この問題はマスコミでは小さくしか取り扱われていませんが、実はもっとも重要な、文字通り国民の政治参加というモノに直結する、民主主義にも関わる大きな問題です。
特に当サイトをよく読んでくださっている方は、この問題の重大さがよく分かるのではないでしょうか。
民主執行部、「政策会議」で幕引き狙う=政調復活派の不満消えず
民主党有志が求める党政策調査会(政調)復活をめぐる問題は23日、執行部と政府側による協議の結果、政調を置かない現体制を維持する方向となった。「政策決定の内閣一元化」に反するとの理由からだ。執行部は各省庁の政策会議強化で、幕引きを図る考えだが、復活派の不満は収まっておらず、なお尾を引きそうだ。
「政策は内閣に一元化している」。民主党と政府の協議で、高嶋良充参院幹事長がこう強調したのに対し、松野頼久官房副長官も「当然だ」と応じ、政調復活には応じない方針はあっさり決まった。
政調復活論に対し、小沢一郎幹事長は22日の記者会見で「政策会議が機能を果たしていない議論が政調うんぬんという話にすり替わっている」と不快感を表明。鳩山由紀夫首相も既に否定的な考えを示しており、23日の協議はこうした方針を追認した格好だ。
政策決定の内閣一元化を主導し、政調を廃止したのは小沢氏だ。これに対し、復活派の中心は生方幸夫副幹事長や安住淳衆院安全保障委員長らで、いずれも小沢氏と距離を置いている。
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やえは民主党の組織についてはあまり詳しくないのですが、その名前から想像するに、おそらく自民党の政務調査会、略して政調と同じような機関なんだろうと思われます。
では自民党の政調とはどういうモノでしょうか。
これは特に人権擁護法案の時に当サイトで散々とりあげましたように、各分野によって分けられている政策等に関する議論や議決をとる会議であり、その政党に所属する議員なら誰でも参加できる場です。
例えば人権擁護法案の時は、これは法務省の管轄でしたので自民党では常設の法務部会という政調の会議で審議され、しかし衆参の委員会と違い、定められた委員というのはいないですから、自民党の議員なら衆議院でも参議院でも誰でも参加でき、また意見を表明するコトができるという、とてもオープンな会議で、喧々囂々の議論が繰り広げられました。
衆参の法務委員会などには所属していなくても人権擁護法案に反対した議員さんが大勢参加し、会議で発言するコトによって大反対した結果、現在まで人権擁護法案は自民党としての賛成決定とはなりませんでした。
「党議拘束」という言葉を聞いたコトがあると思いますが、自民党の場合、基本的にこの部会を含めた政務調査会、そしてその上に位置する総務会で議決されなければ、党としての決定とはならず、つまり党議拘束がかからないというシステムになっています。
あの小泉純一郎元総理がごり押しした郵政法案も、いくら小泉さんが独裁的手法を使ったと言われていたとしても、実際は自民党の「政務調査会」と「総務会」は事実として通しているのです。
小泉さんは存在が強烈でしたけど、しかし既存のルールはキチンと守った上で、その存在感を示しただけなのです。
また、なりより大切なのは、その「党の決定」という大きな縛りの決定のプロセスにおいて、党所属議員なら誰でも参加できるという点です。
一部の議員だけが集まって密室で決めてしまうのではなく、全ての議員に、長老議員でも新人でも、平等に発言の機会があるという、とてもオープンな場であるのです。
だからこそ人権擁護法案の時は、一般国民が自民党所属の国会議員に働きかけるコトで、法案の結果について動かすコトができたと言えるでしょう。
こういうシステムとプロセスが自民党にあったからこそ、国民の動きが実際の力と成り得たのです。
ここに自民党という政党の自由で民主的な政党であるという根拠の一つと成り得るワケです。
もうひとつ自民党の部会の大きな特徴の一つが、内閣提出法案(政府提出法案)をも審議の対象としいている点です。
よく「日本では議員立法が少なく、議員は法案作りに参加していない」と言われますが、しかし自民党に関してはこれが当てはまりません。
