☆やえニュース☆

  山口母子殺害事件まだ日本の司法には救いがありました小泉メルマガレビューなぜ今回の自民党総裁選では派閥が機能していないのかなぜ今回の自民党総裁選では派閥が機能していないのか(中)なぜ今回の自民党総裁選では派閥が機能していないのか(下)

平成18年6月19日

 山口母子殺害事件

 近年の国内の重大な事件の中でも、この事件について当サイトは非常に強い怒りで関心をもっています。

 山口母子殺害事件、6月20日に判決・最高裁
 
 山口県光市で1999年に母子が殺害された事件で、殺人などの罪に問われ1、2審で無期懲役判決を受けた当時18歳少年の被告(25)の上告審で、最高裁第三小法廷(浜田邦夫裁判長)は23日、判決期日を6月20日と指定した。上告した検察側は死刑を求めており、最高裁が弁論を開いたことから、1、2審判決が見直される可能性がある。

 7年というとてつもなく長い時間を経て、やっと明日、最終的な判決が確定します。
 この事件、説明するのもイヤになってくるのですが、その時間、奥さんと生後11ヶ月の赤ちゃんしかいないコトを知った当時18歳の男が、強姦目的で家に侵入し、抵抗されたために二人を殺したというモノです。
 しかし、最近は全然報道されなくなってしまっていますが、この事件はまだ先がありまして、実は奥さんは殺された後に犯人によってさらに強姦をされているのです。
 いわゆる死姦というヤツです。
 ・・・・こう書くだけで激しい怒りと嘔吐感がわき上がってくるのですが、この事件はこういう最低最悪の事件であったワケです。
 
 記事の通り、一審の地裁、二審の高裁では被告に無期懲役が言い渡されているのですが、検察は死刑を求刑。
 当然一審二審ともに不服として、三審である最高裁まで争ってきたという経緯で、そしてその判決が明日出るワケです。
 
 この判決というのは、やえは日本のこれからの裁判をうらなう意味でとても大きなモノがあると思っています。
 死刑については確かに色々な人の意見があって、日本では圧倒的に賛成の意見の方が多いワケですが、まぁそれでも賛否両論存在する制度ではあります。
 しかし、それはやっぱり論議されている机上の上での制度でしかないワケで、いま実際の運用されている法律で考えれば死刑制度は日本では確かに存在している制度なワケで、日本の刑法で最も重い刑罰が死刑であるというのはこれは動かせない事実であるワケです。
 ですから、今の日本の制度では、もっとも罪深い犯罪者に対しては死刑をしなければならないハズなのです。
 だけどそれにも関わらず、この裁判で一審も二審が出した結論というのは、18歳の男が人間を二人殺して死姦したとしてもそれは日本国内では最も罪が深い犯罪ではないと言っているワケです。
 ここまでしても、まだ日本国内では最も罪深い犯罪ではないと言っているのです。
 日本はこれでいいのでしょうか。
 
 もちろん裁判や刑罰や法律を感情だけで語るコトは出来ません。
 それは愚かな話です。
 しかし、もともと法律等は人間の感情が元になって作られているというのも事実です。
 他人を殺すのは良くないコトだと人間が感じているからこそ、法律でも殺人は罪として規定されているワケですからね。
 そのようなバランスの中で、日本の法律では、例えば殺人は「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは三年以上の懲役に処する」と、かなり範囲の広い刑罰に定められています。
 つまりこれは、事件が起きた背景や動機などを考慮して刑罰を決めろというコトであり、それは結局のところを言えば、人間の感情で刑罰を決めろと言っているコトに他ならないワケです。
 もちろん被害者の感情だけではありません。
 現代国家システムでは、被害者が加害者を罰するコトを禁じていて、これを国家が代行しているワケですが、つまり犯罪とは社会としての公としての考えるべき事案だと規定しているワケなんですね。
 犯罪は公の存在なワケです。
 ですから、犯罪に対する刑罰というのは、公がどう考えるか、公の感情がどう考えるかという点において、その大小が決まってくるというシステムになっているのです。
 公の感情によっては人を殺したとしても、たった3年の刑期で赦されるというコトも、法律では寛容しているワケです。
 
 ですから、この山口母子殺人事件の判決も、そういう意味でとても重大だと思うのです。
 人間を二人、感情のおもむくまま、欲望のおもむくまま殺し、それだけではあきたらず死姦までして逃げ出した人間を、当時18歳だったという理由だけで、国内最重の罪ではないと認定した場合、果たしてそれは、今の日本人の公としての感情として正しいと言えるのでしょうか
 裁判所というモノが、キチンと正常に公の感情をくみ取るよう機能していると言えるのでしょうか。
 日本の公感情として本当にこの犯罪を最も罪深い犯罪だと規定しなくていいのでしょうか。
 
 日本の公と、そして日本の裁判制度が問われている判決だと、明日の判決はそう考えながら注目したいと思っています。
 

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平成18年6月20日

 まだ日本の司法には救いがありました

 昨日はやっぱりちょっと頭に血が上りすぎていたようです。
 よく考えたら、普通は高裁に差し戻しになる方が可能性としては高かったですよね。
 また仮に異例の最高裁独自判断が下されたところで、それでもまだ特別抗告などの手段が残されているワケですから、まぁこれは判断が覆るコトはまず無いと言ってもいいんですが、それでもまだ「確定」の段階ではないのは無いワケで、昨日の発言はよほど頭に血が上っていたようです。
 ここにお詫び申し上げます。
 
