ワタミという企業についての私感

 ワタミについてどう思うのかというおたずねがありましたので、やえの私感を述べておこうと思います。
 
 ネット上では色々と言われているワタミですが、やえにとってはわりとどうでもいい企業です。
 だって行きませんもの。
 まぁやえは当然としましても、お酒好きなあまおちさんに聞いたところ、やっぱりワタミには行かないそうです。
 というよりも、あの手のチェーン系の居酒屋さんには行かないそうです。
 理由は、店や店員の質がそれなりで、不愉快なコトもたまにあったりするから、それならもっとお金出してゆっくり食べられるところに行く、とのコトです。
 ですから、やえにとってもあまおちさんにとっても、ワタミっていう企業はどうでもいい存在ではあります。
 
 まぁこれだけですとアレなんでもうちょっと言いますと、色々と言われているところですが、だったら客の方も行かなければいいワケですし、働く方もこんなところ働かなきゃいいんですよ。
 
 あ、と、その前に、前提として書いておきますが、労働基準法とかの法令違反があれば、それは法令に則って厳正に対処すべきです。
 これは言うまでもなく当然のお話です。
 もしワタミに法令違反があれば改善すべきですし、もっと言えば労働基準局とか警察とかが動くべきだと思いますし、そもそも法令のお話をするのであれば、それはワタミだけに限らないお話ですから、法治国家として当然のお話として法令は遵守しなければなりません。
 全ての企業はこれを擁護すべき義務がありますし、当局もキチンと法令に則って動くべきです。
 もしそれらがなされないのであれば批判されるべきです。
 もし犯罪が行われたのであればその犯人は批判されるべきですし、さらにその犯罪が放置されるようなコトがあれば当局は厳しく批判されなければならないでしょう。
 これは大前提のお話です。
 これからいろいろと書くと思いますが、それら全てよりもこの法令厳守は優先させられるべきお話です。
 
 その上で考えるべきは、それでもあくまで自由主義経済の中での私企業なのですから、客が来なければ企業として成り立たないですし、市場原理のお話として、働き手がいなければやっぱり企業としては成り立たないっていう部分をどう考えるのかっていうのはあろうかと思います。
 いまは別にワタミしか選択肢がないってコトでもないですよ。
 こういう記事もあります。
 

 賃金上げても若者が来ない 建築現場の危機的繁忙
 
 建築工事の現場で緊張が走っている。作業員が全然足りないのだ。今夏は消費増税や住宅ローン金利上昇を控えた駆け込み工事に加えて、東北地方での東日本大震災の復興事業の急増が重なる。人手不足から工事費は震災前の2倍に上昇。賃金を上げて少ない人材を奪い合う動きが加速している。ある意味、活況を呈しているのだが、関係者の表情は曇るばかり。「景気が良くても若者が集まらない」という建築業界の構造問題が浮き彫りになっている。
 
 若年層の離職が続いた結果、「かつて全国に7万人いたと言われる職人は4万にまで減った」(全国鉄筋工事業協会)。若い担い手がいないため、型枠工の現場作業員の3割が55歳以上とされるが「2020年には4割にまで増える」と業界は推計する。
 慢性的な人手不足の上に、復興工事などで仕事が集中する今年の夏。「各現場で人件費の単価が上がっているため、さらに上げないと職人の奪い合いに負けてしまう」(建設関係者)。鉄筋、型枠とも、工事費は年末までにさらに1割上がるとの見方が多い。

 
 建設業は、むしろ若い人に来て欲しいという状況のようです。
 おそらくですが、一時期に比べていまはまだ雇用は回復傾向にあるようですし、少なくとも、もうワタミしか選択肢がないっていう状態だとは、いまの日本は言えないでしょう。
 
 ではなぜわざわざワタミで働こうとするのでしょうか。
 
 ワタミに働いている人が悪いんだ、と言うつもりはありません。
 しかしワタミで働いている人は、自ら進んで自由意志で働き始めたというコトは、確実に言えるワケです。
 繰り返しますが、もちろんその中で法令違反があれば当然として取り締まられるべきですが、それは当然とした上で、その中で自由意志で働いている以上は、外部の人間がどうこう言うのはやっぱりちょっと違う気がするんですね。
 別にそのお店に行って不愉快な思いをしたからその文句を言うっていうのはいいんですよ。
 でもそうじゃなくて、外から断片的な情報だけをもって一企業だけを名指しであげつらうっていう行為は、社会正義という面でどうなのかなとは思います。
 それって度が過ぎるとただの私刑になりますからね。
 何度も繰り返しますが、法令違反は批判されて当然です。
 ただそれも、決してワタミだけの問題ではないハズです。
 それではワタミだけを名指しする理由にはなりませんし、同時に警察や労基などの規制当局にも同じぐらいの批判をしなければ、法令違反の問題は解決しないでしょう。
 そしてさらに、そこまでしてさらになぜワタミでわざわざ働いているのかっていう部分を考えなければならないのではないでしょうか。
 
 もし「ワタミしかない」と思い混んでいるのでしたら、それは間違いだと気付かせなければならないでしょう。
 もし「建設業なんてイヤだ」と言うのであれば、それは我が侭と言える部分もあるのではないのでしょうか。
 もし「上からギャンギャン言われなければ動けない」というような人間であれば、もうどうしようもないですよね。
 
 もっとこの問題というのは深い部分まで見た上で議論しなければならない問題のハズです。
 すごく簡単に言ったとしても、企業が倒産すれば雇用だって減るのですから、ただ単にワタミという企業体だけを批判して仮に倒産させたとしても、そこで働いていた人の雇用はどうするんだってお話になっちゃいます。
 さらにこれを続けると、それでワタミで働かずに済むじゃないか他で働けばいいんだと言うのであれば、じゃあそんなのは今すぐにでもできるコトですよね。
 労働環境が悪いっていうお話も、突き詰めればダンピング的なお話になるワケで、つまり安ければ安いほどいいという体質から発生したモノであり、ではこの構図を支えているのは果たして誰なのかと考えたら、それはまぎれもなく消費者ですよね。
 さらにさらに言えば、そういう消費者の心理というのは経済全体の状況や雰囲気によるモノですから、「安いところに行かなければいい」と一言だけで済むお話でもありません。
 それで済むならデフレなんて起きないワケで。
 そしてこれは雰囲気を変えるっていう部分が大切になってくるのですが、そのタメには、やはりマスコミの弊害もかなり大きい部分締めているというのが実際のところでしょう。
 と、ここまで考えたら、果たして「ワタミはブラックだ」という一言だけで済む問題なのかどうかという部分は、かなり疑問に思わざるを得ません。
 むしろそれはワタミさえ批判していれば労働問題は解決するんだみたいな、歪んだトカゲの尻尾切りにしかならない可能性も秘めているのではないのでしょうか。
 
 やえのワタミという企業に対する私感はこんなところです。
 難しく考えれば、いくらでも考えられる問題ですが、しかしそれはワタミという一私企業だけのお話ではとてもじゃないですけど収まりません。
 ではその一私企業だけへの感想を求められるのであれば、やえはワタミへは行きませんし、就職するコトも絶対にないでしょう。
 やえには関係のない企業だというコトになります。
 
 やえにはその程度の企業です。