問責が可決されたから辞任するのではない。無能だから国益のために辞任しなければならない

 昨日、自民党・みんなの党・新党改革が共同で、参議院に田中防衛大臣と前田国土交通大臣の問責決議案を提出しました。
 

 2閣僚問責決議案あす可決へ 首相、当面「続投」の方針
 
 自民党は18日、北朝鮮ミサイル対応や資質が問題視される田中直紀防衛相と、公選法に触れる事前運動などの行為が指摘された前田武志国土交通相に対する問責決議案を、みんなの党、新党改革と共同で参院に提出した。野党各党が賛成し、20日の参院本会議で可決される見通し。野田佳彦首相は2人を当面続投させ国会情勢を見極める方針だが、民主党内では「交代は不可避」として一定の期間を置いて内閣改造を実施すべきだとの声が出ている。

 
 コトの経緯はいまさら説明するまでもないと思いますが、ではさて、この問題はどう考えるべきなのでしょうか。
 
 記事にもありますように、藤村修官房長官は「問責決議に法的拘束力があるわけではない。辞任に直接つながらない」と言っているようです。
 つまり参議院の問責決議案は辞任の理由にはならないという意味ですね。
 おそらく、野田総理をはじめ民主党議員や多くのマスコミなんかは、このように2閣僚をかばうような発言をしてくるモノだと思われます。
 衆議院の「内閣不信任案」は憲法によって定められているモノですから総辞職か衆議院解散のどちらかを選択するのは義務ですが、問責決議案は可決されたらどうしなければならないと憲法や法令に定められていませんので、問責が可決したからなんだという態度なワケです。
 
 そしてこう言う人は二言目にはこう言うでしょう。
 「政局にしてはならない」と。
 実際にそう言ってるマスコミもすでにあったりします
 
 ハッキリ言っておきます。
 今回の件を「政局にするな」と言う人こそ、頭の中は政局しか無い人です。
 政策の中身を見ず、国会審議を見ず、ただただ政局のコトしか追っかけていない人であって、政局の事象しか頭に無いからこういう発想になるのです。
 そしてなにより、こういう人が最も日本の政治の足を引っぱっているガンなのです。
 
 田中防相と前田国交相はなぜ辞任しなければならないのでしょうか。
 それは決して「問責が可決されたから」という理由ではありません。
 なぜなら、もしそれだけが理由であれば、ではなぜ田中防相と前田国交相なのか、なぜ別の閣僚では無いのかという理由が付かないからです。
 つまり今回「田中防相と前田国交相」である必要性が必ずどこかにあるワケで、それこそが本当の「辞任しなければならない理由」なのです。
 ですからもし辞任の賛否を言うのであれば、まずはここの理由に対して反論なり何なりする必要があるワケです。
 
 ではなぜ2閣僚は辞任しなければならないのか。
 具体的に考えればこれはもう説明するまでもないでしょう。
 前田国交大臣は先日の地方選挙の際に、国土交通省の封筒を使い、また「国土交通大臣」という署名入りでの要請文を、建設業協会と観光協会という国土交通省所管の団体に送りつけて不当な圧力を与えたという理由です。
 これは公職選挙法の公務員の選挙運動の禁止と、地位の不当利用に当たる行為です。
 当たり前ですよね。
 建設業教会と観光協会が国交相から「選挙しろよ」って言われたら、それはつまり「選挙をしなければこれからの業務に支障が出るぞ」と暗に脅しているコトにしかなっておらず、こんなコトがまかり通っていれば民主主義の根幹である選挙制度が崩壊してしまいます。
 前田大臣本人は「自分は知らなかったから責任は無い」と強弁していますが、しかしこんな行為を知らなかったコト時代が罪としか言いようが無く、では本人の知らないところで大臣が圧力をかけまくればそれは合法のままでいいのか、そんなコトを許していたら、例えば財務省や経済産業省が業界団体に圧力をかけ、文部科学省が教育機関に圧力をかけ、総務省がマスコミに圧力をかけ、厚生労働省が医療福祉機関に圧力をかけ放題というコト担ってしまいかねず、これでは本当に選挙制度が崩壊すると思うのですが、もし前田大臣をかばうというのであればこの行為を許すというコトになるのですが、本当にそれでいいと言うのでしょうか?
 これはもう選挙の根幹に関わるコトなのですから、大臣というだけではなく、まずは政治家としてケジメをつけるべき問題であるハズなのです。
 
