敷金を返せ!!〜敷金返還闘争記〜


序章第一章第二章第三章第四章|第五章|終章

第五章 第二次敷金返還闘争

天堕様

 先日頂いたFAXへの返答を送ります。
1.室内清掃は100%負担していただきたい。3万円
2.クロス張替工事は洋室の壁・天井張替代を50%負担していただきたいとのこと。2万5千円
合計5万7千円


*クロス張替工事に関しては、洋室のみ天堕さんが入居される前に張替工事をしている為です。

 預かり金の12万円から内部補修費5万7千円を差し引いた6万2千円の返金、これがセ○ワさんからの最終的な返答です。

 上記は天堕さんから送られてきた2枚のFAXの内容をセ○ワさんに見て貰った上での返答になりますので、よろしくお願いします。

 ついにやった、と言っていい結果であろう。敷金の半分以上が返ってくることになったのだ。
 ただ、残念だが、こっちの主張を全面的に受け入れてはこなかった。どうして企業がそこまでして2万程度の金が欲いのかどうも疑問だが、とにかくはじめの2万を支払わなければならないことから考えれば、ずいぶん前進したものだと思う。
 しかし一つだけ気になる部分がある。

*クロス張替工事に関しては、洋室のみ天堕さんが入居される前に張替工事をしている為です。

 これである。
 オレが入居する前に張替工事をしているからナンダというのだろうか。それとも「「原状回復」とは賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない」というガイドラインを忘れたのだろうか
 ただ、ここでオレは選択を迫られることになる。
 多分、T◎HT◎不動産セ○ワ不動産はこれ以上FAXで要求しても条件を変えることはないだろう。だからオレは裁判をするかこちらから退くか、このどちらかである。
 金額的にはオレとしたら申し分はない。半分以上取り返したし、特に金目当てでここまでやってきたわけじゃない。半分近く不動産屋にぶんどられる事は腹立たしいが、この際仕方あるまい。煙草についても、ほぼ不動産側は過失ではないと判断したと捉えられるものだろう。キッチンのクロスはオレ側は払わなくて済んだのだから。
 また、裁判になることを冷静に分析するのであれば、一度書類にサインしてしまっているのが気になる。いくら向こうはそれは気にしないと言っていても、裁判となると別かもしれない。説明を受けていない書類についても同様である。この辺りが不利になってくる可能性がある。
 やはりここは退くべきであろう。洋室のクロス張替代2万は勉強代だと思えば良かろう。
 しかし、どうしても「クロス工事に関しては〜」の一文は気に入らない。
 また、ここで素直に退いてしまうのも、「裁判までするぞ」と言ったシメシが付かないような気もしないこともない。
 だから次のようなFAXを送ることにした。
 ポイントは、「要求をしているのではなく、あくまで質問だけと言うこと
 あまよくば、これでクロス代を全額返還してくると言ってくれれば儲けものだろう、という事も考えてはいた。

平成13年○月×日
T◎HT◎不動産 山田様


 八王子の○○に住んでおりました天堕 輪です。
 某日に送っていただきましたFAXの返事をお送りさせていただきます。


 今回は、山田さん個人にお聞きしたいことがあります。
 先日のFAXで、


*クロス張替工事に関しては、洋室のみ天堕さんが入居される前に張替工事をしているためです。

 という一文がありました。
 もちろん、このようなことはセ○ワ不動産さんからの要請でこうなっているのでしょうが、だからこそ、私と積和さんとの中間に位置に立っていただいておられる山田さん
個人の見解を聞きたいと思いました。
 そこでお尋ねします。
 この一文は、明らかにガイドラインから逸脱したものではないのでしょうか。
 ガイドライン及び建設省(国土交通省)のHPにはハッキリと「原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない」と明記してあります。
 私が入る前にクロスを張り替えたかどうかは全く敷金に関して関係ない話で、私が入る前に張り替えたから負担せよ、というのは法を超えた違法行為なのではないでしょうか。
 そして、なぜ私が入る前にクロス張替をしたかと言えば、私に(客に)59000円の家賃で満足してもらえるように、見た目を良くするためにという、そちら(セ○ワ不動産)の商行為以外何者でもない工事だったのでしょう。
 もしクロスが汚ければ私はその家賃で○○に入居しなかったかもしれません。
 あの部屋の価値を上げるための工事でしかなく、そしてガイドラインには借りた当時の状態に戻すことはないと明記されており、また「自然損耗や通常損耗が含まれており、賃借人はその分を賃料として支払っています」とも明記してあります。
 つまり、クロス張替工事費はすでに家賃の中で支払っていることになっています
 逆に言えば、私が入る前にクロス張替工事をしていたのならば、なおさら私が敷金でその工事費を払う必要は全くないのではないでしょうか。
 家賃でその分は支払っているのですから。
 
