大政党は国民が選んだから大政党

 「小選挙区制度は大政党に有利だ」
 「参議院選挙制度は自民党に有利に働いた」
 
 最近よく聞くフレーズです。
 そしてなぜか、わりと一般的にすんなり受け入れられているフレーズでもあります。
 どこだったか忘れましたが、大学の教授か助教かの人が、これを前提に書いた論文とかも見たコトがあります。
 でもやえこれ、聞くたびに違和感を覚えるんですね。
 
 だってその政党にその議席を与えたのは、誰でもない国民自身なワケですよ。
 このフレーズを言う時って、たいてい「大政党なのが前提」という前提でお話を進めているようですが、そんなワケないじゃないですか。
 例えば自分自身の問題として、選挙で投票する際「大政党だからここの党に入れよう」なんて思いますか?
 どうもこのフレーズを使う人というのは、何か得体の知れない巨大な力が働いて国民全体が動かされているかのような陰謀論めいた感じで選挙を見ているんじゃないかと思わざるを得ないのですが、しかしそんなコトは無いワケで、実際選挙は国民ひとりひとりがそれぞれの自由意志で投票しているワケですよ。
 そんなコトは自分自身のコトを考えれば簡単に分かるコトです。
 結局その自分と同じようにひとりひとりが自由意志で投票し、それの積み重ねが選挙の結果であって、選挙のコトを考えるのであれば、まずここを前提にして考えなければならないハズなのです。
 
 そう考えたら「小選挙区制度は大政党に有利だ」というフレーズは現実を無視した考え方だと分かるハズです。
 
 例えば参議院の比例代表とかは、政党要件がなければ比例への立候補はできませんから、ここの点に関しては政党と非政党の有利不利はあります。
 しかし、ギリギリ政党要件の国会議員5人を満たしている社民党と与党自民党との間には、選挙の場面においては平等です。
 大政党だからポスターの数が多いとか、投票所に掲示してある候補者の名前が小政党の方が小さいとか、そういうコトは一切ありません。
 その上「大政党だから入れよう」とか「小政党だからダメだ」とか思う人なんていないワケで、まぁもちろんいてもいいですけど、それも結局個人の自由意志の結果なのですから、「大政党だから」という論拠だけで「有利」という結果が導き出せるというのは論拠薄弱だと言うしかないのです。
 
 もともとその政党は大きい、という認識がそもそも間違っているんですよ。
 選挙の際には、すべての政党は等しく平等じゃないですか。
 もし大政党が有利であれば、前の衆議院選挙なんて自民党に比べれば格段に民主党の議員数は多かったのですから、民主党が選挙に負けるワケがないというコトになってしまいます。
 しかし結果は言うまでもないですよね。
 この選挙の結果というのは、国民ひとりひとりの自由意志の積み重ねによって自民党の勝利という結果を導き出したワケです。
 決して政党が大きいとか小さいとかなんてコトは全く関係がないのです。
 
 小選挙区制は、すぐに大勢がひっくり返りやすいという性質はあります。
 これは確かにその通りです。
 しかし、これは決して「大政党に有利」という意味ではありません。
 維新だってみんなの党だって社民党だって、小政党だから小政党のままなのではなく、国民がそれだけの支持しか与えなかったからこそいまの勢力なのです。
 ましていまの自民党の勢力も、前の民主党の勢力も、けっしてこれらは天が与えたモノではありません。
 全て「国民の意思」です。
 選挙とは国民ひとりひとりの意志の積み重ねなのです。
 ここを忘れてはいけません。