 そして田中防衛大臣は、これはもう説明するまでもありませんね。
 まともに法令を知らない、防衛省のシステムや装備も知らない、所管も権限も分からない、だから国会でまともに答弁が出来ず何度も何度も事実とは違うコトや大ウソをついて訂正と謝罪を繰り返し、そして実際に北朝鮮のミサイル問題では何のまともな対応も出来ないコトが露呈したワケで、これ以上大臣に居続けるのは国益に反するとしか言いようがない大臣です。
 正直擁護する要素を、無理矢理でも1つとしてすら見つけるコトが出来ない、ここまでひどい大臣が今までいたのだろうかと言うしか無いひどい大臣です。
 もし田中大臣は辞任する必要が無いと言うのであれば、それは田中大臣は有能であると言うのと同義ですが、本当にそれでいいのですか?
 ハッキリ言ってもしそういうコトを言う人がいるのであれば、やえはその人は「田中大臣以下の人間」としか思えないのですが、本当にそれでいいのでしょうか。
 正直、正気を疑います。
 
 辞任しなければならない理由はこれなんですよ。
 「問責」ではありません。
 問責はあくまでこれらの理由を形として突き付けただけであって、キッカケでしかありません。
 辞任すべき理由は、大臣の地位の不当利用であり、無能だからなのです。
 ここに政局は関係ありません。
 むしろどこに政局の文字が出てくる余地があるのか、教えて欲しいぐらいです。
 
 だからこの件で「政局」という文字を出す人というのは、その人本人が政局しか頭に無い人なのです。
 そんな人は政治を悪くするだけなので、政治に口出ししないで欲しいです。
 もし本当に政局だけで政治が動いているのであれば、はじめから国会で審議なんてせずに開会一日目から問責を出せばいいじゃないですか。
 でもそれはしないのです。
 なぜなら、野党もキチンと政策を、国会論争を重視している、いえ重視しているという言い方もおかしいですね、国会論争をしているからです。
 国会論争をした上で、法令違反が明らかになった前田大臣と、そしてそもそも大臣として国会議員としての能力が著しく欠けているコトがハッキリした田中大臣のこの2人が、これ以上大臣として、行政府を司る内閣の一員として国家の意思決定に参画するコトは国益を失うコトにしかならないと判断されたから、この2人の問責を出したのです。
 国会審議があったからこそ、この二人の大臣としての不適格さが明らかになったのです。
 もし今回の問責に反対すると言うのであれば、まずここに反論する必要があります。
 問責には義務がないとかなんとかではなく、前田大臣の公職選挙法違反と田中大臣の無能っぷりに、まず反論する、つまり選挙法違反しても構わないと、田中大臣は大変に優秀な大臣だと、そう言わなければ理屈にはならないのです。
 
 繰り返しますが、政局だけが理由なら誰でもいいハズです。
 別にこの2人でなくてもいいワケです。
 むしろ総理に問責を出しても、数だけで言えば通る可能性があるのですから、政局のコトだけを考えてやるなら、その方が効果的とすら言えるでしょう。
 でもそんなコトは自民党をはじめとする野党はしないのです。
 
 だから今回のコトで「政局にするな」と言っている人は、つまり国会を見てない人なのです。
 「政局にするな、議論をしろ」と言うワリには、自分がその議論を見てないのです。
 あまりにも無責任ですよね。
 国会の審議を見ていれば、少なくとも田中大臣をかばうなんて行為は狂気の沙汰では無いコトだと分かるでしょう。
 これはもう見てくださいとしか言いようがないですし、当サイトでも何回か取り上げたと思うのですが、本当にひどいんですよ。
 つまり今回のコトは政局では無いのです。
 審議の結果なのです。
 騙されてはいけません。
 「政局にするな」と言う人こそ政局に持ち込もうとしているのです。
 民主党をどうしても擁護したい人なのです。
 そんな罠にかからないように注意しましょう。