 そして今日、最高裁の判断が下されました。

 光市の母子殺害、無期懲役を破棄・差し戻し…最高裁
 
 浜田邦夫裁判長(退官のため上田豊三裁判官が代読)は、「計画性のなさや少年だったことを理由に死刑を回避した2審判決の量刑は甚だしく不当で、破棄しなければ著しく正義に反する」と述べ、広島高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。
 同高裁で改めて審理されるが、元会社員に死刑判決が言い渡される可能性が極めて高くなった。
 判決はまず、「何ら落ち度のない2人の命を踏みにじった犯行は冷酷、残虐で、発覚を遅らせようとするなど犯行後の情状も良くない。罪責は誠に重大で、特に考慮すべき事情がない限り死刑を選択するほかない」と指摘。その上で、死刑回避のために考慮すべき事情があるかを検討した。
 判決は、犯行の計画性について「事前に殺害までは予定していなかった」と認めたが、「主婦に乱暴する手段として殺害を決意したもので、殺害は偶発的とはいえず、計画性がないことを特に有利な事情と評価できない」と述べた。
 また、2審判決が犯行時に18歳1か月の少年で更生の可能性があることを死刑回避の理由とした点について、「被告の言動、態度を見る限り、罪の深刻さと向き合っているとは認められず、犯罪的傾向は軽視できない」と指摘。「少年だったことは死刑選択の判断に当たり相応の考慮を払うべきだが、犯行態様や遺族の被害者感情などと対比する上で、考慮すべき一事情にとどまる」とした。
 判決は、浜田裁判長、上田、藤田宙靖、堀籠幸男各裁判官計4人の全員一致の意見だった。

 正直、最高裁が独自判断をしてほしいという願いを持っていたんですけど、結果的には高裁への差し戻しでした。
 ただ、最高裁が高裁へ差し戻し命令をした場合というのは、多くは前回の高裁の判決とは違う判断が下されるのがほとんどですから、今回の場合でもこれでほぼ高裁が死刑判決を出すモノと思われます。
 これもやはり最高裁の重みと言いましょうか、裁判という三権のひとつの権威を保つためにも、最高裁だけが独自の判断を下すのではなく、裁判所という機能トータルにおいてキチッとした判断を下すべきだという、今回の最高裁の判断はそういうコトなんだろうと思います。
 重大な事件、社会的にもとても大きな影響を与えたという事件だけに、ここは敢えて最高裁が独自判断を下してほしいと思っていたのですが、まぁやはりこの辺は整合性というモノも大切ですから、これは政治においていつもやえが言ってますしね、この最高裁の判断は当然だと思わなければならないのだと思います。
 これで残念ながらまた1年近い時間が経ってしまうコトになるのでしょうけど、この辺はまぁ公の立場に立つなら致し方ないとしか言いようがないでしょう。
 
 最高裁の下した判断の中身を見ても、ほぼ死刑になるのは確実かと思われます。
 犯人の犯した犯罪は、日本の制度上では「死刑を選択するほかない」とまで言わしめさせた、最低最悪の犯罪であると断言しており、また年齢などの特殊事情もこの犯罪の罪深さに比べれば死刑を回避するほどの理由にはならないと言っているワケです。
 しかもこれは最高裁裁判官4人全員が全会一致しているワケで、ここまでくると一体地裁も高裁もなにをやっていたのかと思わざるを得ません。
 この最高裁の判断を重く受け止めて、広島高裁では適切な判決が下されるよう期待します。
 
 ただ、この状態でひとつ言えるコトと言えば、ほぼ死刑が確実になったというコトで、しかし裁判の判決が確定するあと1年ぐらいは確実に執行されないワケですから、犯人は眠れない夜をその間すごすコトになるでしょう、それは自分が犯した罪の深さを再認識する大切な儀式となると思います。
 この犯人、いろいろのところからの話によると、どうも自分が何をやったのか、どのほどの深い罪を犯したのか、被害者やその家族がどのような思いを持っているのか、全く理解していないようですから、そして関心は自分が死刑になるかどうかだけのようですから、このあと1年ほどの裁判でそれをじっくりと味あわせてやるいいキッカケになると思います。
 無意味に死刑にしただけでは文字通り無意味です。
 反省するかどうかはともかく、せめて死刑囚には自分が犯した罪の重さ深さを知った上で死刑になるべきだと、やえは思っています。
 
 というコトで、今日はこれぐらいにしておこうと思います。
 まだ、残念ながら判決が確定していない段階であり、この段階で言いたいコトというのは昨日頭に血が上りながらも言いましたので、これ以上はありません。
 一応昨日の更新で事実誤認がありましたので、それを訂正しつつ、この裁判、見守っていきたいと思います。
 
 
 ちなみに、死刑という制度についての所見は、以前こちらこちら(トップの「ニュースフラッシュ」にも載せています)に書いてありますので、ご興味のある方は読んでみて下さい。
 

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平成18年6月22日

 小泉メルマガレビュー

 小泉内閣メールマガジン 第239号 ========================== 2006/06/22
 ★☆ 5周年記念号 ☆★
 
 今週は、先取に引き続き、小泉メルマガ5周年の特別インタビュー後半の模様をお届けします。
 
 
 [らいおんはーと 〜 小泉総理のメッセージ]
 ● イラク派遣自衛隊撤収決定
 小泉純一郎です。
 20日、政府は、イラクのサマーワ地域に派遣している陸上自衛隊の部隊を撤収させることを決定しました。
 
 と思ったら、自衛隊撤収についての小泉さんのお話が入ってきました。
 先週のメルマガではインタビューだけで「らいおんはーと」は無かったのですが、やはり戦後初の紛争継続国への自衛隊派兵とその撤収という、とても大きな案件が突如決まりましたので、その説明を入れるべきだと思われたのでしょう。
 よく小泉さんのコトを「ワンフレーズ政治」とかなんとか言って批判する人いますけど、小泉さんは今までの総理の中でも一番丁寧に分かりやすく国民に語りかけをしていると思います。
 このメルマガが最たるモノですし、タウンミーティングとか、この前開設されました政府インターネットテレビとかですね、ワンフレーズだけではないちゃんとした中身もしっかりと語っておられます。
 なぜワンフレーズになるのかと言えば、それはマスコミがワンフレーズで切って報道するからです。
 小泉さんの言葉はいままでの政治家と比べて格段に分かりやすい言葉を使われます。
 しかしその分かりやすいというのは、一言ひとことにインパクトがあるというコトになります。
 そしてそのインパクトを、マスコミは視聴率や購買率のために切り売りするワケなんですね。
 自分でワンフレーズにしておいて、それを小泉さんに「ワンフレーズ政治だ」と言うのは、あまりにも自作自演、マッチポンプにもほどがあるのではないでしょうか。
 むしろ今までの政治家さんというのは、こういうマスコミの切り貼りによって誤解をされるのを避けるために、正確な表現=小難しい表現になっていたのです。
 
