年末ですねぇ・・・。
右も左も逝ってよし!!
バーチャルネット思想アイドルのやえです。
おはろーございます。
次は『(2) 男系継承維持の条件と社会の変化』という項目を見てみたいと思うのですが、これもまた実に巧妙にミスリードしようと文章が組まれています。
やえが何度も言っていますように、庶民の常識と天皇家の常識を並列に論じるコトは適切ではありません。
天皇は天皇の世界の中のルールを守ってきた中で2600年の歴史を作ったのですから、それを尊重するのは当たり前の話で、歴史そのものが天皇の存在なのですから、それらの歴史を否定しては天皇すら否定するコトになりかねません。
しかし、この報告書は巧妙に巧妙に論点をずらそうとしています。
(2) 男系継承維持の条件と社会の変化
男系による継承は、基本的には、歴代の天皇・皇族男子から必ず男子が誕生することを前提にして初めて成り立つものである。
過去において、長期間これが維持されてきた背景としては、まず、非嫡系による皇位継承が広く認められていたことが挙げられる。これが男系継承の上で大きな役割を果たしてきたことは、歴代天皇の半数近くが非嫡系であったことにも示されている。また、若年での結婚が一般的で、皇室においても傾向としては出生数が多かったことも重要な条件の一つと考えられる。
しかしながら、昭和22年に現行典範が制定されたとき、まず、社会倫理等の観点から、皇位継承資格を有するのは嫡出子に限られ、制約の厳しい制度となった。実際に、現行典範の制定の際の帝国議会では、皇籍離脱の範囲を拡大するとともに、非嫡出子を認めないこととすれば、皇統の維持に不安が生じかねないため、女性天皇を可能とすべきではないかとの指摘もあった。
近年、我が国社会では急速に少子化が進んでおり、現行典範が制定された昭和20年代前半には4を超えていた合計特殊出生率(一人の女性が、一生の間に産む子供の数)が、平成16年には1.29まで低下している。
(中略)
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このまま読むと、なんだか嫡出子が正道であり、また少子化は現在社会問題なので説得力があるかのように感じてしまいがちです。
しかし、今回の天皇後継問題での最も重要な焦点は、男系を存続させるか放棄するかの二択の問題であり、ここを一番議論しなければならない点なのです。
それなのにこの報告書はたった「社会倫理等の観点から、皇位継承資格を有するのは嫡出子に限られ」と一文だけで嫡出子の問題を終わらせ、さもはじめから嫡出子に何も問題など存在しないと言わんばかりにしてしまっています。
こんな馬鹿な話はありません。
天皇後継の最大の問題である男系かそれ以外かという問題をたった一言で終わらせてしまって、ではいったいこの報告書はなにを報告しているつもりなのでしょうか。
そのつもりが、この項目で言えば出生率の問題なのでしょう。
嫡出子問題をたった一言で終わらせた一方、出生率の問題は長々と実に15行も使って説得力を出そうとしています。
確かに出生率の問題は、民間のそれと皇室のそれとリンクするというのは否定できないモノです。
ですから、これだけを読めば、科学的なデータも出されていて、かなり説得力のあるように思えてしまうワケです。
しかし本来の議論としてはこれは傍論でしかなく、特に「平均的には、一組の夫婦からの出生数が2人を下回れば、男系男子の数は世代を追うごとに減少し続けることとなる」という話をするのであれば、ここから導かれる議案とは「ではどうやって男系男子の数を減らさず増える方向にもっていくか」という話をしなければならないワケであって、決してここから男系を否定しうる材料には全くもってならないのです。
それなのになぜか強引に女系賛成の方向に持って行こうとしているあたり、やっぱり結論ありきの会議ではないかと疑いを持たざるを得ないワケです。
さて、この報告書、一応旧皇族の皇籍復帰についても触れていたりします。
しかしこの扱いも相当に失礼な感じになっています。
(補論)旧皇族の皇籍復帰等の方策
男系男子という要件を維持しようとする観点から、そのための当面の方法として、昭和22年に皇籍を離れたいわゆる旧皇族やその男系男子子孫を皇族とする方策を主張する見解があるが、これについては、上に述べた、男系男子による安定的な皇位継承自体が困難になっているという問題に加え、以下のように、国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である。
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はじめから「補論」なワケです。
つまり、「語るほどでもないけど、なんかうるさい人がいるから一応触れておきますよ」と言っているワケです。
もはや、結論ありきここに極まれりです。
旧皇族は、既に60年近く一般国民として過ごしており、また、今上天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の方々であることを考えると、これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される。皇族として親しまれていることが過去のどの時代よりも重要な意味を持つ象徴天皇の制度の下では、このような方策につき国民の理解と支持を得ることは難しいと考えられる。
