日本の外交が弱いと言うなら、強くする方策を考えるべきでは? (1)

 よく日本の外交は弱いと言われるところですが、しかしではなぜ弱いのか、というのはほとんど顧みられません。
 あるとしたら、単に政治家個人の能力のせいにするぐらいです。
 しかし、外国と比較すれば、それは個人の能力と言うよりも、日本の制度のせいなのではないかと思う部分も、実はかなりあるのではないかとやえは思っています。
 そもそも外交とは国力の総力戦みたいなところがありますから、例えば外交のスーパーマンみたいな人が一人現れたとしても、現状の日本の制度では、総力としてはやっぱり他国並みにはならないというコトは起こり得るのではないかと思うのです。
 日本ぐらいの大きな国になると、マンパワーでは絶対に限界があるワケです。
 今日はその制度の弊害をいくつか挙げてみたいと思います。
 
1.外務大臣の物理的な日程の制約
 日本の外務大臣は国会日程に縛られます。
 例えばアメリカの外務大臣役の国務長官は、米国議会に出席する必要がありませんから、議会中もずっと外遊するコトができます。
 一方日本の外務大臣は、国会開会中は委員会や本会議優先となり、そもそも審議日程がなくても国会開会中に外務大臣が外遊に出るコト自体に議会から許可を得なければ行くコトができないという制度になっていて、大変に不自由な制度となっています。
 そして日本の国会は、通常国会は1月~6月、参院選挙などなければだいたい延長して8月ぐらいまでやりますし、秋も臨時国会を9月~12月ぐらいまでやりますから、ほぼ一年中外務大臣は国会に縛られるコトになります。
 今年は臨時国会は開かれないようですが、むしろそれは異例中の異例だと報道されているコトからも、普段の日本の国会の日程の詰まり具合が分かるというモノでしょう。
 
 まず日本の外務大臣は、日程的な面で大変に不利な状況におかれているのです。
 
 議会に縛られない外相は、日本が国会でわーわーしている間に世界中を回り、諸外国の要人と会って信頼関係を築き、様々な交渉を行っているのです。
 韓国なんかもそうです。
 大統領制の国は閣僚自体が基本的に非議員であり、また閣僚はよほどのコトがないと議会には呼ばれませんし、さらにおそらくですが政府と議会の距離(独立性)の関係上、議会中の外遊に許可を求めなければならないようなコトもないハズです。
 ですからそれこそ日本が国会でわーわーして外務大臣が議会に縛られている間、韓国の外務大臣は世界各国を回って日本の悪口を言って歩いていたワケです。
 少し前に韓国の外相が世界一周して最後に日本にやってきたというコトがありましたが、少なくともやえは、日本の外務大臣がそれほどの日数をかけて多くの国を訪問したなんてコトは聞いたコトがありません。
 総理が10日ほど外遊するだけで長期間外遊と言われるぐらいですからね。
 こんな状態では、マンパワーでどうこうっていうレベルを超えていますよね。
 
 さらに中国なんかと比べると、中国は共産国であり議会や政府よりも上位にある共産党にかかれば、議会日程なんて歯牙にも掛けない程度の存在に成り下がりますから、ますますやりたい放題です。
 そもそもまともな選挙が存在しない中国という国において、議会なんてモノがどれほど意味のあるモノかという感じでしかなく、またそれは閣僚本人にも言えるコトで、そんなデタラメな国と比べるコト自体が間違いなのかもしれませんが、外交はどうしても国歌としての総力戦となりますから、比べなければならないというのが現実であり、なかなか日本としては厳しいと言わざるを得ません。
 つまり中国の外相は、日本の外務大臣が国会でわーわーして議会に縛られている間に、自由に世界各国を飛び回って好き勝手言いたい放題やるコトができるのです。
 議会なんてあってないような中国と、ちょっとでも言い間違いをすると鬼の首を取ったかのように大騒ぎする日本の議会とでは、あまりにもシステムの有利不利がハッキリしすぎと言うしかありません。
 
 これだけでも十分の「個人の資質」なんかを凌駕していると言わざるを得ないのではないでしょうか。
 しかし、「議会に縛られる」以外にもまだまだ日本の外務大臣が他国に比べて不利なシステムにおかれている部分はあります。
 ちょっと長くなりましたので、次回に続きたいと思います。
 
 
(つづく)