鳩山訪イランは自民党が放置したせい?

2012年4月15日

 コメント欄のレスにしようと思ってたんですが、なんか長くなっちゃいましたので、本更新に使わさせてもらいます。
 なんというか、この問題の本質は、自民党に対する過剰というよりは、もはや不当な誹謗にしかならない、無理を要求してそれが出来ないからダメだというマッチポンプ批判にしかなっていない問題、そしてなにより政府与党の責任を転嫁するコトにしかならない問題なので、ちょっと多くの人に考えてもらいたいっていうのもあります。
 自民党はスーパーマンではありませんし、現実問題で手足を持っているのは行政府の与党民主党だというコトをよくよく考えてもらいたいです。
 多分国民が一番55年体制から未だに目が覚めていないのではないでしょうか。
 まずはいただいたコメントを引用します。
 鳩山元総理がイランに行った件です。
 

>>やえさん
 つまり、やえさんは今回の自民党の行動には十分満足されている、これ以上自民党に出来る事は何も無かったという立場なんですね
 
 案の定イラン政府は「IAEAは不公平」=鳩山氏発言として紹介-イランTVと公式発表してきました。
 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012040900045
 
 こうなることは自民党の先生方ならよく分かってたはずです。
 なのに、別に何もしないで「民主党の失政うめぇwwww」と放置に近い状態だったわけで。
 「行かせたら不信任」をちらつかせるとか、もっと強行に反対するとか、行ったらどれだけの損失があるかをテレビを通してでも公表して民主党に圧力をかけるとかも本当に不可能だったんでしょうか?
 
 私が知る自民党の行動は「今行くべきでは無い」と要請しただけで、実質スルーじゃないですか。
 
>>、本気で野田総理や玄葉外務大臣が鳩山さんのイラン行きを阻止したいと思うのであれば、まずは現職である「民主党外交担当最高顧問」の役を即時解くべきでした。
 
 自民党はコレを民主党に要請しましたか?
 それも「出来ない事」だったんでしょうか。
 
 自民党もやえちゃんも結局、鳩山民主党の外交ミスがどれだけ国益を損なっても自民党に有利だから静観しただけに思えません。
 そして、一般人である私と自民党を同等の発言力と評価していただいたことに感謝します。

 
 震災直後にも似たような論がありましたけど、自民党はもっと出来るはずだそれなのになぜやらないと、野党なのに過剰な期待をして、そして政府与党民主党の本来やるべきコトまでの責任を押しつけようとする主張なのですが、それってちょっとどうなんですかね。
 あのですね、民主党は子供じゃないんですよ?
 子供のような政党ではありますが、実際問題子供ではなく、子供に対する責任のあり方では、それはただの甘やかしであり、責任転嫁にしかなりません。
 民主党は子供だから大人の自民党がなんとかしろっていうのは、あまりにも現実離れしたお花畑な空想になってしまっています。
 ここのところをよくよく考えてください。
 
 前も言いましたように、自民党は現在野党であり、その権限は立法府の中にしかありません。
 この問題におけるその立法府における自民党とは、まだほとんど誰も問題視していなかった鳩山訪イランを取り上げ「羽交い締めまでしてでも止めろ」と言って、問題をここまで大きく取り上げさせたのです。
 これだけで野党としての責任は100%果たしていると言えるでしょう。
 
>別に何もしないで「民主党の失政うめぇwwww」と放置に近い状態だったわけで
 
 これは残念ながら505さんの事実誤認です。
 事実をしっかりと踏まえましょう。
 この問題は、この日本の中で最も権威のある、憲法によって「国権の最高機関」と位置づけられている国会で取り上げて批判しているのです。
 それを放置と表現するのは、あまりにも現実にかけ離れているとしか言いようがないでしょう。
 
>「行かせたら不信任」をちらつかせる
 
 自民党は、先月には田中大臣に対する問責をちらつかせています。
 あまりマスコミは取り上げないようですが、記事置いておきますね。
 

 岸田国対委員長が問責決議案提出に含み
 
 自民党の岸田文雄国対委員長(54)は31日の記者会見で、田中直紀防衛相の国会での答弁ぶりに「内容において、不安定で心許ない場面が多々あった。日本の安全保障はどうなっているのか、多くの国民は不安を感じた」と述べ、防衛相としての資質に疑問を投げかけた。そのうえで、岸田氏は「今後の状況次第では、さらなる対応を考えなければいけない場面も出てくる」と参院での問責決議案の提出などに含みを持たせた