 イラク人自身によるイラクの政府が立ち上げられたこと、陸上自衛隊の諸君が活動をしているイラクのムサンナー県の地域の治安の権限がイラクの新政府に移譲されたこと、さらに、米国をはじめ多国籍軍、そしてイギリス、オーストラリアなどと緊密に協議した結果、サマーワ地域における日本の陸上自衛隊による人道支援、復興支援活動が一定の役割を果たしたと判断をした結果、撤収することを決定いたしました。
 
 前置きが長くなりましたが、ついにイラクに派兵していた自衛隊が撤収されます。
 なんかいろいろと言われているところですが、これは当たり前の判断、当然の判断だとやえは思います。
 なぜかと言えば、「イラクのムサンナー県の地域の治安の権限がイラクの新政府に移譲された」からです。
 つまり逆に言えば、治安権限が移譲されたのにも関わらずまだ軍隊やそれに類する自衛隊が他国に駐留し活動するのであれば、それはそれこそ侵略行為になってしまうからです。
 もちろん、条約などを結んで駐留し続けるコトも出来るのでしょうけど、しかし日本という国の性格を考えれば、ここで撤収するのがごく常識的な判断でしょう。
 一部マスコミはこの撤収を批判しているみたいですが、しかしあれだけ派兵の時に大反対をしていたのに、今度は全く逆の主張するとは、節操がないというか、アホというか、やはり反小泉ならなんでもいいと、批判のための批判しかしないんですねというところでしょう。
 
 陸上自衛隊の部隊の撤収後も、航空自衛隊の部隊は、国連と多国籍軍への支援を行うための活動を継続します。そして、自衛隊の行う人的貢献とともに「車の両輪」として進めてきたODAによるイラク復興のための支援も、米国はじめ世界各国、国連、そしてイラク政府と密接に協力して、今後とも進めてまいります。
 
 誤解している人が多いですが、日本の自衛隊派兵も国連の決議によって行われました。
 いろいろなコトを言っている人多いみたいですが、まして「国連中心ならばよい」とか言っている人がけっこういたと思うのですが、今回の派兵は紛れもなく国連によって決定したモノですので、ここを間違えないようにしてもらいたいです。
 航空自衛隊はしばらくまだ活動するみたいですが、まぁこれは空からの輸送ですからね、陸上自衛隊とはやるべきコトが違うワケで、物資等の供給はまだ必要のようですから頑張ってもらいたいところです。
 そして早くイラク人だけで国が運用できるようになってもらいたいですね。
 
 自衛隊は、サマーワ地域で、給水活動、医療活動、学校・道路改修事業などの支援活動を行い、イラク市民の生活基盤の復旧と復興に大きな役割を果たすことができたと思います。イラク政府からも、住民からも、高い評価と信頼を受け、感謝のうちに撤収することができるということは、大変良かったと思います。
 
 マスコミはひたすらこの事実を隠そうとしていましたけどね。
 でもいざ撤収するって時になって、いきなり「イラクの人たちはこんなに喜んでいるのに、それを見捨てるように帰るのか」と言い出すんですから、もうメチャクチャですね。
 ま、とにもかくにも、イラクの人たちに喜んでもらえたのなら派兵も成功でしょう。
 今後の日本イラク関係がよい方向に向かっていけばいいですね。
 
 自衛隊の諸君一人ひとりが、日本国民の善意を実行する部隊なんだ、という強い自覚の下に、それぞれが汗を流して厳しい環境の下で活躍してくれたおかげであり、私は、自衛隊諸君に対して、心からの敬意と感謝を表明したいと思います。
 
 はい。
 自衛隊の方々は本当に立派、世界で一番の軍人さん達だと思っています。
 そして多くの方がイラク派兵に志願されたそうですし、この経験がさらなる発展に繋がればいいですね。
 そろそろ防衛庁も防衛省になりそうですし。
 
 自衛隊の活動が円滑になされるように、様々な配慮をしていただいたイラク政府、住民、そしてアメリカ、多国籍軍、イギリス軍、オーストラリア軍、そしてオランダ軍、それぞれの政府、国民に対し、厚く御礼を申し上げます。
 現在イラクでは、イラク人が、自らの力によって、イラク人自身による国づくりに努力しています。この努力に対して、日本として何ができるのか。日本は、各国と、そして国連とも協力しながら、イラクの必要な国づくりにできるだけの支援を続けていきたいと思います。
 将来、イラクが安定した政府をつくり上げたときに、イラク国民が一番苦しいときに、日本の政府も国民も自分たちの国づくりに手を貸してくれたんだなと評価されるように。
 国民みなさまのご理解、ご支援を今後ともよろしくお願いいたします。
 
 こういう総理の考え方は大切ですよね。
 もちろん「ここまでして恩を売ったんだから、ちゃんと返せよ」なんて身も蓋もない言い方されても困りますが、イラク人が喜びさえすればなんでもいいというようなボランティア精神だけでやられても困るワケです。
 しっかりとこの日本の行動が、後々でも日本の利益になるように、そのために行動をとらなければならないワケです。
 ですからイラクがこれから豊かな国になったときに、「日本にはあの時に世話になった。だから多少難しいコトでも日本の言うことならなんとかしてみよう」と思ってくれるようになって欲しいモノです。
 ついでに言えば、「アメリカには酷い目にあったが、日本には世話になった」と思ってくればベストなんですけどね(笑)
 
