放射線量の議論は多い少ないとか何倍かとかではなく、どの値から人体に影響が出来るのかという点で考えなければならない

 ブログに移行してから一番長いタイトルになってしまいましたが、今日の言いたいコトはタイトルの通りです。
 
 というのもですね、テレビの朝の情報バラエティ番組なんか見てて、原発近くの町が集団移住すべきか町に戻るべきかなんてお話をしていたのですが、まぁそれはいいんですが、その中でやっぱりガイガーカウンターを持ち出して「ほらここではこんなに高い数値が出ています、これは東京の何倍です」とか言って煽っているワケなんですよ。
 これおかしいですよね。
 変な例えですが、「体温が39度ある」って言うだけ言っているだけなんですね。
 でもそのオチは、もしこれが人間でしたら確かに病気ですが、ネコであれば正常なワケです。
 本来は「ネコの体温」と言わなければならないところですが、でも最近のマスコミの放射線報道というのは「ネコ」と言わずにただただ体温の数字の部分しか言いません。
 つまりですね、どんなコトにも言えるように、結局数字だけを見て高いとか低いとか言ってもまったく意味はないワケです。
 その数字は何に対してどのような影響を与えるのか、というコトをハッキリさせなければ、その数字が適切なのか異常なのかは判断出来ないのです。
 
 もう1つ例えを出しましょうか。
 「この前、年間平均被曝量の7倍もの放射線を一瞬で被曝してしまった」と言う人がいたとしましょう。
 なんかこれだけ聞くと大変なコトのように思えますね。
 だって一年間かけて浴びる放射線を、たった一瞬だけで7倍も受けてしまうワケです。
 こう聞くと、生命の危機かもしれないぐらいに感じてしまう人もいるかもしれません。
 でもなんのコトはありません。
 もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、これは胸部のレントゲン撮影をしたという日常の一コマでしかないんですね。
 日本人の年間平均被曝量は約1ミリシーベルトですが、胸部レントゲンの一回の撮影では約6.9ミリシーベルトです
 つまりこの例からしても、数値だけや○○倍というモノを出しても、まったく意味は無いというコトなのです。
 
 数値だけとか何倍だとか言うのは、それはセンセーショナルに伝わるので、煽りたいマスコミは好んで使うでしょう。 
 でもそれでは、現実問題を考える上ではむしろマイナスにしかならないというコトは確認しておきたいところです。
 いま我々が知るべきコトは、どれぐらいの放射線量であれば人体に影響が出ないのかという科学的な根拠です。
 ですから、いまやるべきコトはですね、マスコミがそういう煽るだけにしかならない報道をやめるコトが一番いいのですが、次にそれを見る視聴者も真に受けずに、冷静に考えるコトです。
 そしてなにより、その「科学的な基準」を政治の責任において決めるコトなんですね。
 
 間違ってはいけないのが、政治の責任で決めるというコトは、政治家が政治的な判断で数値を決めるという作業では無いというコトです。
 これだと、どうしても世論におもねるコトになってしまうからです。
 その結果として、意味の無い学校の校庭の土壌の入れ替えなんてして税金を無駄に使ってしまっているワケですから、こういうコトをしないために「科学的」な根拠をシッカリとさせておくべきなのです。
 また科学者の意見を集約すべきですが、しかしある程度政治というか行政がとりまとめをしなければ、いま市井の科学者が自分の意見をマスコミなどを通して語って、特に反原発な学者がもてはやされているような状況になっていますが、それだと結局言いっ放しに終わってしまっているワケで、これだとどの情報が正しいのか素人には判断が付かないコトになってしまっています。
 これは結局「自分が信じたい情報だけを信じる」という、事実や真実からは遠ざかるという本末転倒の結果になってしまうワケですね。
 ですから、この科学者達の意見をとりまとめるという作業を行政の責任において、いまやるべきなのです。
 
 具体的には内閣官房か内閣府あたりに、有識者会議を開設するというところでしょうか。
 もちろんメンバーやその会議の内容は完全公開するというのは当然で、特に議論の途中経過について常に議論の中身を公開し、国民が常に見て、出来れば意見が言える場があればなお良いでしょう。
 なにより、ここではあくまで「科学的見地」による基準を作るという点での議論という視点を忘れないようにしなければなりません。
 どの議論をするにしても、まずはここの点を作らないコトには何も議論なんて出来ないのではないでしょうか。
 
 なぜ放射線を忌避するのかという、かなり根本的な問題ですよね。
 だってそれは、人体に悪影響があるから忌避するワケです。
 良い影響ならいくら放射線量が高くても誰も忌避しないのですから、結局放射線量をどうするかっていう問題は、その根本には「どの値から人体に悪影響が出るのか」という点なのです。
 もちろんその値というのは1つの値だけでは無く、ある程度は幅が出来るのでしょうけど、だからこそその幅をハッキリさせなければならないでしょう。
 ここが議論のスタートラインなのです。