敷金を返せ!!〜敷金返還闘争記〜


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第三章 リベンジの序章

 どうしても納得行かない。腑に落ちない。たまるのはストレスばかりで、それを彼女君に当たり散らす(笑)

 相手はかなり研究していたプロだった。
 オレは悪質な手口でくるとばかり思っていたのだが、T◎HT◎不動産は法律を勉強しマニュアルを制作しているのだろう、オレは最後までかなり困惑してしまい、結局相手のペースに乗せられたままだった。
 T◎HT◎不動産はケイオ○線沿いではかなり有力な不動産会社である。だから違法な取り立てではなく、あくまで法律に則ってやっているという態度を見せ、生兵法程度のオレのような素人が来ても完全に対応できるようにしているのだろう。
 これからはこのような不動産屋が増えるのではないかと思われる。
 ただしそれらも完全に法に則ってやっているのかどうかは疑問が残るところである。
 特に煙草の件は納得行かないので、こんどは徹底的に調べることにした。
 そんな矢先、T◎HT◎不動産からFAXが来た。

 先日は、精算立会の件で、お世話になりました。
現地で、天堕さんに了承頂いた部分の負担のみでセ○ワさんに報告したところ、担当の方から了承を頂きましたので、1万5千円のお振り込みの方、よろしくお願いいたします。
お手数ですが、一度ご連絡下さい。

 予想通り、あれだけではまだ不動産側の方が全然儲かるので、これで了承してきた。
 しかしオレの方がここで引き下がるわけにはいかない。
 ここは専門家の話を聞くのが良いだろうと思い、とりあえずオレは国民生活センターに電話して聞いてみることにした。

受付「はい。国民生活センターです」
天堕「あ、ちょっとアパートとかの敷金についてお聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
受付「はい。どうぞ」
天堕「(あっさりしてるな)あ、えと、煙草のヤニについてなんですけど、不動産屋の方は煙草に付いたヤニは過失となる、と言ってクロスの張替代を請求してきたのですけど、判例や法的には煙草のヤニというものはどうなっているんでしょうか。通常使用ではないのでしょうか」
受付「ああ、そういうのはねぇ、個別で違うし、判例も違うんでねぇ。一概には言えないんですよ。ちょっと国民センターの方からは、はっきりとは言えないんですよねぇ」
天堕「はぁ」
受付「でね、ここでははっきり言えないんだけど、そういうことなら東京不動産センターに聞いてみたらいいと思いますよ。そこで詳しく言えば、判例とかも探してくれるだろうし、相談とかにも乗ってくれると思います。電話番号は03−3235−6551です」
天堕「分かりました。色々とありがとうござしまた」

 電話に出たのはおばちゃんだった。こういうセンターの電話は対応が冷たいというイメージを持っていたので、それよりは良い対応だった。おばちゃんの人柄のせいかもしれないが。

 ここで注意があるのだが、さっきの東京不動産センターは電話での相談は受け付けていないので、相談の電話はしないでくれ、とのことである。実際に相談する場合は、直接そこに行かなければダメらしい。おばちゃんもこの点をかなり強く言っていたので、けっこう電話での相談が多いと思われる。けっこうそのセンターは忙しいらしいので、必ず訪問して相談してほしい。

 オレはというと、結局東京不動産センターには行かなかった。それは、HPで意外にあっさりと煙草のヤニに関しての記事が見つかったからである。
 ただし、それは「煙草のヤニも通常使用と認められたという判例がある」とか、ある不動産屋のサイトにそう書いてあったりとかで、判決文を手に入れることは出来なかった。
 しかしこれで証拠は十分である。
 オレは、立会の時にサインしてしまったことを含め、次のようなFAXをすることにした。
 ポイントは、「ガイドラインと法律と判例を前面に出してこちらの主張が正しいと言う」それを踏まえて、「敷金の全額返金を明確に要求すること」「書類にサインしたことは正しい状況判断が出来ていなかったこと」を説明することである。