 
 でも、こうやってもマスコミはあまり大きく取り上げないばかりか、田中大臣の問題すらマスコミは取り上げない、そして民主党も「ちらかつかせる」程度では何も動こうとはしません。
 実際自民党の岸田国対委員長も「さらなる対応」と言ってますが、これで政府与党が何か対応しましたか?
 こんなものは「圧力」にはなりはしませんよ。
 あとこれは国会の技術論になりますが、問責とか不信任案は一国会一回までという不文律がありますから、やはり自民党としては最終目的は解散であるワケで、そもそもこの鳩山問題だって民主党が与党だからこそ起こりえた問題ですから、いま単発で出すというよりも、戦術を考えて効果的な場面で解散させられる時にこそ出すべきだとやえは思います。
 もとを断ち切るためにというそういう視点で考えるべき問題でしょう。
 その意味で言っても、「ちらつかせる」程度では何もならないだけではなく、無駄打ちをするだけで、むしろそれは民主党の利にしかならないと言わざるを得ません。
 いまの段階で「不信任をちらつかせる」というのは、申し訳ないですが下の下策としか言いようがありません。
 
>テレビを通してでも公表して
 
 この辺よく勘違いしている人が多いのですが、そんな簡単「テレビやマスコミを通じて」ができるのであれば、もっと自民党の支持率は上がってますよ。
 自民党は色々な役職の人、総裁・副総裁・幹事長・政調会長・国対委員長などが日替わりのようにほぼ毎日記者会見していますけど、そんなのテレビでは滅多に取り上げませんよね。
 マスコミを通じてっていうのは、野党が主体にはなれません。
 むしろ自民党が国会で取り上げたからマスコミがここまで取り上げたというのが事実でしょう。
 テレビを通じてほしければ、それはテレビ局に言うべきコトです。
 これをもって自民党に責任を押しつけるようなコトは言えません。
 
>自民党はコレを民主党に要請しましたか?
 
 民主党は子供じゃないんですよ。
 「要請」ってなんですか?
 文書を民主党党本部に持っていけと言うのでしょうか。
 批判ならまだしも、本来、他の政党の内部の役職を他党がどうこう言えるワケないじゃないですか。
 無理筋にもほどがありますよ。
 政府の役職ならまだしも、それは常識的にナイですよ。
 民主党が最高顧問職を解任しないのは、それはそれを要求する自民党には一切の責任などありはせず、100%民主党の責任です。
 なんでここに自民党が出てくるのさっぱり分かりません。
 
 4月5日の参議院予算委員会では山本一太議員がこうも言ってます。
 

玄葉外相「鳩山総理がイランに行くのは、政府からの要請でも党からの要請でもありません」
山本議員「では与野党の枠を越えて言います。やめさせていただけませんか」
玄葉外相「えー………私もそういう思いがないわけではありません。そういう動きもしています。でも個人の行動ですから、二元外交にはなりません」
山本議員「鳩山総理がイランにいったら絶対にろくなコトにはなりませんよ。玄葉大臣、羽交い締めにしてでも止めてくださいよ
玄葉外相「えー、まぁ」
 
山本議員「総理にも、鳩山総理を止めさせていただきたい」
野田総理「まずは鳩山総理とコミュニケーションをとりたい」
山本議員「コミュニケーションとかではなく、止めるのか止めないのか、どっちなんですか」
野田総理「まずはコミュニケーションをとりたい」
山本議員「意思疎通をとった上で、鳩山総理が行くって言ったら止めるんですか?」
野田総理「まずは意思疎通を図りたい」
 
山本議員「鳩山総理は普天間基地問題については万死に値すると思いますよ。その人を外交顧問に任命した野田総理の責任ですから。これでなにかイランとの外交関係で色々あったら、全て野田総理の責任になるということを申し上げておきたいと思います」
 
山本議員「この件に関しましては外務大臣、私は100%、唯一この問題についてサポートします

 
 外交顧問を辞めろというのは越権行為なので言ってませんが、まぁ暗に言ってますね、山本議員。
 しかも国権の最高機関たる国会の中の正式な会議においてです。
 これが一番重く、そして国会議員としては一番筋の通った方法です。
 裏でこそこそするのではなく、フルオープンの場で、日本の中で最も「重い」場でこう言ってるんです。
 ちなみに質問中にヤジで、多分野次大将の自民党西田昌司参議院議員が「解任しろ」とも言っています。
 これも国会の中の技術論になるのですが、国会のヤジってよく批判されるワケですけど、でもいやしくも国民の代表たる国会議員の国会の正式な会議の場での発言ですから、国会議員のヤジは一律で禁止には出来ないコトになってるんですね。
 唯一、同じ国会議員であり、国会の役員・責任者である委員長が、自制を求めるコトが出来るっていうのが関の山なのです。
 それだけ国会の中での国会議員の発言は重いのです。
 それがここまで言ってるんですよ。 
 まして万死に値するって、ちょっと国会で使うべき言葉ではないですよ。
 ここまで自民党は言っているのに、それを「放置」とか「静観」と呼ぶのであれば、それは大変な事実誤認というか、認識が甘すぎる、国会を軽視しているとしか言いようがありません。
 
