まてまてまてまてええええええええええ。
こんなミスリードが許されるのだろうか。
これが朝日ならともかく、天下の読売新聞が行うのだから、いかに今国民が感情だけでしかこの問題を考えていないのか、これは非常におそろしいことである。。
まずは記事を読んでくれ。
女児暴行の2割が再び性犯罪
同庁の科学警察研究所は、82―97年に摘発した女児(13歳未満)対象強姦事件の容疑者527人のうち、死亡や行方不明の21人を除く506人の昨年6月末までの状況を追跡調査した。強姦や強制わいせつで摘発された103人の内訳は強姦が47人、強制わいせつが76人で、両容疑で摘発された容疑者も20人いた。半数近い47人は、13歳未満の子どもを再び襲っていた。
また、暴力的性犯罪の前歴を2回以上持つ容疑者144人の場合、35・4%(51人)が再び強姦または強制わいせつで摘発されていたのに対し、1度しか前歴のない容疑者の再犯者率は14・4%で、再犯性の高さを統計的にも裏付けた。
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これ読んだら、もう中身の記事読む事もなく、「ぬおっ、やっぱりロリコンは非人道的だ。どんどん罰しなければならんな」と思う事必至である。
そりゃ「女児暴行の2割が再び性犯罪」なんて言われたら、なんかもの凄い非人道的な犯罪が横行しとると思わずにいられんだろう。
しかししかしよく本文を読んでくれ。
これらの記事の根拠は、まったくデタラメである事が分かるだろう。
まずタイトルにもあるこの2割という数字。
もの凄いデタラメなのである。
この2割とは『「82―97年に摘発した女児(13歳未満)対象強姦事件の容疑者506人」中の「昨年6月末までに強姦や強制わいせつ容疑で再び摘発されたのは103人」の割合』であり、つまり、「103/506」という計算式から20.35%という数字がはじき出されているわけであるのだが、しかし実はこの数式、分母と分子の内容が違うのである。
よくさっきの引用文『』の中を読んでみてくれ。
分母である「506人」の内容は「女児(13歳未満)対象強姦事件の容疑者」となっているな。
しかし分子である「103人」は「強姦や強制わいせつ容疑で再び摘発された」人間なのである。
つまり、分母は「対象が13歳未満」であるのに対し、分子は年齢制限がなく無制限なのである。
しかも分母を「強姦」に限定ていながら、分子は「強制わいせつ」も含まれているのである。
これでは公正な科学的なデータとは言えない。
以前にも書いたように、分母と分子の内容が違うと、とんでもない数字が出てしまう。
どこかのテレビで性犯罪者の再犯率が4割とか出していた報道があったが、これは『「性犯罪前歴者」が犯した「全ての犯罪」の再犯率』であった。
つまり、性犯罪で捕まった事のある人間が、次に窃盗で捕まってたとしても、カウントされるという数字である。
これでは再犯率という意味において正確な数字とは言えないし、また4割という数字が高いかどうかも言えない。
4割という数字が高いかどうかを比べるなら、『「傷害罪前歴者」が犯した「全ての犯罪」の再犯率』や、『「窃盗罪前歴者」が犯した「全ての犯罪」の再犯率』で比べる必要があるだろう。
そしてこの数字を分析する限り、性犯罪が特別高いという結果は出なかった。
同じ値の分子に対して、分母の数字を低くすれば、当然出てくる割合の数字は大きい物になる。
数学上当然の話だ。
よって正確な「再犯率」を出すのであれば、『「性犯罪前歴者」中「性犯罪」』で計算するか、『「13歳未満対象性犯罪前歴者」中「13歳未満対象性犯罪」』の計算をするべきなのである。
結局、この記事にあるような計算方法で出された「2割」という数字は、悪意を持って“作られた”数字としか言いようがないのだ。
また、驚くことに「半数近い47人は、13歳未満の子どもを再び襲っていた」なんて一文も同じ記事も書いてあったりする。
つまり、この記事を書いた記者は、「無意識のうちに分子と分母の内容を変えて計算をしてしまった」のではなく、意識的に悪意を持って数字を作り替えているとしか思えないのである。
結局分子も分母も「13歳未満」に揃えるのであれば、再犯率は「47/506」で、9.28%という数字でしかないのだ。
