一見弱者には適切な批判を

 web拍手でコメントいただきました。
 またこの週末それなりに話題になりましたのでご存じの方も多いニュースかと思います。
 

 「全患者が生活保護者」34医療機関 大阪、不正調査へ
 
 大阪市が生活保護受給者の代わりに医療費を支払う「医療扶助」により昨年11月~今年1月に診療報酬を受け取った大阪府内の医療機関のうち、患者の95%以上が生活保護受給者だった医療機関が72カ所あり、そのうち34カ所は全患者が受給者だったことが、大阪市の調査で分かった。同市は、不正な請求が行われたケースもあるとみて、調査に乗り出す。
 医療扶助は、生活保護受給者が診療や薬の処方を受ける際、市区町村が患者に代わって医療機関に直接医療費を支払う仕組み。大阪市では2008年度の医療扶助は1129億円で、保護費全体の47%を占めた。制度を悪用して診療報酬や薬代を不正に請求するケースが起きており、医療扶助を狙った貧困ビジネスの存在も指摘されている。

 
 大阪市にある医療機関に通っている患者の内訳を調べると、なんと72の機関でそのほとんどが生活保護受給者だったという調査結果です。
 おさらいしますと、生活保護というモノは生活のために現金が支給されますが、同時に受給者は医療機関に行っても国の全額負担で診療を受けるコトが出来るのです。
 で、もちろんこれは医療機関が全額負担するワケではなく国からお金が出るワケですから、医療機関も損はしないですし、診療を受ける方もお金が一切かからないので何も無くても気軽に病院に行けるワケで、国の税金という点を考えなければ患者も病院もいいコトづくしと言えるワケです。
 つまりここで医療機関と生活保護受給者が結託して、税金からお金を搾り取ろうとしているんじゃないかっていう疑惑なワケですよね、この問題は。
 結託までもいかなくても、生活保護受給者という「上客」を前にして、もしかしたら必要の無い診療や投薬まで行っていた可能性は否定出来ないでしょう。
 なにせ患者も行くだけタダなのですから、仕事もしていないコトも合わせて、身体に特に異常が無くても病院に行くかってコトになるかもしれない、むしろそのように医者に言われているかもしれないというコトは想像に容易いワケです。
 少なくともこの95%っていう数字はちょっと異常だと言わざるを得ず、調査は当然ですよね。
 
 この問題は当然キッチリと行政が調査して、不正があれば正すべきだと思いますが、そもそもその根本はやえは「弱者は批判してはならない」っていう空気だと思うんです。
 多分この生活保護の問題とかは最近の問題ではなく、けっこう昔からある問題だと思うのですが、それがなぜいままで表沙汰にならなかったのかと言えば、やっぱり「弱者なんだから批判したらダメだ」という雰囲気なのではないでしょうか。
 たぶんちょっと前までは、「生活保護受給者の中にも不正を働いている輩がいる」と言うと、弱者になんてコトを言うんだみたいな声が上がっていたコトでしょう。
 だからずーっと長い間この手の問題は闇の中に包まれていたワケです。
 
 例えば、障害者の人だって悪い人はいますよ。
 でも多分これ、やえのこの一文を読んだだけでドキッとした人いるでしょう。
 だけど事実ですよ。
 だって障害者と言えども人間なんですから。
 精神障害者であればまたちょっと考え方を変えなければならないでしょうけど、身体の方の障害者であれば考え方は健常者と同じなのですから、そりゃ悪い人いますよ。
 これはあの有名な乙武さんも言っているコトです。
 なぜか障害者は可哀想な人たちなんだから批判するなっていう雰囲気がどこかありますけど、でも事実としてはそれは間違いなのです。
 
 当サイトではこういう存在を「一見弱者」と呼んで、この手の問題には昔から取り組んできたのですが、やっぱり障害者だろうと弱者だろうと、それは同じ人間なのですから、同じ人間として扱うっていう方が平等だと言うべきなんじゃないでしょうか。
 障害者だから弱者だから特別に扱おう批判をやめておこうっていう方が差別だと呼べるシロモノだと思います。
 そもそもですよ、人間なのですから多様性があって当然であって、障害者とか生活保護受給者とかというそういうくくりでまとめてしまう方が間違いなのです。
 生活保護についてはこの前お話ししましたように受けるコト自体が恥ずかしいコトだと認識すべきではありますが、障害者で言えば、障害者っていうくくりで1つにしてしまうのではなく、この人は真面目な人だとか、乙武さんのような人は面白い人だとか、でもこの人は性格悪いよねとか、この人は犯罪者じゃないかとか、これはどんな人間でも当たり前の普通の評価であって、本来はその人個人で見て判断して、そして批判すべき点は批判すべきというが正しいあり方のハズなのです。
 
 弱者だから障害者だから大目に見ようっていう考え方は、やえは大反対です。
 それこそが差別だとすら思っています。
 弱者だって障害者だって健常者だって、悪いコトをする人はいますし、迷惑な人もいますし、被害に遭ったら相手に関わらず怒るべきです。
 ですから、そもそもの今回のお話である生活保護受給者の医療費の問題も、95%というのは異常な数字ですから適切な対応をしていくのは当然ですけど、問題はこれだけではなくてですね、1人でも不正の内容に、これは社会が目を光らせるべきなのです。
 「お前、負担率が0だからって、お茶飲みに行く感覚で病院に行ってないか?」と、そう言える社会にならないとダメなのです。
 
 これは税金がどうこうとか、税制がどうこうとか、そうい問題を抜きにして、仮に税金があまってあまって仕方ないというような状態であったとしても、この問題の根本はここにあるっていうコトを考えなければならない問題でしょう。
 弱者にも必要であれば適切な批判をしなければならないのです。
 そうしないコトは差別なのですから。