女性宮家について

 以前ツイッターで女性宮家について取り上げて欲しいと言われまして、ちょっと時間が経ってしまったのですが、ひとこと言っておこうと思います。
 もし他にもこんなの取り上げて欲しいとかありましたら、どうぞご遠慮なく申しつけて下さい。
 
 さてなんですが、そもそも女性宮家って必要なんですかね、というのが疑問としてあります。
 正直やえとしましては、その入り口の段階から疑問を持っていますので、これまで話題になっていたコトは知っていましたが、あまり興味が持てませんでした。
 中には「女系天皇への布石だ」と批判する人もいて、それもあり得ないお話では無いなとは思っているところではありますが、基本的に宮家のお話であれば天皇の皇統継承のお話とは関係がありませんから、その程度の興味しか持っていなかったのです。
 
 まずですね、これは天皇と皇族に関する基本的なお話なのですが、天皇とその他の皇族の方とは全く存在が違っていうコトは確認しておきたいところです。
 皇后だって、天皇とは立場が違います。
 天皇は唯一無二の存在であって、本来皇族と言えども天皇と同じように考えるのは不敬に当たると言ってもいいでしょう。
 こういうコトをニュースにするのはどうかとは思うのですが、例えば皇后陛下の「陛下とご一緒の方式は遠慮すべき」というお言葉にも、それが垣間見れると思います。
 
 よって、女性宮家の創設というのは、天皇のご負担をへらすという視点から検討されていると聞きましたけど、それはかなり勘違い甚だしい発想だというのがやえの感想です。
 皇族のひとりにかかる負担を減らすためというのでしたら分かりますが、天皇のご負担は唯一無二の存在である天皇にのみ許されるご負担ですから、これは何者でも変えられないのです。
 もちろん実質的に現在天皇がなされているお仕事を他の皇族方に変わられるというコトは出来るとは思いますが、その場合はそのお仕事の重みは全然違ってくる、ハッキリ言えば軽くなってしまうワケで、そのお仕事は言い換えれば、軽くてもいいという、その程度のお仕事だというコトになってしまいます。
 もしそれでいいのであれば今からでも変えていいとは思いますが、現実問題その精査は難しいのではないでしょうか。
 
 やえは、天皇のご負担を軽くする、特に今上陛下はご高齢であらせられますから、そのご負担を軽減されるという視点で物事を考えるのであれば、それは今一度、天皇の譲位というモノを再考すべきだと思っています。
 現在の憲法下では天皇は譲位するコトを許されていません。
 ですからどんなご高齢になったとしても天皇は天皇のままであらせられるワケで、これはやはり生物学的にどうしても無理が出てしまうのはある意味当然の制度になってしまっているワケです。
 しかし長い天皇の歴史を紐解けば、むしろいまのような制度の方が不自然です。
 過去には早い段階から譲位を行われたり、また譲位後もう一度天皇に戻られる(これを「重祚」と言います)コトもあったりしています。
 これが院政などの問題を引き起こした原因にもなってしまうのですが、ただ現代では政治権力は天皇にはありませんから院政の問題は無いでしょうし、やはりですね、これは天皇のお考えがまずは第一ではありますが、しかし現代日本の制度においては、天皇のお考えよりも憲法の方が上になっているのですから、つまりその段階で譲位という選択肢を用意しておくというのは必要なコトなのではないかとやえは思うのです。
 選択肢がある中で、時の天皇が譲位しないというのであればそれは尊重すべきですが、はじめから選択肢が無いというのはちょっとお気の毒だと思いますし、天皇と言えども人間なのですから、その生物学的な理由は考慮すべきではないかと思っています。
 
 まぁ譲位のお話はまた別の機会にするとしても、結局女性宮家を創設する必要性がやっぱりやえにはいまいち分からないんですよね。
 過去を紐解けば、女性宮家を創設した例が1件だけとは言えあるそうですから、創設に絶対反対とは言いませんけど、でも優先順位はかなり低い議論では無いのでしょうか。
 少なくとも、皇統の問題の方が重要度で言っても危機度で言っても遥かに高いのですから、わざわざ国論が二分するような議論をするのであれば、まずは皇統の方が先なんじゃないでしょうか。
 
 次の世代のコトを考えれば、検討が必要なお話だというのはある程度は分かります。
 現在、東宮家と秋篠宮家には男子は悠仁殿下しかいらっしゃらず、天皇のお世継ぎはまずは心配ありませんが、悠仁様の御代には宮家が存在しないという事態になりかねません。
 ですからいつかはこれを考えなければならないでしょう。
 しかしですね、仮にこの問題において女性宮家を創設したところで、その次の世代はどうするんだという新たな問題が出てきてしまいます。
 女性皇族と一般男性との間に生まれた子供は、仮に男児だとしても、少なくとも皇統ではない、皇位継承権を持たない男子になります。
 男系では無い男子だからです。
 よって悠仁殿下の次の世代には、悠仁様の直系以外の宮家はこれで終わるとハッキリしてしまうワケですね。
 ですから、結局これは問題を一代先送りにしただけ、まぁ悠仁殿下にたくさんの子供がお生まれになったら何宮家かは出来るのかもしれませんが、どらちにしても綱渡りなのは変わりないワケで、やっぱりこれは問題を先送りしているだけの、小手先のコトでしかないと言わざるを得ません。
 そして小手先だけでしか無いのに、わざわざ皇室の大改革まで踏み切るべきなのかどうかというのは考えなければならないでしょう。
 
 皇統の問題についてのやえの考えはこちらでまとめています
 結局宮家の問題も、皇統の問題と同じ方法で解決するコトはできると思います。
 ですから、キチンとその方向で議論すべきだと思うんですよね。
 どうしてもここを敢えて分けて議論し、女性宮家というモノをピックアップするというのは、別の作為があるのでは無いかと勘ぐってしまいます。
 この問題は喫緊の問題ではありますけど、でもそれは数年かけても大丈夫な問題でもあるのですから、あせらずじっくりと考えたいですね。