米国の「慰安婦像」は外国人に参政権を認めた結果

 アメリカのカリフォルニア州にあるグレンデール市に、韓国系住民からの強い要請で、いわゆる日本軍が強制したと言われる従軍慰安婦のモニュメントの像を建てた、という問題があります。
 マスコミはともかく、ネットではけっこう大きな話題になってしますから、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
 今日はこれについてちょっと考えたいと思います。
 
 実はこの問題というのは、外交問題や韓国問題、また歴史認識問題がもっとも大きな注目点ではありません。
 もちろん日々デタラメ度が上がっている韓国との付き合い方を考える上でも重要な案件のひとつだとは言えますが、この問題というのはもっと難しい本質が隠れています。
 それは「外国人参政権」の問題なんですね。
 この問題というのは、仮に地方の参政権であったとしても外国人に参政権を与えるとどうなるのかを、もっとも悪い例示を示してくれているモノだと言えるのです。
 
 よく「アメリカで慰安婦像が建てられてしまったのは日本のロビー活動が足りないからだ」と言う論調を見かけると思うのですか、これはもう完全にこの問題の構図を見間違えている見方です。
 というのも、グレンデール市で慰安婦像が建ってしまったのは、韓国のロビー活動があったからではありません。
 実際韓国政府のロビー活動がどれぐらいあったのかは分かりませんが、しかしここまで韓国としては功を奏したのは、ロビー活動なんかの有無ではなく、単に「選挙権を持つ韓国系有権者」が政治家に圧力を掛けたからです。
 この像は、韓国から大量に移民した韓国系の住民が、その「選挙権」を背景に市長や市議に圧力を掛けて実現したモノなんですね。
 決して目に見えない韓国からの圧力で建てられたモノなのではなく、目に見える「有権者」によって、選挙権の力によって実現したモノなのです。
 もっと言えば、「圧力を掛けた」という言い方も恣意的かもしれません。
 この場合は単に、「その市の民意だった」とすら言えてしまうワケです。
 だって「一定数の有権者が是としたモノは是とする」のが選挙であり民主主義なのですから、それが韓国系米国人であったとしても外国人であったとしても、法律で「有権者」と定められている以上は、その人達の声は「民意」なのです。
 それに政治家が従うのは、言わば当たり前なんですね。
 
 そもそも日本も出来るだけのコトはしているワケです。
 こういう記事があります。
 

 政府、反日韓国ロビー対策に着手 「情報戦」で反転攻勢へ
 
 米カリフォルニア州グレンデール市に、慰安婦を象徴する少女像を設置する問題では、これまで動きの鈍かった日系住民が立ち上がった。設置許可を議論する市議会の公聴会では、韓国系住民5人が賛成意見を述べたのに対し、日系25人が反対を訴えたのだ。
 背景には、岸田文雄外相が今年5月、ロサンゼルスを訪問して日系米国人の有力者と会談し、米国内の世論づくりに協力を求めた経緯がある。

 
 岸田外務大臣が米国現地で日系米国人の有力者と直接会ってロビー活動をしているんですね。
 こういう事実を大手新聞やテレビは伝えず、むしろ「日本は発信力が弱い」とか「ロビー活動がヘタだ」とかという印象を与えようとしているワケですが、実のところはやるコトはやっていると言えるでしょう。
 
 ただ、これでは「選挙権をもっている有権者の声」には勝てないのです。
 
 自分の身に置き換えて考えてみてください。
 地元の市長や市議会議員、まして自分が支持して支援して当選した市長や市議が、外圧に屈する形で自分達の声を無視した政策をとったらどう思うでしょうか。
 少なくとも「次はもう投票しないし支援もしない」でしょう。
 これが民主主義による選挙の仕組みであって、政治家はこの声からは逃れられません。
 またそれは政治家だけの都合なのではなく、さっきも言いましたように、有権者の声に従うコトが民主主義政治のシステムとして「正しいコト」だというコトを考えれば、やはりこれは政治家にとっては「正しい行為」だと言わざるを得ないのです。
 政治家は時に国民の声とは違うコトを実行する決断を迫られる時もありますが、しかし有権者の声に従うコトを否定するっていうのも、民主主義としては難しいお話なのではないのでしょうか。
 
 このように、まずですね、米国の慰安婦像というのはロビー活動なんていうモノによって生まれたのではなく、「地元の有権者の声」によって生まれたというコトをハッキリと認識しなければならないのです。
 
 この問題の根本的な構図は、韓国の声が大きいとかという抽象的なお話なのではなく、韓国からアメリカに移民している、そこに実際に移住して暮らしている人達の、「票」を背景にした「目に見える力」によって誕生してしまったモノなのです。
 そしてそれは、外国人に参政権を与えたら、最悪どういうコトになってしまうのかというコトを示唆している事例とも言えるでしょう。
 アメリカのカリフォルニア州グレンデール市にとっては、全然自分達とは関係ない問題に巻き込まれ、むしろ日本との関係を悪くしてしまうだけのトバッチリもいいところの問題なのかもしれませんが、しかし民主主義というシステムにおいてはこういう結果もあり得るというコトは認識しておくべきだったとは言えるワケなのです。
 
 ですからこの問題というのは、なぜこうなってしまったのかという基本的な構図からして認識間違いしている人が多い上に、その本質を知ればますます日本にとっては難しい問題になってしまうという頭の痛い問題です。
 ハッキリ言ってしまえば、為す術がないんですね。
 敢えて言うなら、日本人を大量移民させて現地の日本人の声を大きくするってコトなのですが、こんなのはかなり非現実的なお話ですよね。
 もちろんこんなコトを続けてもアメリカとって、なにより韓国にとってマイナスにしかならないってコトを知らしめるコトは必要でしょう。
 そしてそれは実際いまの安倍内閣では着実に行われているワケですが、しかし今すぐこれをどうにかしようとする手段はないってコトも認識しておく必要があろうかと思います。
 この構図を理解しないままに、これまでの内閣の中では最もこの手の問題に積極的な安倍内閣を潰すようなコトになれば、それは本末転倒以外なにものでもなくなってしまうというコトは頭に入れておくべきだと思います。
 
 そしてこれは、外国人に参政権を与えたらどうなるのかという問題だと問題意識を強く持つべき件です。
 地方だからと言っても、むしろ狭い地域に集中的に済むコトで国政よりも安易に外国の意志を反映させられる悪い例そのものです。
 像問題は像問題としてできる限りのコトはすべきですが、この件はせめて「外国人参政権付与問題の悪い例」として考えるべき問題なのです。