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60年がなんだというのでしょうか。
天皇家2600年の伝統の前には小さすぎる話です。
また、「今上天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の方々であることを考えると、これらの方々を広く国民が皇族として受け入れることができるか懸念される」とか「このような方策につき国民の理解と支持を得ることは難しいと考えられる」とか言ってますが、「懸念」や「考えられる」は有識者会議が勝手に懸念して考えているだけの話であって、別に国民がそうであると結論づけられているワケではありませんから、全く全然これっぽっちも旧皇族の皇族復帰が難しいという説得材料にはなりません。
ただの有識者の予想です。
予想屋の予想は予想でしかなく、予想だけで結論づけられるのであれば、「それでも国民は新しい男系天皇を敬愛することができるでしょう」とやえが言っても問題ないコトになります。
そもそも敬愛されるかされないかが問題であるなら、男系でない天皇が就くことによって敬愛されない可能性だって含まれるワケで、やっぱりそれは予想の範囲を超えない話でしかないワケです。
この話はそうではなくて、天皇が古代から2600年続いた伝統に基づく権威を今現在捨てるのかどうかという話なのですから、まったくもって筋違いも甚だしいのです。
また、むしろ600年前までさかのぼっても神武天皇に繋がるという事実の方が、天皇家の悠久の歴史を感じられるよい材料になるのではないでしょうか。
なぜ有識者会議ははじめから否定ありきの結論を出すのか、それこそまずは国民に議論してもらえばいいだけなのに、甚だ疑問でしかありません。
皇籍への復帰・編入を行う場合、当事者の意思を尊重する必要があるため、この方策によって実際に皇位継承資格者の存在が確保されるのか、また、確保されるとしてそれが何人程度になるのか、といった問題は、最終的には個々の当事者の意思に依存することとなり、不安定さを内包するものである。このことは、見方を変えれば、制度の運用如何によっては、皇族となることを当事者に事実上強制したり、当事者以外の第三者が影響を及ぼしたりすることになりかねないことを意味するものである。
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こんなの一言で終わります。
やってみないコトにはどうしようもありません。
そもそも天皇の子供に生まれれば天皇に強制される運命にあるのですから、はじめからこんなコトを言い出してもキリがありません。
元々は天皇家に生まれた運命を背負い、また戦後に強制的に天皇家から離脱させられた人たちではありますが、しかし今でも天皇家の血筋を、神武天皇家を継承している事実からはどうやっても逃げられないワケであって、この事実から目をそらして、ここだけ都合良く「個人の自由」なんて言葉を振りかざすのは、あまりにも的はずれなのではないでしょうか。
いったん皇族の身分を離れた者が再度皇族となったり、もともと皇族でなかった者が皇族になったりすることは、これまでの歴史の中で極めて異例なことであり、さらにそのような者が皇位に即いたのは平安時代の二例しかない(この二例は、短期間の皇籍離脱であり、また、天皇の近親者(皇子)であった点などで、いわゆる旧皇族の事例とは異なる。)。これは、皇族と国民の身分を厳格に峻別することにより、皇族の身分等をめぐる各種の混乱が生じることを避けるという実質的な意味を持つ伝統であり、この点には現在でも十分な配慮が必要である。
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今回の事態は、皇室の中に男系がいなくなるという天皇家始まって以来の異例中の異例事態と呼べるモノなのですから、一例でも例があれば問題はないと考えられます。
また、混乱が生じることを避ける配慮が必要であるなら、そう配慮すればいいだけの話です。
簡単に言えば、今回のは異例事態を受けての特例措置であり、基本的に後続復帰は今回のみとして、通常の場合や本人が望むだけの理由では受け付けないコトにすればいいだけでしょう。
また今回復帰していただく方々の皇位継承順位も、じっくりと時間をかけて議論すればいいだけの話です。
1、2年以内に決めなければならないぐらい急ぐ必要性は全くないですからね。
これだけのコトで、ことさら混乱が起きると決めつけるのはいささか強引なのではないでしょうか。
そもそも、女系の方が全く前例が無いのですから、それをさしおいてなぜ一例でもある前例を例外扱いし、前例のない方法を正道かのように言うのでしょうか。
理論的にもう破綻しているというか、わざと無茶苦茶にうやむやにしようとしているようにしか思えません。
女系天皇よりも、皇族復帰の方が遙かに確実に伝統を守った方策です。
議論の順番としては、まずは前例が1つでもある皇族復帰の方策を検討して議論し、それでもどうしても不可能であると言う場合にのみ、新しい方策を考えるというのがスジなのではないでしょうか。
なぜわざわざ伝統にない女系にこだわって、伝統にある方策を頭ごなしに否定するのか、理解に苦しむというか、やはり結論ありきの意図があるとしか思えません。
(つづく)
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