 というワケで、自衛隊の隊員の皆様、お疲れ様でした。
 まだしばらく撤収作業があるでしょうけど、最後まで気を抜かずに、ご無事に日本に戻られるコトを祈っています。
 また、これからのイラクで作業をなさる航空自衛隊の皆様、これからもよろしくお願いします。
 ビシッ(敬礼
 
 
 
 ● 「知ってもらう」ことの大切さを知る
  (国際緊急援助隊医療チーム 看護師 林晴実)
 私は小泉内閣メルマガ第180号にて、スマトラ津波被災地での国際緊急援助隊医療チームの活動について書きました。この数年、世界では自然災害が多く、小泉内閣のもとで派遣された国際緊急援助隊の出動先は現時点で実に11カ国、医療チームは14チームに及びます。
 
 こんにちは、やえです。
 これはいいコトなのか、それとも災害が多いというコトで悲しむべきコトか、ちょっと悩むところですね。
 
 救助チーム、専門家チーム、自衛隊部隊も合わせると31チームが派遣され、資金を送るだけでなく「人を送る」国際貢献が積極的に行われたことがわかります。そしてただ存在を示すにとどまらず、実際に日本人はどの地の働きにおいてもその真摯な姿勢や親切さが現地の方々に愛され、日本びいきの方を海外に増やしたことは確かです。これらは外交の礎石となっていくものと思います。
 
 日本人は、どこの国の人にもない暖かい心を持ってますからね。
 今回のサッカーワールドカップで、この前日本はクロアチアと戦いましたけど、前回の日韓W杯でクロアチアがキャンプのために来日したある日本の町では、今回それでもクロアチアへの応援をやめるコトが出来ず、なんと日本とクロアチアのユニフォームを半分にしてつなぎ合わせたようなデザインのモノを作って応援したんだそうです。
 そしてそれをクロアチアのサッカー協会にも送ったところ、大変な感激を受けられたんだとか。
 国によっては、W杯に対して存亡すらかけているんじゃないのと思ってしまうような血眼になってる国とかありますけど、日本はそういう暖かい心を持っていて、それが他の国の人にとってはすごい感銘につながるようなんですね。
 だから、林さんのように海外で活動して、そして日本のことを知ってもらう好きなってもらうという活動はとても効果的だと思います。
 そしてそれはおっしゃられているように「外交の礎石」になるでしょうし、日本の国益になるでしょう。
 
 今までは外務省関係者や災害医療関係者にしか知られていなかった私どもの存在について広く知っていただく機会となったようで、この一介の看護師にも講演依頼などをいただくようになり、安請け合いをしてあちこち出かけていくようになりました。
 しかも総理が同号に国際緊急援助隊について書いて下さったことから、英語版を読んだ海外の知り合いからも反響があり驚きました。メルマガを通じた発信力と、それに対し世界のどこからでも即座に意見を返せるインターネットの力を感じました。
 
 マスコミが伝えないですからねぇ・・・。
 なんて言いましょうか、自作自演してまで批判しかしないっていうのはどうなんでしょうか。
 それだけにこのメルマガには価値があると言えるのでしょうけど、それにしてもですねぇ。
 
 小泉内閣はこのコミュニケーション手法に既に5年前の時点で着目していたわけであり、改めて広報というものの重要性を教えられた思いです。この内閣と国民との直接のやりとりは互いの財産となるものと信じています。私自身も寄稿させていただいた思い出と皆様からいただいた励ましを宝にしてまいります。
 
 やえもこのメルマガで知らなかったコトをいっぱい知るコトができましたか。
 そして正しい情報を得れば、また考え方は変わってくるワケで、悪いコトを隠すのはもちろん良くないコトですが、それと同じように良いコトもどんどん国民は知っていくべきでしょう。
 こういう政府から直接国民っていう流れを、これからもどんどん推進していってほしいですね。
 
 
 
 [編集後記]
 国会は18日に閉会しました。国会終了後の小泉総理の衆議院各党へのあいさつ回りに私も同行しましたが、総理に同行していつも感じるのは、総理の歩く速度が早いこと。歩幅が広いのか、回転が速いのか、どちらなのか分かりませんが、最後まで全力で駆け抜ける小泉総理の熱意をこんなところにも感じました。
 
 基本的に議員さんって歩くの早いですよね。
 でも議員さんでいらっしゃるじんえん先生がそうおっしゃるんですから、さらに小泉さんは歩くのが早いのでしょう。
 でもそれは熱意ではないと思うんですが・・・(笑)
 
 今週火曜日、政府は陸上自衛隊のイラク撤収を正式決定しました。平成16年1月に派遣がスタートしてからこれまでの約2年半、1人の犠牲者も出すことなく、また、一発の銃弾も撃つことなく活動を終えることができるのは、大変すばらしいことです。給水支援や医療支援、道路や学校といった施設の復旧・整備など、その活動ぶりがサマーワの人びとはもとより世界各国から高く評価されていることを誇りに思います。
 夏場には60度を超えるという気温や砂あらしなど、過酷な環境や大変な緊張の中で活動に当ってこられた隊員の皆様には心から感謝と敬意を表します。撤収を終え、無事、日本に笑顔で帰ってこられるのをお待ちしています。(じんえん)
 
 そうですね、銃弾を撃たなかったのは、それはいいコトなのか、まぁ悪いコトではないのでしょうけど、この辺は運が良かったのかもしれません。
 ただ、自衛隊の方々の地元の人に対する対応が非常に丁寧で、地元の部族のえらい人が「自衛隊に攻撃したら末代まで許さない」とか言ってるとかなんとからしいですので、これも自衛隊の方々の真摯な対応の賜だったのかもしれませんね。
 どうぞご無事に戻ってこられるコトをお祈りします。
 