だいたいにして、これでもまだ分母の「強姦のみ」に対して、分子は「強制わいせつも含む」なのだからどうしようもない。
どうしようもない上に、なんだこの低い数字は。
こんなんで他の犯罪から特別視するほど高い数字と言えるのか。
冷静な判断力を持つ人間なら、この数字をどう考えるか、敢えて言うまでもないだろう。
読売の情報操作はまだ続く。
一方、全国の警察が昨年、子どもを対象にした暴力的性犯罪で摘発した466人を見ると、同種の前歴を持っていた容疑者は15・9%(74人)で、傷害(20・4%)や窃盗(19・0%)を下回った。ただ、過去に何らかの犯歴のある193人に限れば、同種前歴の容疑者は38・3%を占めた。
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この記者はこの記事を書きながら気づいてしまっているのだ。
決して性犯罪が他の犯罪と比べて特段再犯率が高いというわけではない事を。
なんとかかんとか、性犯罪者の再犯率を高く見せるカラクリを、かなり卑怯な手で、しかも過去16年間という長いスパンで出された数字を使って出したのに、一番最新の数字を見てみると、記者の思惑には見事に答えてくれず、傷害や窃盗よりも大幅に再犯率が下回ってしまっているという皮肉な結果が出てしまっているのだ。
しかも、またしても分母を「子どもを対象にした」としているのに対して、分子を「同種の前歴を持っていた容疑者」と年齢無制限としている可能性が高いのである。
それでもこの数字だ。
さすがにこれには記者も焦ったのだろう。
一生懸命になんとか有利な数字を作り出そうと、「過去に何らかの犯歴のある193人に限れば」なんて数字を提示して印象操作しようとしているようだが、しかし、これまでこの問題について当サイトを読んでくれとる人なら、もうカラクリは一目瞭然だろう。
『過去に何らかの犯歴のある人間が子どもを対象にした暴力的性犯罪を犯した割合』は38.3%かもしれないが、『過去に何らかの犯歴のある人間が傷害罪を犯した割合』は、この資料によると(注PDFファイル)39.1%である。
ちなみにこれが詐欺罪になると、45.8%という驚異のアベレージを記録する。
もうお話にならんな。
もはや読売は先に結論を決めてしまい、その後から理由を付けているという構造になってしまっている。
朝日のいつものパターンとそっくりそのままだ。
この記事は4日の夕刊一面に出た物で、その23面にもこの件についての解説が載っているのだが
「女児対象強姦事件」は、最も悪質な性犯罪の一つだ。その前歴者の5人に1人が、再び強姦や強制わいせつを犯しているという調査結果は、諸外国に比べ10年は遅れているとされる性犯罪の再犯防止策の現状を物語っている。
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とか
米国では、子ども対象の暴力的性犯罪者の再犯率は25%程度と言われている。去年一年間の日本の統計は米国より低く感じるが、軽視は出来ない。長期にわたる強姦事件容疑者の追跡調査では、20%以上が再犯を犯しており、米国の同種調査の17%程度と比べ、状況は深刻だ。
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とか、数字を無視して「遅れている」とか「軽視は出来ない」とかいう言葉だけをもって印象操作でカタを付けようとしているのである。
しかし、数字をシッカリと読み取り、客観的冷静に考えるのであれば、性犯罪者だけを特別視するのは間違っていると結論が出るはずだろう。
オレは、犯罪者の人権とかなんとかよくわからんような概念持ち出してああだこうだと言うつもりはないが、ただ性犯罪だけを特別視する空気は間違っとると言わざるを得ない。
もしこれが、犯罪者全てにミーガン法のような法律を当てはめるなら、それならそれでいいんだが、そうでないのなら、それなりの根拠を示す必要がある。
そして今それを出せないでいるのである。
感情だけで物事を進めても、ロクな事はないというのは言うまでもない事であるのだ。
その辺をよーく考えてもらいたいものである。
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