平成13年○月×日

 T◎HT◎不動産 山田様


 お返事が遅れまして大変申し訳ございませんでした。
 八王子の(住んでいたアパート名)に住んでおりました天堕 輪です。

 さて、お返事が遅れたというのも、少々敷金について知人や実家の家族と話し合い等がございまして、今日になった次第です。
 いくつか質問・要望がございますのでお答えになっていただきたいと思います。


 まずはじめに、前回の立ち会いの時の書類について説明させていただきます。
 敷金返還の書類にサインしてしまった事について、清掃料金をこちらが払うことを契約書に明記してあることの説明を聞いたことを受け、そのまま煙草のヤニについても契約書もしくは建設省によるガイドラインで明記してあるモノとこちらが判断してしまい書類にサインし同意してしまいました。
 こちらで確認したところ、契約書にはそのような事項はございませんでしたし、ガイドラインにも特にそのようなことは明記されてはおりません。
 当然、そちらに悪意があったとは思っていませんし、こちらが勝手に勘違いしてしまったのではありますが、しかし煙草について契約書・ガイドライン等に明記されていないことをそちらが説明されなかったことも確かです。
 その点をご留意していただきたいと思います。
 また、工事担当の方だったと思いますが、
「この壁を見て、次のお客さんがきれいと思うか、入りたいと思うかどうか」
 というような趣旨のことをおっしゃっていました。
 これは明らかに「原状回復」を逸脱した発言です
 「原状回復」とは賃借人が借りた当時の状態に戻すことではないことは
そちらの方がよくご存じのことかと思います
 それなのに上記のような発言をされるということは、こちらといたしましては、情報操作的もしくは扇動的と捉えてしまっても致し方ないと判断できます
 これらのことから書類にサインしたときの状況が妥当であったとは判断できかねます。


 さて、本題に移らさせていたたぎます。
 壁に付着した煙草のヤニなのですが、そちらはクリーニングで落ちないので全額こちらが支払わなければならない、というような趣旨のことをおっしゃっておられましたが、これも明らかにガイドラインから逸脱した発言なのではないでしょうか
 煙草のヤニについては、弁護士不動産屋のHPにもそれは通常の一般的使用方法であり借り主負担で内装等を修繕原状回復する義務はないとはっきりと明記してあります
 また、「劣化する分の補修費用は既に支払われた家賃に含まれており、家主がこれから負担すべき」という判決理由で、はっきり家主負担と判決が出ています
 私は法律家の関係者でもありませんし、大学も法学部ではありませんでしたから、そのことは知らなかったのですが、そちらはプロですし、「法に則って仕事をしている」と明言されておられたのですから、このことを知らなかったとは考えられません。
 このことについてはっきりとした説明をしていただきたいと思います。


 次に、借家法第16条には《借地権者に不利な特約は無効とする》という条文があります
 これによると、清掃料金をこちらが払うとされている契約書の内容は無効であると判断されるのではないでしょうか。
 このことについても明確な回答を頂きたいと思います。


 以上のことから次のことを要求いたします。

1.クロス張替代金はこちらが払う義務はないのでその代金の返還
2.室内清掃代金の返還
3.判例や法について明確な説明をしなかった事に対する説明


 繰り返しになりますが
「原状回復」「ガイドラインに沿った」
 ということを明言され、会社の方針としてやっておられるのであれば、常識ある節度ある行動を取っていただけるものと思います。


以上よろしくお願いいたします。

天堕 輪

 ヤニについてはカウンターパンチのせいもあって、以上のように流してしまった。その点はオレのレベルが足りないところだが、それはそれで、勘違いしたことは確かなのでそのままを書いた。また、借地借家法はヤニについて探しているときに偶然見つけたことで、どうせならカードは多い方がいいだろうと判断し書いてみた。オレの思惑的にはこれは返ってこなくても良いと思っているが、カードは多い方が良いので主張することにしたのである。


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