 
 バーチャルネット思想アイドルやえ十四歳は、らいおんはーとを応援しています。
 

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平成18年6月26日

 なぜ今回の自民党総裁選では派閥が機能していないのか

 言うまでもないコトですが、当サイトはれっきとした「思想サイト」であって、物事をどう考えるのか、当サイトではどのように考えているのか、というコトをやえやあまおちさんが語っていくサイトです。
 確かに思想と政治は非常に近い存在ではあるのですけど、しかし両者は全くの別物でして、これを一緒に考えるコトは大きな混乱に繋がります。
 ですから当サイトでは思想と政治とは違うんですとよく言い続けていますしは、当サイトによくお越し下さっている方々はよくご存じだと思います。
 しかし、当サイトは思想サイトと言いながら、なんだか実は政治方面にもそれなりに詳しいという評価も頂いておりまして、まぁよく永田町方面の情報を紹介していたりするので、それもやぶさかではないご評価だとありがたく思っております。
 ところで先日200万ヒットいたしました
 ありがとーございまーす(笑)
 と、前置きが長くなりましたが、今日は純粋に政治のお話、というか永田町のお話をしたいと思います。
 
 
 右も左も逝ってよし!!
 バーチャルネット思想アイドルのやえです。
 おはろーございます。
 
 総裁選のお話なんですね。
 
 自民党の総裁選です。
 自民党の総裁と言うとほぼイコールで日本の内閣総理大臣です。
 自民党の50年の歴史の中でも、総裁を務めながら総理になれなかったのは、ただひとり唯一河野洋平現衆議院議長だけだったりします。
 河野さんは今から約13年ほど前の自民党が野党になったときの自民党総裁で、あの時は自民党は政権の座にいませんでしたから、自民党の総裁でも総理大臣にはなれなかったんですね。
 ですから、河野洋平さんに対しては不遇の人だと言う人もいらっしゃいます。
 ただやえからすれば、河野洋平さんというのは一度自民党から自ら出た人ですから、総裁になれただけでもラッキーだったんじゃないかと思ってはいるんですけどね。
 
 それはともかく。
 小泉現内閣総理大臣も、総理の任期は法的には存在しないのですが、自民党総裁の任期がこの9月に切れますので、それにともない総理の職も辞任すると表明しておられます。
 ですから、当然9月には新しい自民党の総裁を決めなければならないワケでして、となると自動的にその新総裁が新総理大臣になるワケです。
 このような事情があって、自民党の総裁選挙がとても高い関心事になっているんですね。
 厳密に言えば公的な権限を持たない一私団体である長の選挙に、なにやら国民を巻き込んだ形とかなんとか公的な位置づけに持っていくというのはこれは本来ならおかしな話ではあるのですが、まぁ感情的には分からなくもないと言えるのかもしれません。
 ただ一応総裁選はあくまで自民党の総裁を選ぶモノでしかなく、国民の意見を反映する場というのはあくまで国会であり、総理を選ぶ場も国会の議員投票によってなされるという原則だけは、国民もしっかりと認識しておく必要があると思います
 
 で、その自民党総裁選挙には、有力候補として現在4人の方々の名前が出ています。
 その4人とは、いわゆる「麻垣康三」の、麻生太郎さん、谷垣禎一さん、福田康夫さん、安倍晋三さんです。
 ・・・あ、河野太郎さんを入れたら5人ですが、まぁおいておきましょう(笑)
 順に紹介します。
 
 
 ●麻生太郎
 
 麻生太郎さんは、日本の中でも皇族を除くとベストオブ名家と言えるほどの出身の出です。
 かの大総理吉田茂を祖父に持ち、これだけでもすごいのに、なんと大久保利通が高祖父にあたるという、歴史の中心に生きる家系です。
 他にも親戚筋には色々な政治家の名前が上がり、極めつけは妹の信子さまはェ仁親王妃でいらっしゃいます
 もともとは地元福岡の豪家だったらしく、戦前から石炭業で財を築き、今でも地元では経済界を牛耳るほどの大きな影響力を麻生グループは誇っています。
 この人の話をするだけで一回の更新を使い切ってしまうぐらい武勇伝は多く、魅力的な人です。
 政治家であるにも関わらず、日本代表として射撃種目でオリンピックに出場していたりしていたり、べらんめい口調なのに実は英語がぺらぺらだったり、さらに実はクリスチャンだったり、外面と内面の印象がかなり違う人でもあります。
 またネットでは麻生さんは大のマンガ好きだというコトでも知られ、しかもただマンガ好きというのではなく、例えば『ローゼンメイデン』というちょっとアキバ方面的なマンガまで読まれるという、普通の人に比べればものすごく守備範囲の広いマンガ好きという一面も持ち合わせています。
 他にも、コンピューター関係やネットワーク関係、また映画やポップ音楽など、とても多趣味でいらっしゃいまして、日本の政治家の中でもとてもバイタリティ溢れる人だと言えるでしょう。
 現在外務大臣でいらっしゃり、派閥は「自民党総裁で唯一総理になれなかった人」河野洋平さんが領袖を務めます、河野グループに所属されています。
 
 
 ●谷垣禎一
 
 谷垣禎一さんは、国民的にはちょっと地味目で知名度も低いですが、永田町界隈、霞ヶ関界隈でも政策通・経済通として知られる人です。
 ちなみに「永田町界隈」と言った場合は、議員さんや秘書さんそして政党界隈の人たちのコトを指し示し、「霞ヶ関」と言うと中央省庁の官僚さん達の界隈のコトを指し示します。
 おそらくその評価は麻垣康三の4人の中でも一番高いでしょう。
 ただ、外見通りの地味なイメージがどうしても払拭できずに、一般国民に支持が浸透できずにいるのが最近の悩みと言えます。
 外見に似合わず自転車が大好きでいらっしゃり、何度もレースに出ておられるという一面もあります。
 この前もなにかのイベントにて自転車レース姿で登場してましたね。
 現財務大臣。
 派閥は宏池会谷垣派。
 元々この派閥は、例の加藤の乱でふたつに分裂した加藤派の方の派閥でして、最近加藤さんから谷垣さんに領袖を譲られて、現在谷垣派と呼ばれています。
 
