敷金を返せ!!〜体験に基づくアドバイス〜


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1.最も重要な関門「立ち会い」

 契約書に0番のような条文もなく、また特に借り主に不利な条文も無い場合は、ガイドラインにそって基本的に敷金は全額返還してもらうべきである。
 一番重要な場面は立ち会いの時である。まず一番最初にすべき事は工事費等を要求してきた場合「明細書」を書かせることだ。これにより、その要求金・額は妥当かどうか判断できるし後で証拠にもなる。これがないと何も判断材料がないので交渉することさえできないので、これだけは絶対に貰っておこう。はじめから明細を書かないような業者はこの要求だけで出鼻をくじかせることができるだろう。何はともあれ、敷金返還交渉は明細から始まると言える。
 次に敷金返還のコツとして「全額返金以外の条件であれば何はともあれ一度全て保留にしておく」ことである。立ち会い業者は業者なので当然プロである。しゃべりも手慣れたモノだし、向こうは仕事なので遠慮なく少しでも多くの金を取ろうとしてくる。それに対して素人が真っ向から対決してもかなり不利だし、一般人では正面からなかなか主張しづらいモノがあるので、その場でサイン等はしない方がよい。後でゆっくりと家族や知人等に相談しながら落ち着いて考えればよいのだ。「この場では決めかねるので、家に帰って家族と話し合いたいので返事は後にさせていただきます」とでも言っておこう。「この場で決めないと敷金は返せない」と業者が言ってもそれは無視しよう。そんな発言には何等法的根拠は無く、逆に言えば違法性の高い発言でもある。「今日サインしなければ合意したモノと見なされる」と言っても、そんなことはあり得ないので「そんなことはない」とハッキリと言って立ち去ればよい
 オレは今回、考えたのだが結局それをやらず少し後悔したの事がある。それは、テープレコーダーを持って行きその場その時の会話を録音することだ。当然立ち会いというモノは法に則った作業であるのだから、業者が会話録音を拒否できる権利はないだろう。ちなみに少し事例は変わってくるが「相手の合意を得ずに会話を録音することは合法である」とした判例もある。これにより業者も違法的な発言はできなくなるだろうし、借り主が後で考える良い材料になるし、最悪裁判になっても証拠として十分使える。先の「この場で決めないと〜」や「今日サインしないと〜」等は脅迫罪にあたる可能性もあるのでそれを防ぐためや、言われたときに裁判での証拠になるので、かなり有効な手段であろう。是非お勧めする。
 もし全額返してくれるというのであればその場でサインしても良いが、仮に、明らかに自分の方に非があると認められるような損耗がある場合でもその場でサインしない方がよい。工事費が妥当かどうか疑わしい事もあり得るし、自分がそう思っていてもそれは通常使用の範囲内かもしれないからだ。それらのことは帰ってからからゆっくりと考えればよいし、その後弁護士や行政書士に相談すればよいのだ。また、その場でガイドライン等に則り自分の主張をしてもよいが、そういうのが苦手であれば、素直にその日は保留しておくのがよい。直接対話するよりは、電話や文章でやり合う方が幾分気が楽であろう。とにかくサインをしハンコを押してしまったら全て終わってしまうのでその場での捺印だけは避けよう。


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