なぜなら、確かに法案文の骨格は官僚が書きますが、しかし実質的な審議や修正は、いくら内閣提出法案と家でも自民党の議員が自ら行っていたからです。
実際人権擁護法案では、最初に官僚が書いた法案文が、紆余曲折あってかなり修正されましたよね。
その部会での様子は、当サイトが最も伝えてきたところです。
このように決して「官僚丸投げ」とは言えない実態があったのです。
自民党はいま野党になりましたが、それでも政調の機関である部会は毎日のように開かれています。
与党ではなくなりましたから、実際に自民党だけで法案を訂正する力はなくなりましたが、しかし毎日のように部会を開くコトで、議員さん個人の能力を高めるという側面も部会は持ち合わせています。
衆議院の委員会では、自民党議員の議論に対し、民主党の日本語にもならない幼稚な議論についてはやえもよく取り上げていますが、この辺も議員の自力の差として出る要因になっているのでしょう。
自民党の部会などの会議情報は、こちらの自民党サイトで公開されていますから、ご興味のある方は一度見てみてください。
毎日よくこんなにやってますねと、会議名や内容を見るだけで感心してしまいます。
では対して民主党はどうなのでしょうか。
記事が伝えるところによると、いま民主党には政調が無いというコトですから、これはもう
政府に入っている議員か党の役でも高位にいる人しか政策決定に関わるコトができない
と言って差し支えないでしょう。
もっと簡単に言えば、小沢一郎民主党幹事長がYESと言えばYES、NOと言えばNOというコトです。
いくら異論があっても、それを表明する場すらないのが民主党なのです。
さらに言えば、官僚が作った法案が、一般議員の目にさらされないまま党の決定になるワケですから、これこそますます「官僚丸投げ」であり、果たして一般の民主党議員は普段何をしているのか、まったく法律作りに関わっていないと言えるでしょう。
おそらく小沢民主党幹事長としては、政調の場を作り、一般議員からゴチャゴチャ言われるのを防ぎたいという思いから、「政調潰し」にかかったのだと思われます。
もし政調があれば、自分が作りたい法律があったとしても、政調でNOと言われれば党としての決定になりませんから、独裁がしたい小沢一郎にとっては政調は邪魔なだけなのでしょう。
散々独裁と言われた小泉さんでも民主主義のルールは守って政調や総務会を通したのに、小沢一郎は強引に通す手を考えるという手法すら飛び越えて、機関を潰して議論すらさせないという、民主主義の政治家とは思えない手法に乗り出したワケです。
正気の沙汰とは思えません。
例えば外国人参政権付与法案が今国会で提出を予定されていますが、今のままの民主党であれば、いくら国民が騒いだとしても、小沢民主党幹事長が「通せ」と一言言えばそれで終わってしまうのです。
これが自民党なら、人権擁護法案の時のように部会で十分に国民の声を反映させるコトができたのでしょうけど、民主党ではそれが出来ないのです。
いくら民主党議員に働きかけても、普通の議員がその意見を表明する場も阻止するための具体的行動もなにもないからです。
全て小沢民主党幹事長の胸の内一つなのです。
そして民主党議員は、ただただ小沢一郎のイエスマンになるしかない、ただ手を挙げる道具に成り下がるしかないのです。
この問題、マスコミはあまり大きく取り上げません。
確かにあまり政治に詳しくない人は、そもそも政調ってなにって感じでしょうから、関心を持ちづらいのかもしれません。
しかし、この問題がいかに大きいかは、政治や永田町のシステムをよく知っているマスコミ自身が一番よく分かっているコトのハズです。
それなのにこの問題をこの程度にしているというのは、やえには到底理解できません。
この問題は最初にも言いましたように、国民の政治参加という部分に深く関わる大きな問題です。
民主党がどのような政党なのか、小沢一郎がどのような政治を実行したいのか、国民はシッカリと事実を見て判断してほしいと思います。
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