 
 ●福田康夫
 
 福田康夫さんは、福田赳夫元総理大臣の次男です。
 にも関わらず、官房長官に就任するまではほぼ無名の政治家でした。
 というのも、安倍さんもそうですが、今までの日本の政治で言えば大物と言うにはまだまだ当選回数が少なく、福田さんが官房長官に就任されたのもまだ当選4回目で、4回生というのは今でこそ大臣になる方も出てきましたが、それでもあまり重要でない大臣に就く場合が多いですから、そんな中総理の女房役である官房長官を当選4回で就任するというのは、けっこう大抜擢だったと言える人事です。
 これは、前任の官房長官であった中川秀直さんが女性問題で辞任に追い込まれて急遽空席となったという事情と、その時の総理は森さんでしたが、当時森派の会長だった小泉さんが福田さんを一本釣りで推したという事情があったようです。
 その後、小泉内閣の途中まで官房長官を務められ、その間ニヒルな物言いが一部からマニア的な人気を得て、官房長官歴代最長記録を樹立しました
 当選回数のわりには年齢が高めです。
 永田町では当選回数によって若手とかベテランとか言われるので、本来は福田さんはまだ中堅辺りと言えるのですが、最近はあまり当選回数のコトを気にしない風潮になってきているために、年齢がけっこう上の福田さんには、いわゆるベテラン議員が主に応援をしているという、ちょっと今までとは変わった現象が起きていたりします。
 ちなみに、69歳の福田さんとよく対比される安倍さんは51歳でして、年齢的には一回り以上離れていますが、当選回数的に言えば福田さんは安倍さんの一回しか上ではありません。
 現在は公的な役職からは離れていらっしゃいまして、派閥は今をときめく清和会森派です。
 
 
 ●安倍晋三
 
 安倍晋三さんは、岸信介を祖父に持つ、今日本で一番人気の政治家です。
 また、実父は総理に後一歩届かなかった悲運の政治家安倍晋太郎です。
 北朝鮮による拉致の問題に対して今までの日本の政治家らしからぬ超強気の態度で国民の心をワシづかみ、一気にブレイクを果たして今に至ります。
 麻垣康三の中では一番年齢も当選回数も若く、官房長官や自民党の幹事長という要職は務めていますが、他の専門的な省庁の大臣は務めていないので、それを危惧する声もなくもありません。
 しかしそれを上回る今までの行動力に期待が寄せられているワケで、議員さんの間からも派閥などの繋がりを超えて、広い支持を集めています。
 もし安倍さんが総理になったら当選5回での当選というコトになり、これは戦前や戦後間もない混乱期を除けば、やえの記憶が正しければ最近では初当選から一番早い総理になるコトになります。
 日本政治の転換期の象徴になるとも言えるかもしれません。
 派閥は福田さんと同じく森派です。
 
 
 今回の自民党総裁選挙は、事実上この4人で争われるコトになります。
 福田さん自身は未だに総裁選に出るか出ないかの態度をハッキリさせておらず、偏屈者として有名な福田さんのコトですから、直前になってやっぱり出ないと言い出す可能性もありますが、しかしそれも「勝てない」と計算したときにそう言い出すのでしょうから、やはり事実上はこの4人によって争われるコトになる、争われていると言えるでしょう。
 
 
 
 (つづく)
 

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平成18年6月27日

 なぜ今回の自民党総裁選では派閥が機能していないのか(中)

 今回の自民党総裁選挙は、事実上この4人で争われるコトになります。
 福田さん自身は未だに総裁選に出るか出ないかの態度をハッキリさせておらず、偏屈者として有名な福田さんのコトですから、直前になってやっぱり出ないと言い出す可能性もありますが、しかしそれも「勝てない」と計算したときにそう言い出すのでしょうから、やはり事実上はこの4人によって争われるコトになる、争われていると言えるでしょう。
 
 今までの自民党の総裁選挙とは、これはほぼイコールで派閥のパワーゲームによってなされてきました。
 やはり選挙ですから票の多い人が当選するワケで、となればより多く票を取りまとめ、投票の約束を取り付けるコトが一番早い勝つ方法になるワケですから、そういう意味で派閥のパワーゲームによって総裁選は繰り広げられるワケです。
 というか、本来派閥の最も重要な仕事とは、自分たちの領袖(会長)を総裁・総理にするコトですので、その駆け引きは熾烈を極めます。
 
 このような派閥の動きに対して否定的に見る人も多いのですが、やえはそうは思いません。
 詳しくは別の機会ですでに書いていますが、人間3人集まれば派閥が出来ると言いますように、350人近くも人間がいれば人間でしたら自然に派閥も出来ます
 これを否定してもはじまりませんから、派閥を無くすことが絶対に正しい、それがクリーンな政治だと言ってしまうのは、これは違うと思います
 
 しかし、そんな中で「脱派閥」を掲げた小泉さん、自民党をぶっ壊すという掛け声の下、これまでの活躍で本当に今までの自民党の在り方を変えてしまいました。
 紹介のところで書きましたように、安倍さんは本当に幅広く派閥を超えて支持を集めていますし、安倍さんのアンチテーゼ的に支持を集めている福田さんも派閥横断の支持を得ています。
 また、麻生さんも谷垣さんも、これは総裁戦に出るには自民党議員の20人の推薦が必要で、両先生の派閥は20人もいないからという事情もあって、総やはり裁選に正式に出馬するには派閥横断の支持が必要になってきます。
 今回の自民党総裁選挙は、このような「脱派閥」的な、もしかしたらはじめての選挙になると言えると思います。
 