 そして事実上、民主党の外交担当顧問という役職においても、解任するよう要求もしているワケです。
 残念ながら、こういう言い方は申し訳ないのですが、「自民党はコレを民主党に要請しましたか?」と言ってしまっているのは505さんが国会のこのやりとりを知らなかっただけとしか言いようがないです。
 一度国会の生の様子を見てみてください。
 テレビが切り貼りしたモノではなく、ノーカット版を見てみてください。
 今回の件でしたら参議院のサイトからビデオ中継が残ってますから、ぜひ見てみてください。
 山本議員の迫力が伝わると思います。
 これを見て「静観」と言うのであれば、ごめんなさい、日本語の使い方が間違ってますよと指摘せざるを得ません。
 
 民主党は与党です。
 政府です。
 政府の出来るコトはたくさんあります。
 そして鳩山元総理は民主党の議員です。
 民主党としてできるコトは、野党で国会の中にしか権限のない自民党よりもよっぽどかあるでしょう。
 まぁこれは次回詳しくやろうと思っているんですが、個人で行くと言った以上は現実的に羽交い締めにして止めるコトも、政府が権力を持って渡航させないというコトも出来ないワケですが、それでもやえが更新で言いましたように、役職を剥奪するとか、まだまだやりようはあったハズです。
 いいですか。
 この問題でボールを握っていたのは民主党なんですよ。
 プレイヤーは民主党なのです
 自民党はプレイのフィールドに入ってすらいないのです。
 民主党がどうするのかがこの問題の第一歩であって、ここに他党は関係ないのです。
 民主党が決断すればまだマシになった問題なのです。
 それなのに、無理矢理権限の全くない、所属議員ですらない自民党をフィールドに引っ張り込んできて、ほらお前は何も出来ないじゃないかと言うのは、あまりにもマッチポンプですよ。
 ここはよくよく考えてみてください。
 自民党は野党として国会という権限のある自らのフィールドで責任を果たしています。
 それなのにそれ以外、それ以上を求めるのは筋違いです。
 そして一番責任ある民主党は何をしたでしょうか。
 野田総理のこの他人事感はなんなんでしょうか
 
 子供なら、出来ないコトに対しては仕方ないと思うかもしれません。
 しかし民主党は子供ではありません。
 民主党が出来ない政党なのは分かっていますが、それは仕方ないのではなく、悪なのです。
 民主党が出来ないのは悪なのです。
 民主党は子供で自民党は大人なんだから、大人の自民党がなんとかしなさいっていうのは、悪い幻想に囚われているとしか言いようがありません。
 現実を見てください。
 民主党の出来無さ加減に感覚が麻痺している人が多いようですが、この悪を見逃すのも悪だと指摘しておきたいと思います。
 
 結局ですよ、前回のレスでやえは「自民党は具体的にこの件で何が出来るとお思いですか?」言いましたが、結局自民党は批判しか出来ないってコトですよね?
 ここにはお答えいただけませんでした。
 具体的には他に出来るコトはないと、そういうコトだと思います。
 それならですね、批判っていうコトでしたら一番責任があるのって国民だと思いますよ。
 鳩山元総理が誰の言葉を一番聞くかと考えたら、自民党の批判は一番下で、次に民主党で、さらにその上は国民でしょう。
 多分一番上は夫人の言葉だと思いますが、それはともかく、国民がもっと強くバッシングすればイラン行きをやめていた可能性は否定できません。
 総理を辞任したのも、それは自民党の声ではなく国民の声なのですからね。
 でも今回は国民はそこまでのバッシングはしませんでした。
 つまりこれは、むしろ静観していたのは国民だと言わざるを得ません。
 なにより、鳩山由紀夫の顔で民主党を与党にしたのは、鳩山由紀夫を総理大臣にしたのは国民ですよ。
 今回の件も、種を蒔いたのは国民なのです。
 結局同じ「批判しかできない」のであれば、505さんは何をしましたかと問いましたが、批判だけなら505さんを含めた国民は、自民党よりも「やるべきコト」の責任は大きかったと思います。
 もちろんブログとかでバッシングしていた人、やえもそうですが、そういう人もいますから一律にお前が悪いとかそういうコトは言いませんが、でも少なくとも、自民党という本来キチンと責任を果たしている他人を批判してしまうというのは、国民の主権者としての責任から逃げている放棄している転嫁している姿勢としか言いようがありません。
 
 繰り返しますが、「鳩山民主党の外交ミスがどれだけ国益を損なっても」と言っても、なにより前回の衆議院選挙の顔として戦った人ですからね、これは国民のせいなんですよ。
 国民が選んだ人なんですよ。
 その責任からは逃れられないですよ。
 これをやめさせたいのであれば、一日も早い解散総選挙しかないでしょう。
 与党と野党、行政府と立法府の違いを理解し、永田町の現場では何が起こっていてどうなっているのか、これをキチンと見てから批判するならすべきだと思います。
 なにより国民は主権者であり最終責任者であるというコトは忘れてないでほしいと思います。