敷金を返せ!!〜体験に基づくアドバイス〜

 はじめに断っておくが、あくまでこれらはオレ個人の経験に基づいてのアドバイスに過ぎない。またオレは法律の専門家でもなんでもない。よって結果に対して責任は負えないし負わないので、もっと詳しく、また直接的なアドバイスを受けたいのであれば弁護士や行政書士の方々に相談した方がよいだろう。オレは今回、行政書士 中谷彰吾氏に一度メールにて相談に乗っていただいた。メールによる簡単な相談なら無料で乗ってくれるので、敷金返還について、またそれ以外の法律的な相談があるのであれば、そちらを参照して欲しい。


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0.敷金返還は契約時に決まる

借地借家法第16条には「借地権者に不利な特約は無効とする」とあるが、しかし建設省(現国土交通省)が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインの概要」では「既に賃貸借契約を締結されている方は、一応、現在の契約書が有効なものと考えられますので、契約内容に沿った取扱いが原則」となっているので、今回のオレのような清掃代に対してもこれは裁判をしてみなければ分からない問題である。また、オレが相談をした中谷行政書士は「特約などがあっても、賃借人に不利な特約は無効だという判決がよくだされますよ。」とメールを頂いているので、やはりケースバイケースなのかもしれない。
 よって、出来るだけ事を速やかに進めたい場合は契約時に万全な体制を作っておくことが最もベストである。契約時、契約書に不利な条項がないか確認しておくべきであろう。はじめから通常使用について細かく規定している場合もあり得るようだ。その場合は必ずと言っていいほど賃借人に不利になっているだろうから(賃借人に有利であるなら貸し主が契約書に書く意味がない)その点も注意した方がよい。もし不利な条項があるようであれば「借地借家法」を盾に無効にするように言おう。契約前に契約書の内容を変えることは当然可能である。もし不動産屋が応じないのであればその不動産屋は諦めて別のとこに行った方がよい。この時勢、不動産業界は厳しいぐらいなのだし、当然消費書の方が選ぶ権利があるのだから、少々強気に言った方がよい。全てはここで決まると思ってもいいぐらいなのだから。
 また、こちらからも契約書に追加契約内容を追加することも可能なはずなので、「ガイドライン」を盾に、通常使用・自然損耗のラインをハッキリさせておくのがベストであろう。当然汚れやヘコみ、少々の傷や押しピンなどの穴も通常使用と認められているのでそう主張すればよい。また、オレの二の舞を踏まないよう煙草に関してもハッキリと主張しておこう。普通の吸い方であればそれは当然通常使用である。「クリーニングで落ちる落ちないに関わらず煙草のヤニによる汚れは通常使用である」と契約書に追記しておけば万全である。
 元々敷金というモノは、「本物件の明渡し時に、賃料滞納、原状回復に要する費用の未払いその他の本契約から生じる乙の債務の不履行が存在する場合には、当該債務の額を敷金から差し引くことができる」(住宅宅地審議会作成『標準契約書』より)モノ、つまり「家賃を滞納していたり、明らかに部屋が壊れていたりしたときの補償金」でしかないのである。よって契約前に契約書に「家賃を滞納した場合または人が住むのに支障をきたすほどの破損がある場合を除き、退出時に敷金の全額を返還すること」追記させておくのもよい。ただし「人が住むのに支障をきたすほどの破損」はちょっと大げさかもしれないし、不動産側がそれを飲むかどうかは難しいのではないかと思われるので、上記のように通常使用のラインをハッキリさせておくべきであろう。ヤニや押しピンなどを契約書に追記させておけば、通常使用していれば通常使用以外の破損はあり得ないだろうから、仮に退出時に「契約書に明記されていない破損がある」と言ってもそれだけが通常使用ではないので、裁判すればほぼ勝てるだろう。ここまで有利な契約書を作れば、裁判をしても負ける要素を見つける方が大変だと思われる。
 「通常使用のラインを明確にしておく」「通常使用以外が無ければ全額敷金を返還すること」の二つを契約書に追記しておけば、もうこの後の文章を読むことなく、敷金のトラブルに会うことはほぼ皆無であろう。この方法が最も且つ唯一の確実な敷金返還方法である
 ただし、契約時には不動産やと和やかな雰囲気のまま終わりたいという人は、退出時に多少の衝突をいとわないのであればそれでもいいかもしれない。その部屋を出てしまえばもう直接関わりはなくなるので衝突してもそれが終われば縁は切れるというメリットがある。ケンカ別れしたところで次はないだろうから。そうしたいのであれば、必ず契約時に不利な条項が無いかだけを確認した方が良い。これがあれば衝突して負けてボロボロになってしまう。普通の条件なら敷金は返ってくるべきモノなのだから。

契約書での敷金返還についての例文
イ)原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗等を復旧すること」である
ロ)原状回復は賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない
ハ)通常使用によっての損耗は賃借人の責任ではなく、工事費等を支払う義務はない
ニ)通常使用による損耗とは「ガイドラインに基づいて自然損耗や通常損耗」であり、畳のスレ傷や壁等の傷、汚れ・床のヘコミ・煙草のヤニでの汚れ等、その他普通の生活では考えられないような損耗以外のことである
)家賃滞納への補填、通常使用による損耗以外の損耗に対する修繕以外では敷金を使うことは出来ず、敷金は退出時に賃借人に全額返金すること


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