法に則って行動するなら、敷金でその分を負担するのはおかしいと私は判断します。

 私は前回の妥協案で「清掃代はこちらが負担する」としました。
 私個人が調べましたところ、清掃代は1DKの部屋として妥当な金額でしたが、洋室のクロスを張り替えるのであれば、清掃代3万円だけで十分キッチンの清掃が出来るでしょう。(もちろん法に則って考えればキッチンも張替工事代も清掃代もこちらが払う必要はないとは思いますが)
 私がここまで譲歩しているのに、
なぜ法に則った行為をしてくださらないのか、私は山田さん個人の見解を聞きたいと思います。

 山田さんからのFAXを頂いた後、早急にこちらから最終的なお返事をさせていただきたいと思っています。
 お手数でしょうがよろしくお願いいたします。

天堕 輪

 この返事は一日ぐらいで返ってきた。
 しかしその内容は、FAXでは伝えきれないので電話をしてくれ、とのこと。
 電話はイヤなんだが、仕方ない。

天堕「天堕という者ですけど、山田さんはいらっしゃますでしょうか」
受付「はい、少々お待ち下さい」
山田「お電話変わりました山田です」
天堕「どうも、いつもお世話になっております」
山田「こちらこそお世話になっております。それでですね、前回の天堕さんのFAXの回答をですね、FAXで送りますとかなり長くなってしまい送りきれないので電話で回答させていただきたいと思いましたのですが」
天堕「はいはい、それで」
山田「それでですね、確かにこちらが送りましたあのFAXの文面だけを見ればガイドラインから逸脱したものかもしれませんが、しかしあれははじめから続いていることでして、つまり立会の時に私どもが煙草のヤニはクリーニングで取れないと判断したものでありまして、それで天堕さんが入居する前にクロスを張り替えたと書いたんですね。キッチンの方は前回クリーニングしただけなので、それまでの汚れが蓄積していたのでその分はセ○ワさんが負担するという事なんですよ」
天堕「???え??、それはやっぱり洋室の方はクロスを私が入る前に取り替えので、私が全て汚したことになるから工事費を負担しろと言ってるんじゃないですか?」
山田「いえ、違うんですよ。そういうことを言っているのではなくて…」
天堕それは洋室とキッチンとの対応は矛盾してますよね?
山田「いえ、矛盾はしておりません。あくまで煙草のヤニはクリーニングで落ちないという判断を致しましたので、キッチンの方は天堕さんが入居される以前までの汚れもありましたので、洋室だけ負担していただきたいとのセ○ワさんの判断なんですよ」
天堕「・・・??うーん、ちょっとお尋ねするんですけど、煙草のヤニは判例でも過失ではないと出ていますよね。それについてはどうお考えですか?」
山田「煙草のヤニというだけでは判断しかねますので、あくまで現地で見たときにクリーニングで落ちないと判断しましたので過失ということで」
天堕「ということは、クリーニングで落ちるか落ちないかが過失の線引きだと?
山田そうです
天堕「それはちがうでしょう?」
山田「では、何で線引きすればよろしいのでしょうか?ガイドラインは法律でもなくまた具体的にも書かれているものではありませんので、ガイドラインはガイドラインでしかありませんから、その辺は私どもが独自に判断するしかないんですよ」
天堕「それは分かってますが、クリーニングで落ちるかどうかなら・・・いや、今回はあなたと口論するためにFAXしたんじゃないんでまぁいいです。いくらここであなたに言ってもあなたはセ○ワ不動産さんではないんで、要求することにもなりませんしね」
山田「そうですね。前回お送りした洋室折半と室内清掃代を負担お願いします、というのがセ○ワさんの最終結論ですから、それ以上の要求をなさるのであれば、セ○ワさんと直接お話ししていただくか、天堕さんがFAXでお書きになられたような手段(少額訴訟のこと)をおとりになられるかになると思います」
天堕「ふぅ〜、・・・・・・・・分かりました。私の最終的な回答は、もし前回のFAXで書いたような手段を用いるようでしたら正式な文章がそちらに行くと思います。またはセ○ワさんの最終結論を私が合意するというのであれば2日間の間にFAXにて返答いたします」
山田「よろしくおねがいします」

 うーん、やはり電話は苦手だ。というより、やはり相手はプロなので口調や対応は丁寧でその辺は安心して対決することができたのだが、しゃべり方がうまいというか、丸め込む術を心得ている。
 結局何がいいたいかと言えば、クロスのヤニはクリーニングで取れないということしか言っていないのでFAXで十分だったような気もするんだが、やはり文章ではオレの方に分があると踏んで、電話で対応することにしたのだろうか。
 しかしやはりこの説明では、オレが入居する前にクロスを張り替えたから今回の張替代も金出せ、としか聞こえない
 オレは通常使用とは、その汚した原因によるものなのではないかと思う。つまり煙草であれは通常使用、刀で斬りつけたのであれば過失、というように。もちろん何事も限度はあるが。


敷金返還記のトップへ 次へ