消費税の税の民主党と自民党の違い (下)

 (つづき)

 この点だけでも、全然民主党とは消費税に対する考え方は違いますよね、自民党は。
 ここを無視した「どっちもどっち論」はあり得ない、まったく事実を無視したレッテルとしか言いようが無いのです。
 
 民主党はなぜいま急に消費税消費税と言い出したのかと言うと、交付国債っていう年金積立金を切り崩して歳出に使おうという手法があるんですが、この切り崩した積立金の補填に消費税を充てようとしているからなんです。
 ではなぜ交付国債なのかと言うと、これは一般会計予算に計上する必要がないからです。
 つまりこれを使うとですね、歳出の学を見た目だけは押さえるコトが出来るので、近年民主党政権になってから急に支出が増えたと批判されているワケですけど、これをかわす目的のためなのだと思われます。
 「ほら今年は一般会計支出が下がったじゃないか。昨年より下がったじゃないか。野田総理が努力した結果だ」と言いたいのでしょう。
 でもそれは、実は年金を切り崩しているだけっていうカラクリがあるワケです。
 こんな言い訳をしたいがために野田内閣は、後からの補填のタメに消費税を上げようとしているのです。
 
 結局民主党の言う消費税増税とはその補填のタメであって、ですから「待ったなし」の消費税増税なのです。
 確かに待った無しですよ。
 だって今年度の予算を年金から「前借り」したのですから、待ったなしにその返済をしなければなりません。
 このように言葉だけは「待った無し」ですが、それはそれは中身を見れば本当はとてもとんでもない使い方をしているからだけというオチなのです。
 
 全然違いますね。
 ここが2点目に繋がる、ポイント部分です。
 自民党は消費税の使い道について、「消費税については、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げに要する費用を賄うとともに、これからも増加が見込まれる年金、医療及び会議の社会保障給付と少子化対策の費用に全額を充てることを予算・決算において明確にした上で」とハッキリと明記しています。
 この後の自民党の公約についても読んでいただきたいのですが、ここまで書いて大丈夫なんですかと心配になるぐらい明確に消費税の使い道を、年金や医療制度の社会保障対策に限ると書いているんですね。
 
 対する民主党はどうでしょうか。
 先程も言いましたように、民主党の消費税は、まずは年金切り崩しという禁断の手を使うための補填に充てようとしているのです。
 もうここで全然違いますよね。
 自民党は年金のために使う、民主党は年金を切り崩すために使う。
 もう180度違うじゃないですか。
 これのどこが「どちらも主張は同じだ」なのでしょうか。
 やえには全く理解が出来ません。
 
 財政についても触れておきます。
 財務省のサイトに資料があるのでご覧下さい(PDFファイル)
 
 新しい方から見ましょうか。
 平成24年度は903,339億円、つまり90兆3339億円です。
 23年度は、92兆4116億円。
 22年度は、92兆2992億円です。
 この3つが民主党政権が組んだ予算です。
 
 ではその前の自民党政権時代はどうでしょうか。
 
 21年度は、88兆5480億円。
 20年度は、83兆0613億円。
 19年度は、82兆9088億円。
 小泉内閣の最後の予算編成となった平成18年度は、79兆6860億円です。
 さあどうこれを見るでしょうか。
 
 明らかに民主党政権になってから歳出が増えてますね。
 なぜでしょうか。
 そんなのは簡単です。
 民主党はお金をバラまいているからです。
 子ども手当、高校無償化、高速道路無料化、農家の個別所得保障などなど、挙げればキリが無いほど民主党のバラまきは今さら説明するまでもなくとんでもないコトになっていますよね。
 選挙前までは民主党はこれを「埋蔵金があるから」と言ってましたが、結果的にそんなモノは無かったコトが証明され、そのツケがどこにいったのかと言えば、この通り歳出に行っているワケです。
 野田内閣ではちょっと少なくなったかなと見えなくもありませんが、これはさっき説明しましたように、年金を切り崩しているからのカラクリであって、実は鳩山・菅内閣での予算編成と額はそう代わりは無いのです。
 
 ほら、自民党と全然違いますよね。
 マスコミも民主党も選挙前は言ってたじゃないですか。
 増税するなら、まずとことんムダを削減してからだと。
 だから自民党政権下ではギリギリとムダを削減したワケです。
 特にそれは小泉総理が顕著でしたよね。
 国民に痛みを伴ってでも財政をどうにかすると公約して総理になって、それを実行しました。
 多分大出血した部分もあったと思いますけど、でもそれが公約であり、国民はそれを支持して小泉さんは総理になったのですから、小泉さんとしては言ったコトを愚直に実行しただけなワケです。
 その後さすがにってコトで安部内閣移行は手直しを入れましたし、さらに麻生内閣の時はあのサブプライムローン問題に端を発したリーマンショック・世界同時不況がありましたから、その対策として予算が大きくなっていますが、でもそれでも歳出の額は、民主党政権よりは少ないです。
 まして麻生さんのおかげで、日本ほどの経済の大きさであっても影響は世界で最も少なかったと言われるぐらいだったのですから、麻生さんの時も一考の余地はあるでしょう。
 
 自民党はこれだけの努力をした上で、さらに「税収は社会保障だけ」と明言した上で、消費税を上げさせて欲しいと言っているのです。
 民主党と全然違うじゃないですか。
 どこが一緒なのですか。
 
 これちょっと自分の身に置き換えて考えてみてください。
 親にお小遣いをもらう時、お父さんがお母さんからでもいいですけど、「パチンコ行くからお金が欲しい」って言って理解が得られると思いますか?
 でも「勉強のために、資格を得るために、どうしても参考書を買わなければならないのでお金が欲しい」と言ったらどうでしょうか。
 全然違いますよね。
 でもいまの「民主も自民も一緒だ」っていう主張は、このふたつに対しても「お金が欲しいと同じコトを言っている」とどっちもどっちだと言ってしまっているのと全く同じコトなのです。
 確かに「お金をせがんでいる」っていう行為は同じなのかもしれませんが、でもそれでお金を貰えるかどうか、理解が得られるかどうかは全然別の結果が待っているコトでしょう。
 なぜ民主党や自民党が消費税を上げさせて欲しいと言っているのかと言えば、それは当然国民の理解を得たいからですよね。
 つまりお母さんは国民です。
 国民の理解を得るための説明なのですから、「なぜ使うのか」という部分の説明は必要不可欠です。
 そしてここの部分が民主党と自民党では全然違うのです。
 それなのにここの部分を隠して「お金をせがんでいる」とどっちもどっち論を用いるというのは、あまりにも乱暴で、誠実さが無く、事実を伝えるという義務のあるマスコミのやるコトではなく、卑怯な態度としか言いようがないのです。
 
 二日にわたって長々と色々と説明してきましたが、このように、消費税に対する考え方はこんなにも民主党と自民党とでは違うのです。
 「上げる」っていうたった3文字の言葉に騙されてはいけません。
 財政とは入れると出すはセットです。
 なぜそのお金を税金とするのか、どう使うために集めるのかという部分を考えなければならない、見なければならないのです。
 「民主も自民も一緒」は、マスコミのアジテーションです。
 ウソです。
 この言葉に騙されないよう、キチンと中身を見て判断して欲しいと思います。