 ではなぜ今回の選挙はそんな脱派閥になったのでしょうか。
 小泉さんが脱派閥の政治を行ってきたからだ、という理由が一番よく言われているコトですが、やえはそれが一番大きな理由だとは思っていません。
 もちろん小泉さんがそのような政治を進めてきたのは確かです。
 特に閣僚を決める際に、派閥を無視した(と言っても自派閥から重用しすぎている感がありますけど)小泉さんの一本釣りで人事を決めるので、派閥の意味をひとつ取り除いてしまったというのは大きかったと思います。
 
 また、これは小泉さんの直接のせいではありませんが、選挙制度が小選挙区制になったというのも大きいでしょう。
 昔の中選挙区制度の下では、同じ政党から複数人立候補して当選するワケですから、同じ政党の中でも同じ選挙区の人は、これは明確に敵になってしまいます
 となれば、各候補者をバックアップするのは、同じ党であれば中立を保たなければならない政党本部ではなく、その他の集団となる派閥の仕事となっていたワケなんですね。
 中選挙区時代というのは同じ党なのに同じ選挙区なので犬猿の仲だったという議員さんはたくさんいましたし、今よりも比べものにならないほど派閥の違いによって温度差があったそうです。
 しかし今は、一つの選挙区に一人しか当選しませんから、当然同じ党から複数人立候補するコトもありません。
 ここでもこれまた派閥の仕事が無くなってしまったんですね。
 そしてこれによって力をつけたのが、候補者を選定する政党本部なワケで、ますます政党のトップたる総裁の力が強くなったワケなのです。
 
 これらのような事情があり、自民党の中で派閥というモノの力が急速に衰えてしまいました。
 しかしそれでも派閥はおそらく0にはならないでしょう。
 なぜかと言えば、やはり情報交換の場であったり、また政策を論議したりする場という意味においては、有効的に派閥が機能するというのも事実だからです。
 ですから、いわゆる小泉チルドレンと言われている現在衆議院の一回生の議員さん達も、無派閥のままではどうやって議員活動をしたらいいのか分からなくて、やはり頼れるところは派閥だと、派閥に入っていっている人たちも少なからずいらっしゃるんですね。
 政党、しかも自民党ぐらいになるとその所属議員が350名ぐらいになってしまうワケでして、やはりそこまでの人数よりも、数十人規模の派閥の方が親近感が沸くというのも人間的事実であり、政治というのは最後は人と人との繋がりになりますから、そう言う意味でも派閥が果たす役割はまだまだ小さくないと言えるワケなのです。
 
 そして、派閥の役割の中でも一番大きなモノが、総裁候補を出す、領袖を総裁・総理にするというモノです。
 これは今でも、おそらく最も派閥が派閥として存在している一番大きな意義になっているのでしょう。
 この意義があるからこそ、ここまで影響力の弱くなった派閥であっても、派閥として形を崩さずにいられているワケです。
 最初に言いましたように、総裁選挙は、目に見える数が明確に数えられる議員投票が強い影響力を持っていますから、この「見える数」をどうとりまとめるかが総裁選挙の勝敗のポイントとなるワケで、その意味においてやはり基礎票となる派閥は強い影響力を持っているワケです。
 ですから、基本的に総裁選挙は、派閥間の争いになります。
 
 しかし今回だけはそうはなっていません。
 各派閥も対応がバラバラになってしまっていて、今現在の状況では、派閥としてのまとまりは、どこの派閥でも皆無だと言ってしまってもいいかもしれません。
 では、なぜこんなコトになってしまっているのでしょうか。
 やえは今回の総裁候補の顔ぶれのせいだろうと思っています。
 先ほど紹介しました麻垣康三の面々は、ものすごい微妙かつ絶妙なバランスをお互いが取り合って、今回のような無派閥総裁選に突入させたと言えるのではないかと思うのです。
 
 総裁選においてそのキャスティングボードを握るのは、派閥の所属議員に多い大派閥です。
 現在ある程度の人数がまとまっている派閥と言えば、清和会(森派)・平成研(津島派)・宏池会(丹羽古賀派)・近未来(山崎派)・志帥会(伊吹派)の5派です。
 普通の総裁選では、これらの派閥がどこと手を結ぶのか、そういう駆け引きが行われていたワケですが、今回はそれがなされません。
 なぜかと言えば、なんとこの5派のウチ、総裁候補を出しているのは清和会の1派だけだからです。
 
 1派しかないと駆け引きもなにもあったもんじゃないですし、さらに追い打ちをかけるかのように、清和会からは安倍さんと福田さんという2人も総裁候補を出してしまっている有様で、これでは派閥間の駆け引き以前の問題なんですね。
 まぁこれだけなら通常なら他の派閥がなんとか統一候補を出して、反小泉・森政権を打ち立てるというシナリオもあったかもしれませんが、しかしそうでないのが、あと2人の候補者の存在です。
 麻生さんと谷垣さんですね。
 すでに世論はこの4人を総裁候補と認知してしまっていますから、しかもこの2人は党内でも影響力や発言力は大きな方、平成研の津島さんや志帥会の伊吹さんなどはまだまだそこまで目立つ存在でもないですので、麻生さん谷垣さんという候補者の前に、他の大派閥が候補を擁立したところで勝てるかどうかはかなり難しいワケです。
 また、これは小泉さんの郵政が影響を与えているのでしょうけど、山崎さんを除く他の大派閥の領袖は、軒並み自民党から追われる格好になってしまい(亀井さんや堀内さん等)、いまの各派閥の領袖というのは次の世代へのつなぎであるという暗黙の了解のようなモノが出来上がってしまい、それも総裁候補として手を挙げられない要因になっているのです。
 唯一宏池会丹羽古賀派の古賀さんが色々な意味で総裁候補として魅力(歓声・ブーイング合わせて)があると言えるのでしょうけど、しかし派閥の通称を見れば分かりますように、どうも丹羽雄哉元厚生労働大臣とのからみがあるようで、その辺のバランスもこのような状況の一因をかっているワケです。
 
 さらにこの絶妙なバランスは続きます。
 
 
 
 (つづく)
 

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平成18年6月28日

 なぜ今回の自民党総裁選では派閥が機能していないのか(下)

