも含めて、これからの議論でしょう。
しかし、見直しに触れるだけで小泉さんの否定だとか郵政選挙の否定だとかいうのは、完全に間違っています。
本当最近の、麻生叩きならなんでもいいという“気持ち悪い空気”はイヤですね。