与党と野党、つまり行政府と立法府の違いが分からない間は何を言ってもダメ

2012年4月15日

 さて、放射能のお話しが間に挟まってしまって尻切れトンボになってしまっていたのですが、「自民党こそ最も復興に力を入れているのに」の更新の続きを書きたいと思います。
 ちょっと日が開いてしまったので、もう一度きっかけとなった記事を引用しましょう。
 

 「復興遅れ、自民にも原因」被災者が谷垣氏批判
 
 自民党の谷垣総裁は3日、東日本大震災の被災地、福島、宮城両県を視察し、住民らと意見交換した。
 だが、福島市の仮設住宅で開かれた集会では、東京電力福島第一原子力発電所事故で避難している浪江町や双葉町の住民から「復興が進まないのは自民党の対立姿勢にも原因がある」と批判される場面もあった。
 谷垣氏はメモを取りながら神妙に聞き入っていた。集会後には記者団に「復旧・復興については(自民党は政府・与党に)協力すべきは協力していることが十分伝わっていない。我々も広報をしないといけない」と反省しきりだった。

 
 前回は、自民党がどれだけ復興に力を入れているのかというコトを説明したワケですが、今日はそもそも論として、行政府と立法府の違いを、ここはもう本当にシッカリと理解して欲しいと思い、ひとこと言っておこうと思います。
 
 そもそもですよ、「復興が進まないのは自民党の対立姿勢にも原因がある」と言いますが、このセリフひとつだけでもはや日本の三権分立を勉強し直してほしいと言わざるを得ません。
 復興は行政の仕事ですよ?
 もちろん予算を付ける法律を作るという部分も復興に含める場合もありますが、しかし法律が出来れば一気に町並みが元に戻るワケでは全く無く、結局そういう具体的な復興というのは、その法律を利用するコトによって、その法律の上にさらに進めるモノです。
 すなわち、復興をどう進めるのかというのは、最終的には行政府の腕にかかっているワケです。
 法律も予算もあくまで道具です。
 道具が無ければ出来ないコトもあるかもしれませんが、逆に道具がいくら素晴らしいモノでも、最後は人の腕次第です。
 道具だけあっても復興は成りません。
 多分「復興が進まない」というのは、目に見えるような、家が建つとか町並みが戻るとかそういうコトを言っているんだと思うのですが、それは結局行政府の仕事ですと、ここを理解して欲しいです。
 
 野党は立法府だけに関わる政党の用語です。
 たまに閣外与党なんて言葉が出てきて行政府に関わらない与党なんて場合もありますが、いまの与党はそういうコトはなく、ざっくりと行政府にも関わるのが与党、行政府には関わらないのが野党という認識でだいたいあってます。
 つまりいまの野党は、いまの自民党は、行政府には一切関わっていません。
 というか関われません。
 いくら法律を作ったとしても、ダンプカー1つ走らせる権限すら自民党は持っていないのです。
 こういう状態で、なぜ自民党に「復興が遅れているのは自民党のせいだ」と言えるのでしょうか。
 
 結局そういうのは、警察官に火事の火を消せとか、お坊様に家を建てろとか、そういうコトを言っているのと同じです。
 そう言われた本人は「自分に言うな」と言うでしょう。
 「復興が進まないのは自民党の対立姿勢にも原因がある」は、こういうコトを言っているんですよ。
 恥ずかしいと思わないのでしょうか。
 
 立法府はあくまで道具を作る場です。
 その道具を使う組織ではありません。
 それは行政府の仕事です。
 例えばいくら国会が揉めて1ヶ月ストップしたとしても、仮に総選挙が行われたとしても、その間も行政府は存在する、内閣は存在するワケで、復興自体は全然進めるコトはできるのです。
 というか選挙期間であってもなんてもなんでも、その町並みを元に戻す復興は全て内閣の行政府の責任です。
 それ以上も以下もありません。
 
 まして、緊急性を要する法律や予算は全てに通っています。
 復興基本法とかですね、補正予算とかですよ。
 これらは全て自民党の力によって成立したのです。
 そしてその先はも全て行政府の仕事であり、つまり民主党の責任です。
 自民党は野党として立法府の一員として100%以上の仕事をしました。
 自民党にはそれ以上は出来ません。
 法律によって権限が無いのですから。
 ですからそれ以上を求めるというのは、もはや三権分離を超えろという、憲法を破れと言うのと同等のコトを言っているのです。
 それって主権者としてどうなんですかと言いたくなります。
 
 警察官に火事の火を消せとかお坊様に家を建てろとか、そんな無茶なコトを本人達に面と向かって平然と言いますか?
 そんなムチャクチャなコトを言っているというコトに気付いてください。
 三権分離を理解してください。
 与党と野党、つまり行政府と立法府の違いが分からないようでは、政治に口を出すのは不適格としか言いようがありません。
 むしろそういう姿勢こそが政治を悪くする原因だというコトを分かってください。
 主権者なんですから。