建設的国会改革議論を

 実際は議論が行われているけどマスコミが伝えていないだけなのか、それとも集団的自衛権の議論ばかりで実際にはストップしているのかちょっと分からないのですが、少なくとも今国会で国会改革が実現しそうにないコトに、やえは残念だと思うところです。
 国会改革議論って、先の衆議院総選挙が行われる前後ぐらいに大きく取り上げられ、特に野党だった自民党と維新の会が、総理や主要閣僚が一日中国会に縛られて他の仕事が出来なくなるのは問題じゃないかっていうコトでお話が持ち上がりました。
 でも、国会開会の初期にはちらほら議論も聞かれましたが、いまになってはさっぱり聞かれなくなってしまいましたよね。
 
 国会改革議論って特に野党が主導しなければお話は進みません。
 なぜなら、今回のような国会改革が達成されれば結果としては「総理や閣僚の答弁時間を減らす」というコトになるため、そうなれば野党としては自らをアピールする機会が減る、つまり野党としての利益を自ら減らす改革となるからです。
 ですから自民党も野党の時にその主張を行い、また維新の会は「今までの反対ありきの野党ではない」というコトを内外に知らせるために、こういう主張をしてきたのでしょう。
 野党だからこそ出来た提案なのです。
 そしてそれはなにより、国益に繋がるお話であるハズなのです。
 
 国会審議が無駄とは言いません。
 民主主義国家ですから、国会で政府に対して立法府がその政策を質問して問題点を明らかにするっていう行為は必要なコトです。
 しかしそれとは同時並行的に、やはり行政の長がその本来の職場において、もしくは国会でない場所で職務にあたるっていうコトも、それは国益に直結する重要な仕事であるのも確かでしょう。
 どちらか一方の方がより重要とかというお話なのではなく、どちらも大切っていうお話です。
 つまり要はこれらのバランスをどうとるかであり、どう両立させていくのか、その仕組みをどう考えて作っていくのかっていうお話なんですね。
 
 つまりその観点から考えたら、いまの国会の制度はやはり合理的とは言いづらいモノがあるのではないかと思うワケです。
 例えば衆議院や参議院の「財務委員会」「外交防衛委員会」「経済産業委員会」という3つの委員会が開かれるだけで、財務大臣・外務大臣・防衛大臣・経済産業大臣という4人の主要閣僚が国会張り付きになってしまいます。
 しかもこれらの委員会は、予算委員会のようにテレビ中継が入るワケではないので目立ちませんが、国会開会中の多くの日に開かれているんですね。
 おそらく今日も、衆議院か参議院で数多くの委員会が開かれていたコトでしょう。
 そして予算審議がされる予算委員会が開催されると、全ての閣僚が答弁がなくても予算委員会に出席しなければならなくなるコトが多くなり、すなわち国会序盤は予算委員会で、それが終われば各委員会でそれぞれ大臣が、国会開会中の多くの日数において国会対応にあたらなければならなくなるのです。
 ちょっとこれは多すぎるのではないのでしょうか、というお話なんですよ。
 
 どうすべきかっていうのは様々な問題を孕んでいるコトではあります。
 さすがに大臣が全く国会に出席しないというのは、議院内閣制においてはどうかとやえも思います。
 ですからどうバランスをとるかというコトなんですが、例えば予算案や重要法案の場合は頭と採決日には大臣が出席しなければならないとかですね、そういう工夫はできるハズです。
 そしていまは副大臣や大臣政務官といういわゆる政務三役という政治家が政府に入っているポストがあるのですから、まして副大臣は大臣と同じく天皇から認証を受ける認証官なんですから、重要法案の重要な日は大臣を出席させるとしても、その他の日は複数人いる政務三役に答弁をしてもらうっていうのは、議院内閣制の精神からも合致するやり方だと思います。
 
 さらにもっと改革案を出せばですね、もっともっと党首討論を活用すべきだと思うんですね。
 いまは総理と議席数に応じて各政党の党首が1対1で討論する形ですが、しかし国会とは決して「政府vs政党」でなければならないワケではない(議員立法の場合は政府答弁がない)のですから、この形にこだわる必要もないハズなんですよ。
 そもそも何のために国会で議論するのかと言えば、それは議案の問題点を明らかにし国民に説明して理解をしてもらうために国会審議があるのであり、その本質を考えれば、総理や大臣が必ず答えなければならないという形にこだわるコトに本来性はないと思うのです。
 ですから思い切ってですね、党首が総理の場合は政党のNo2、自民党で言えば幹事長(副総裁?)が討論に挑むという、「政党vs政党」という本当の「党首討論」というのもアリなのではないでしょうか。
 むしろ、国会とはあくまで国会議員=政党が主役となって法案を審議する場なのですから、例えその法案が政府提出法案だとしても最後は正当の判断によって可否が決まるワケで、ですからその法案や案件をぞれぞれの政党がどう考えているのかっていうコトを明らかにするための「党首討論」っていうのは、国会のあり方としては正しいのではないかとすら思います。
 この場合議論参加者が多くなると収集がつきにくくなりますから、もっと大胆に区分けして、「与党代表vs野党代表」という枠組みにして、その日のバッターはそれぞれの中で協議して決めるっていう形もいいでしょう。
 結局いまのような党首討論である「総理vs各党党首」という形であれば、総理の方から質問ができるという点はあるにしても、あくまで総理は総理の立場としての議論にしかならないのですから、これは普通の委員会とそんなに立ち位置が変わらなくなってしまいます。
 そういう意味で、与党の立場でしかし政府の立場でない人が、「政党だけを背負った形」で他の党の代表と討論するっていうのは、これは国民にとっても大きな利益になると思うのです。
 
 もっと突っ込んで言えば、なにも党首にこだわる必要すらないんですよね。
 例えば「政党間討論」が開催されると決定された際に、同時にテーマを決めて、各党はそのテーマに沿った党を代表する代表者を決めるっていうのでもアリなんじゃないでしょうか。
 もちろん「政党間討論」ですから、政党を代表する考え方でもって討論してもらわなければ困りますが、政党を代表する「そのテーマの専門家」であれば、むしろその方が国益に沿う議論が出来るのではないのでしょうか。
 
 最初に言いましたように、国会審議はバランスが大切です。
 毎日毎日党首討論や政党間討論をすればいいっていうモノではありません。
 法案をより良いモノにするために、時に専門家でなければわかりにくいような細かい議論をする必要だってありますから、国民向けの大きな目線での議論だけやっていては、むしろ国益を損なう結果になるでしょう。
 大臣も全く国会に出なくていいとは決して言いません。
 このバランスをどう取るか、そのバランスのためにどう制度に工夫を入れるのかっていうのが、国会改革で一番大切なポイントなんだろうと思います。
 そのために、集団的自衛権のお話もいいですが、同時並行的に国会改革の議論もしてほしいと思います。
 国会では1つの議題しか議論できないってワケじゃないんですからね。