 さらにここで宏池会という派閥の特殊な事情も絶妙なバランスの一因を形成しています。
 もし麻生さんか谷垣さんのどちらかひとりだけ立候補していたとすれば、おそらく丹羽古賀派・谷垣派・河野派という3派が連合した「大宏池会」というモノが結成されていたのではないかと予想されるのです。
 この3派は、もともと宮澤喜一元総理が領袖を務めていた頃はひとつの「宏池会」という派閥だったワケで、宮澤さんから加藤紘一さんに領袖を譲るときにそれに反発した河野洋平さんが派閥を抜け、その派閥も加藤の乱によって2つに分裂してしまったという経緯があり、現在は「宏池会丹羽古賀派」「宏池会谷垣派」「大勇会(河野派)」という3つの派閥に分かれてしまっているワケです。
 ですから、そういう事件を抜きにすればもともと同じ派閥の、近しい議員さん達となるワケで、ひとりの総裁候補を擁立するのであれば、つまり派閥形成の大義名分が出来るワケですので、またひとつに戻るというのもやぶさかではなかったのではないかと言えるのです。
 実際、大宏池会が出来ればその数は74名、現在最も数の多い派閥である清和会86名ですから、こうなればかなり互角に戦えるようになり、派閥間の駆け引きが通常通り行われていたでしょう。
 しかし残念ながら麻生さんは河野派、谷垣さんは当然谷垣派で、共に宏池会系ですので、これまた一本化できない状況が生まれ、通常通りに行かない状況が生まれているのです。
 
 既に決められた候補者「麻垣康三」、最大派閥から2人の立候補者、他の二人は小派閥であり、さらに元々は同じ派閥の出身だったこと、他派閥の領袖の存在感の無さ、これらが複雑に絡み合って今回の総裁選挙は脱派閥の様相を呈しているのです。
 
 今回の無派閥総裁選挙は小泉さんが仕掛けたモノでは必ずしも無いと言ったのは、このような状況が、かなりギリギリのラインで微妙かつ絶妙なバランスの上で成り立っているからです。
 例えば麻生さんは以前にも総裁選挙に出ていますから、もし谷垣さんが総裁候補となっていなければ、おそらく宏池会系3派は「麻生派」としてひとつにまとまり総裁選挙の主役に躍り出ていたでしょう、そしてその場合には安倍・福田という清和会分裂状態では勝ち目がなくなってしまい、そこで森さんが大奮起してどちらかに一本化させ、事実上の一騎打ちのような様相になっていたのではないでしょうか。
 そしてそれは、清和会vs宏池会の戦いになり、他の派閥である平成研や近未来や志帥会との連携の模索合戦が始まるワケで、これは今までの派閥総裁選挙と変わらないワケなのです。
 ですから、もしこれらのコトを全て勘案して小泉さんがシナリオを書いていたら、それは郵政政局にまでさかのぼるコトになりますので、これはとんでもない先見の明と言えてしまうワケで、さすがにそれは無いと思います。
 こんな事情によって、今回の総裁選挙はかなり特殊なモノになっているワケです。
 
 
 一体誰が勝つか、いまの段階ではやえも予想がつきません。
 さらに今回の総裁選挙は、議員投票に加え、一派党員投票も加わりますから、その予想がとても難しいんですね。
 まだあと2ヶ月ぐらいあるワケですし。
 また、今回の党員投票は、ちょっと噂に聞いたんですが、票数が都道府県によってその人口比率にあわせたような形で配分されるそうなんです。
 確か都道府県全てを合わせたら300票だったと思うのですが、その300を都道府県の人口比率で配分するのです。
 前回の小泉さんが圧勝した時の党員投票は、各県それぞれ3票ずつ、しかもその3票は各都道府県で最も支持を集めた人ひとりに全ての票3票を与えるという、ちょっと変わった形式でした。
 例えば小泉さん:亀井さんの投票が4:6という僅差であったとしても、その県の最終的な投票数は亀井さんに3票、というコトになっていたワケです。
 しかし今回は、人口によってその投票数が変わる上に、その内容の票も、党員投票の票数に比例した形にするんだそうです。
 これまだやえがちょっと噂で聞いただけなんで確認が取れてませんので間違っていたらごめんなさいですけど、ですから、これがどういう結果になるのか、議員投票にどういう影響を与えるのか、まだ予想がつかないんですね。
 党員投票では安倍さんが有利だと言われていますが、この方式だと、その差も投票の差がダイレクトにつきますから、これからのアピール次第ではその差が小さくなる可能性もあります。
 前回の方式なら、おそらく安倍さんに将棋倒しのように傾いちゃうんでしょうけどね。
 
 
 色々とテレビとかで今回の脱派閥選挙の理由を伝えているようですが、実際のところ、このような細かい事情が重なり合った結果だとやえは見ています。
 ですから、今回の次の総裁選挙はどうなるのか、脱派閥のままかどうかは分かりません。
 次の総裁選挙の時期というのは、もはや確実に世代交代がなされる時期ですから、今の派閥の領袖もほぼ全て顔ぶれが変わっているコトでしょう。
 しかもそれが同時多発で起こるワケですから、各派閥がそれぞれ候補者を出す可能性が高く、そうなればまた派閥間の駆け引きが起こるコトは十分に考えられます
 平成研や宏池会や志帥会など、今まで散々冷や水を飲まされていたワケですから、「次こそは」という思いも強いでしょうしね。
 
 まだあと2ヶ月ぐらいはある自民党総裁選挙ですが、このような事情をあわせて見ると、もうちょっと面白くなるかもしれません。
 そうそう、党員投票の資格は、党員になってから2年間経たなければ与えられませんから、今回は無理ですけど、次回の総裁戦に向けて党員になっておいたら、さらに面白い総裁選になるかもしれませんよ?(笑)
 
 
 バーチャルネット思想アイドルやえ十四歳は、次の自民党総裁も応援しています。
 

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